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知って役立つ 暮らしの法律(10) 成年後見制度 本人に代わり財産管理「母の認知症が進み、施設に入ることになりました。入居金など費用を用意するために母の定期預金を解約したいのですが、母は自分ではできません。でも、銀行で、本人の意思確認ができないと解約手続きができないと言われました。どうしたらいいのでしょうか」こんな時に役立つのが成年後見制度です。加齢や認知症などによって本人の判断能力が後退した際に、「成年後見人」が本人に代わって財産の管理などをして、生活をサボートする制度です。どう選ぶ?家庭裁判所に「成年後見人を選んでほしい」という申し立てをします。申し立てができるのは、本人と4親等内の親族です。医師の診断書や本人の財産に関する資料等の提出が必要です。裁判所で成年後見人が必要だと認められた場合は、裁判所が、誰を後見人にするか決めます。申し立てる際に、後見人の候補者を立てることもできます。娘や息子などが候補者となり、選ばれることも珍しくありません。候補者がない場合は、裁判所が弁護士や司法書士などを選びます。後見人に不正な行為があった場合、親族などの申し立てで解任されることもあります。何をする?①すべての財産の管理成年後見人は、本人に代わってすべての財産管理を行います。たとえば、預金の管理(出金・入金)や不動産などの重要な財産を必要に応じて売買できます。介護契約、施設入所契約、医療(入院)契約など、生活に必要な契約をすることもできます。遺産分割協議もできます。②裁判所への報告成年後見人は、選任後すぐに本人の財産を調査し、年間の収支予定表を作って裁判所に報告します。さらに、少なくとも1年に1度は収支状況を裁判所に報告します。時にはかなり高額な資産を管理することにもなりますが、すべて本人のために管理する必要があります。裁判所は適正な財産管理がされているかチェックします。元気なうちに自分で決められる将来必要になった場合に備えて、自分が元気なうちに自分で後見人を決めておく制度(任意後見制度)もあります。将来サポートしてもらう後見人=任意後見人と、あらかじめ契約を結び、何を依頼するのか決めておきます。契約書は、公正証書でつくります。その後、後見人が必要になったときは、診断書等を添付して裁判所に「任意後見監督人」を選んでもらう申し立てをします。任意後見監督人は、任意後見人が適切に仕事をしているかチェックする人です。任意後見監督人が選ばれるのと同時に、任意後見人の仕事が始まります。大久保佐和子(弁護士・あかしあ法律事務所)おわり「しんぶん赤旗」日曜版 2016年11月27日付掲載成年後見人になったとしたら、かなりの仕事量になりますね。同居か、ご近所に住んでいないととても無理です。
2016年12月06日
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知って役立つ 暮らしの法律(9) 相続(下) 遺留分 半分は請求できるAさんの母が亡くなり、遺言書がのこされていました。父はすでに亡くなっており、相続人は子どもA・B・C3人だけです。遺言書には、母を介護してきたCさんにすべてを相続させるとなっています。Aさん、Bさんは何も相続できないのでしょうか。ここで出てくるのが、「遺留分」という考え方です。遺留分は“相続人が最低限相続できる分”と思っていただければわかりやすいと思います。具体的に考えてみましょう。母の遺産が預貯金600万円だったとします。法律で決まっている相続分はA、B、Cそれぞれ3分の1の200万円ずつ。遺留分はその半分の100万円です。AさんやBさんが、Cさんに遺留分を請求(「遺留分減殺請求」といいます)すると、Cさんは2人に対して100万円ずつ支払わなければなりません。生活の保障になぜこのような制度があるのでしょうか。法律で相続人を一定の範囲の親族に決めているのは、生活を保障するという趣旨があります。妻・夫や子、親は、経済的に助け合う関係にあるので、相続人を配偶者・子、親、兄弟姉妹の順に法律で決め、財産を引き継がせて生活の保障をするということです。にもかかわらず、被相続人が遺言ですべて自由に財産を処分してしまったら、生活保障がはたせなくなってしまいます。たとえば「夫が妻や子を置いて家を出て他の女性と暮らしていたところ、亡くなった。