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台風23号が接近する、昨日(20日夜)、宮古ふるさと料理「ラッキー」に冬瓜の煮物を食べに行く。 冬瓜(すぶい)というと、風人は「水滴」目取真俊さんの一節を思い出す。流石、台風接近中のため大雨で、お客さんは常連さんのみ。オバアの煮込んだ冬瓜(すぶい)料理がまた、うまいなー! 常連さんばかり9名で、打ち解けた雰囲気が流れています。オバアと多良間出身の若い唄者・砂川美香さんの話に、花を咲かせる。Kさんと11月宮古旅行の詰めの話しと、24日の上野水上音楽堂「アララガマフェスタ」の、場所確認。なみなるーさん、ママさん達との打ち合わせ。沖縄・東京間の物流に支障が出ていて、沖縄産野菜・果物も今手に入りにくく、高騰しているらしい。台風は直接の被害以外にも、色々な影響が拡大しているようだ。/////////////////////////////////////////////////「豚の報い」は作品より前に、映画の「豚の報い」崔洋一を鑑賞しています。「風音」も映画が先で、小説作品が後からでした。「風音」でもそうでしたが、「豚の報い」も小説作品の方が、出来が良いような?感じを個人的に受けています。「木登り豚」の作品の終わりの文章が、<正子は通りに出た。誰もいなかった。星明りが落ち、自分の影がぼんやりと横たわっていた。手に豚の足の感触が残っている。短く、思ったより太くなく、妙にかわいらしい足。しかし、タオルの下から熱やザラザラとした硬い毛や、ブヨッとした肉の固まりが生々しく正子をつきさした>作品の終わりの文章が、”此れで終わるはずがない”気配の余韻をのこして切れていた。「木登り豚」には、続編があって、それが「豚の報い」だったようです。 世俗を象徴する場所・スナック「月の浜」と、3人のネーネー(ミヨ、暢子、和歌子)達。常連お客の大学生の正吉。世俗と神の世界を繋ぐ「豚」が、突如、スナック「月の浜」に乱入してくる。和歌子ネーネーが豚に襲われて魂(マブイ)を落とす。正吉は故郷、神の島・真謝島(モデルは久高島)に、3人のネーネー達を連れて、島の御嶽への御願を兼ねた、里帰りをする羽目になる!真謝島食堂・民宿で「ほんとうの話だけをしようよ」と暢子が言った。少し舌がもつれている。「お店ではほんとうも嘘もあるけど、ママ、ほんとうの話だけをここではしようよ、じゃないと、私みじめになるよ、ママ」「ほんとうの話をしましょう」とミヨが言った。顔色は変わらないが、目がとろりとしている。「せめて、三人だけでもね、世界中の人が嘘をついてもね。あ、正吉がいる。四人ね、訂正、四人だけはほんとうの話をするのよ」「そうよ、悲しみも、悩みも、いい、悪いに関係なくよ」和歌子は箸を置き、グラスをかかげた。「私、誓うわ」・・・・・・・・・・・・・・・「正直になろう」正吉は言った。「じゃあ、みなさん、乾杯」和歌子の声にあわせ、乾杯をした。ネーネー達と正吉とが織りなす、男1対女3の”性的ネットリ感”であったり、”打ち明け話”であったり。正吉と亡き父との思い入れだったり。聖と俗が絡み合う!豚が仲介する世俗騒動が続いていく。3人のネーネーたちの世俗的な生き様が、生き生きと描き出されている反面、リトマス試験紙のよな正吉は、世俗と神の世界とに振り回されて、彷徨し続ける。とんだ豚肉料理で清められたはずの3ネーネーであったが、御嶽に御願に行く途中でも、「あんたが飲んだら、どうするの?正吉さんとがんばる?」「正吉さんは私達のものじゃないわ。神様のもんよ」「私、と言ってよ。たち、じゃないよ」「じゃ、暢子姉さんは神様と勝負するの?正吉さんを奪い合うの?」・・・・・3人ネーネーは最後まで徹底的に世俗的だから、生き生きしているし、豚の世俗への橋渡し役も生き生きしている。又吉栄喜は「木登り豚」から「豚の報い」への展開で、豚を描ききった安堵感が、真謝島の海に続く一本道に漂っていた。
2004年10月21日
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