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カトリーナの残した物
【ハリケーン被害は景気よりもインフレに懸念】
米連邦公開市場委員会(FOMC)は、9月20日、フェデラルファンド(FF)金利誘導
目標3.50%~3.75%に引き上げると発表した。大きな被害をもたらしたハリケーン
「カトリーナ」は通常」の自然災害とは異なり、エネルギー価格や消費者心理などを
通じて、経済団体に影響を及ぼしかねないとの懸念があった。このため、市場の
一部には今回の利上げが見送られるという見方もあった。そう思って利上げがない方へ
ベットした投資家の一部はマクロ的にみて被害や影響があまり大きくないことに驚いて
いた。実際、FOMCでは2003年6月以来初めて、利上げ見送りを求めて反対意見も
出されたことは留意しておく必要があろう。実際それだけ考慮せざるを得ない状況に
あったことは事実なのだから。
石油を筆頭に、エネルギー価格の高騰は、景気減速要因であると同時に、インフレ
懸念材料でもある。エネルギー価格の高騰がハリケーン被害に伴う供給面の制約に
よるものである以上、金融引き締めを停止してもインフレリスクを高めるだけの結果となろう。
それをも考慮した上での結論だったのかもしれない。
FOMCで議論を戦わす政府高官たちが事あるごとに、原油価格の急騰による景気
減速を恐れて金融引き締めをためらった結果、インフレ期待を根付かせ、1970年代の
経済パフォーマンスが低下してしまった第1次石油危機の教訓を強調してきたことからも、
今回の決定は当然といえる。歴史は繰り返す、であるならば、歴史を繰り返さないように
することも必要であるのだから。
今回の声明文の特色
◆ ハリケーン被害
◆ エネルギー価格高騰による景気の先行き不透明感
◆ インフレ圧力の高まりの変化
ハリケーンの影響を取り除けば、前回8月9日FOMC声明文に示された認識とほぼ同じ
考え方が継続採用されているといえる。従って、ハリケーンの影響が一時的だと前提すれば、
景気や金融政策の先行きについての見方もまた変える必要がないといえるのではないだろうか?
FRBは、現在の政策金利水準を景気促進とし、インフレへの警戒感を少しずつ強めて
いる事から、当面は金利動向と経済情勢を踏まえての利上げを継続し、次回11月
1日に開催されるFOMCでも0.25%の利上げが決定されると予想されるのだが、果たして
どうなるだろうか。
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