その女性にすべてを相続させるという遺言書があった」という場合、妻や子の生活保障の面も考慮されるべきです。そこで、遺留分を定めました。遺留分を主張するかどうかは自由です。遺言を尊重してなにも請求しないこともできますし、Aさんだけが遺留分を請求することもできます。請求しない人がいても、遺留分がその分増えるということはありません。注意しなければならないのは、遺留分は請求できる期間が決まっていることです。相続の開始(被相続人の死亡)等を知ったときから1年以内です。また、知らない間に被相続人(先ほどの例だと母)が亡くなってから10年が経過した場合も請求できなくなります。先ほどの例は、遺産が預金600万円だけというシンプルな例ですが、Cさんが母から生前に現金や不動産の贈与を受けていた場合、その分も加えて遺産の額を計算し、AさんやBさんがCさんに遺留分を請求できる場合があります。不動産の権利関係や遺留分の計算は複雑です。疑問に感じたら弁護士に相談してください。兄弟姉妹には権利ない兄弟姉妹には、遺留分はありません。たとえば、甲さんが亡くなって、その相続人が甲の兄弟姉妹というケースです。甲が遺言書で、すべてを特定の慈善団体に寄付するとしていました。兄弟姉妹には遺留分がないので、その慈着団体が受け取りを拒否しない限り、兄弟姉妹はなにも相続できません。大久保佐和子(弁護士・あかしあ法律事務所)「しんぶん赤旗」日曜版 2016年11月20日付掲載生活の保障のために「遺留分」は相続できるって…相続にはいろんな制度があるんですね。
2016年12月05日
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知って役立つ 暮らしの法律(8) 相続(中) 遺言の正しい書き方は?相続のトラブルを心配して、遺言をのこしたいという人が増えています。法的に有効な遺言書にするために、民法は種類や方式を厳格に定めています。自筆か公証かよく用いられるのは、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」です。【自筆証書遺言】遺言をのこす人=遺言者が、全文を手書きしたものです。日付と氏名を書き、印鑑を押します。思い立ったときに作成でき、費用もかかりません。ただし、記載内容に不備があって遺言の効力が認められなかったり、紛失したりする危険があります。【公正証書遺言】遺言の内容を公証役場の公証人に伝えて作成してもらうものです。証人2人の立ち合いと手数料が必要です。公証役場に出向いて作成します。遺言者が入院や病気など外出できない事情がある場合は、公証人が病院や自宅に来てくれることもあります。費用と手間はかかりますが▽争いがおきたときでも遺言が無効とされることはあまりない▽原本は公証役場で保管されるので、紛失や偽造の危険がない―という利点があります。変更何度でも遺言書は、何度でも書き直せます。一部だけ変更することも可能です。遺言書が複数ある場合は、日付の新しい方が優先されます。公正証書遺言を自筆証書遺言で変更することもできます。また、遺言書で「預金をAに、土地をBに相続させる」と書いても、預金口座の解約や土地の売却など、のこす予定だった財産を生前に処分することもできます。「検認」が必要遺言書を保管していた人や発見した人は、家庭裁判所で「検認」手続きをする義務があります。遺言書の形状や内容を確認して、偽造や変造を防止するための手続きです。公正証書遺言の場合は、検認は不要です。遺言書が封印されているときは、家庭裁判所で開封します。偽造したり、破棄したり、隠したりすると、相続の資格を失うことがあります。検認手続きは、まず家庭裁判所に「検認申し立て」をします。収入印紙と郵便切手、相続人を確認できる戸籍謄本が必要です。遺言者が生まれたころまでさかのぼって戸籍謄本を取り寄せます。申し立て後、裁判所から相続人全員に、検認手続きを行う日時の連絡がきます。申立人以外の相続人が立ち会うかどうかは自由です。どの財産を誰に残すか遺言書では、どの財産をだれに相続させるか個別に指定することも、相続分の割合を指定することもできます(Aに3分の2、Bに3分の1など)。財産をのこす相手は、相続人以外の人でも構いません。この場合は相続といわず、「遺贈」といいます。墓や仏具を引き継ぐ人=祭祀(さいし)承継者の指定や、子の認知も可能です。大久保佐和子(弁護士・あかしあ法律事務所)「しんぶん赤旗」日曜版 2016年11月13日付掲載遺言書は、あったらあったで、どれが有効なのか調べる必要があるんですね。何度でも書き直せるってのが良いですね。
2016年12月03日
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知って役立つ 暮らしの法律(7) 相続(上) 分け方もめたら裁判所に「夫が亡くなりましたが、遺言書は残されていません。子どもは2人(息子と娘)です」こんな場合、遺産の相続はどうしたらいいのでしょうか。誰が相続人となるかは民法で定められています。遺産の分け方は相続人が話し合って決めます。話し合いで決まらない場合は家庭裁判所に調停を申し立てます。調停では、相続人が誰かを確認→遺産を確認→どう分けるかを話し合います。遺産がどれか(遺産の範囲)でもめている場合は、地方裁判所で遺産の範囲を確認する裁判をします。調停で遺産は確定できたけれど分け方の合意ができない場合は審判という手続きに移り、家庭裁判所が分け方を決めます。民法では相続分が決められています(法定相続分)。妻(配偶者)が2分の1、残る半分を子が分ける―などです。しかしこれは強制ではなく、相続人全員で合意できれば、どのように分けるのも自由です。相続人間の対立が強く、調停や審判になった場合は、法定相続分が基準になります。修正する制度も法定相続分を修正する制度もあります。例えば①息子が生前贈与を受けていた、②娘が寝たきりの親の介護を長年担ってきた―というときです。①の場合は、特別受益(民法903条)という制度です。生前の贈与分を遺産に加えて相続分を決めるものです。父の遺産が500万円で、息子は父の生前100万円の贈与を受けていたとします。その場合、遺産を500万円+100万円の600万円と考えます。法定相続分2:1:1で分けると、妻は300万円、息子と娘は150万円が相続分です。しかし、息子はすでに100万円を受け取ったと考えるので、実際には妻が300万円、娘が150万円、息子が残りの50万円を相続します。②の場合は寄与分(民法904条の2)の制度です。相続人の中に被相続人の財産の維持や増加に貢献した人がいるときに、その人の相続分を優遇するものです。遺産から寄与分を差し引いたものを相続財産とみなして相続分を決めます。差し引いた分は、貢献した相続人が上乗せで相続します。たとえば、娘が長年寝たきりの父親を無給で介護し、その父親が亡くなった場合などが考えられます。介護以外にも、子がそれほどの給与をもらわずに一緒に商売を営んできた父が亡くなった場合などもあてはまります。寄与分がどのくらいかは相続人の話し合いで決めます。合意できなければ、調停や審判で決めることになります。財産より借金が多い時は?財産よりも借金の方が多く、相続を望まないこともあります。その場合は「相続放棄」手続きをします。死亡したことがわかってから3カ月以内に、家庭裁判所に相続を放棄するという申し立てをするものです。3カ月では遺産全体の内容がわからず、放棄するかどうか決められない場合は、家庭裁判所に申し立てをして、考える期間を延長することもできます。大久保佐和子(弁護士・あかしあ法律事務所)「しんぶん赤旗」日曜版 2016年11月6日付掲載民法では妻や子どもへの相続の割合が事細かく決められていますが…実際には不動産のように簡単に分けられないものや、妻のその後の生活の保障などもあるので、臨機応変にしないといけないでしょうね。
2016年12月03日
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知って役立つ 暮らしの法律(6) 離婚(下) DV被害から命守るため離婚事件の中でも、配偶者からの身体的暴力や言葉等による精神的暴力(モラルハラスメント)に苦しみぬいて、相談にみえる方が少なくありません。「DV(ドメスティックバイオレンス)」という言葉が、社会的にも認知されてきました。現実は深刻です。殴られて鼓膜が破れた、刃物を突きつけられた、妊娠中に蹴られたという相談が何度もあります。「誰のおかげで生活できると思っているんだ」「死ね」という言葉の暴力も。DVの被害者が、被害を認識するまでに非常に時間がかかることもめずらしくありません。「おまえが悪いからこうなるんだ」「おまえはばかだ」と人格を否定され続け、「私のせい…」と思い悩み、誰にも言えずに生活してきた方が少なくありません。周囲が離婚をすすめても「彼はかわいそうな人。私がついていてあげなければ…」という思いから、なかなか抜け出せなかった人もいます。強力に安全確保DVの相談で私たち弁護士がまず考えるのは、安全の確保です。そのための制度の一つに「保護命令」があります。「DV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)」に定められています。裁判所に申し立てをして、加害者に①接近禁止命令(6カ月間、被害者の住居や勤務先への接近等を禁止する)、②退去命令(被害者と同居していた住居から2カ月間、退去し近づくことを禁止する)を出してもらいます。②は、この間に被害者が家を出る準備をして、加害者から逃れることを想定しています。一定の条件を満たせば、親族や同居中の子への接近禁止命令も一緒に出してもらうことができます。保護命令は、違反すると1年以下の懲役か100万円以下の罰金が科せられます。強力な制度であるため、そう簡単ではなく、要件も詳細に規定されています。裁判所に申し立てをすると、まず裁判官から聞き取りを受けます。その後、別の日に相手も裁判所に呼び出され、聞き取りが行われます。ことは生命や身体の安全に関わるので、迅速な判断が求められます。多くの場合、この段階で保護命令を出すか判断されます。DV被害に苦しんでいる方は、1人で悩まず、一刻も早く相談してください。【証拠資料を残す】〈身体的暴力の場合〉●暴力を振るわれたら必ず受診し、診断書を取っておく。「恥ずかしい」などの理由で医師に話せない方もいますが、できる限り事実を話してカルテに記録してもらう。●けがの写真を撮っておく。●相談支援センターや警察(生活安全課)など、公的機関や支援機関に相談する。〈モラルハラスメントの場合〉●目に見えない暴力で証拠は残りにくいが、メールや手紙などの文書があれば必ず取っておく。●何を言われたかメモを残す。できればICレコーダーなどで加害者の暴言を録音する。※あくまでも安全が第一です。大久保佐和子(弁護士・あかしあ法律事務所)「しんぶん赤旗」日曜版 2016年10月30日付掲載「バリアー」のように、DV加害者から被害者を強力に保護する法が整備されているんですね。まずは弁護士に相談する事です。
2016年12月02日
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知って役立つ 暮らしの法律(5) 離婚(中) どうする?親権と養育費子どもがいる夫婦が離婚する際、気になるのが親権や養育費です。未成年の子どもがいる場合、父母のどちらが子どもを引き取るのか=親権者を決めなければ離婚はできません。離婚届に記入欄があります。夫婦2人の話し合いで決まらない場合は、家庭裁判所に離婚の調停を申し立て、親権についても調停の話し合いで決めます。それでも決まらなければ離婚の裁判となります。裁判の中で話し合って決めることもありますが、決まらなければ裁判所が親権者を定めます。調停や裁判にあたっては、調査官と呼ばれる専門家が子どもに話を聞き、生活環境や子の気持ちを調査して報告書をつくります。裁判所が親権者を決める場合は、この調査結果も考慮します。子の年齢が15歳近くになると、子ども本人の意思がかなり尊重されます。算定表を参考に【金額】養育費の額を決める際は、家庭裁判所で使う算定表が参考となります。双方の収入を基礎に計算されるもので、裁判所では、かなり重要な算定方式となっています。算定表は、家庭裁判所のホームページなどで確認することができます。【支払いの開始時期】養育費は、離婚直後から払われるべきものですが、養育費を決めないで離婚をするケースもあります。その場合は養育費の支払いを求める調停を申し立てることができます。調停で養育費が決まれば、申し立てた月の分から支払いを要求できます。養育費の支払いは「20歳まで」とすることが原則です。【途中で養育費が支払われなくなったら】・2人で話し合って養育費を決めていた場合…調停を申し立てて支払いを求めます。・調停や訴訟等で養育費が決まっていたのに払われなくなった場合…相手の財産(給与、預金、不動産など)を差し押さえて、そこから養育費を受け取ることができます。調停や訴訟での決まり事には、こうした強い効力があります。・リストラなど収入に大きな変化があった場合…調停や訴訟で決まっていても、増額や減額をする調停の申し立てができます。財産分与とは婚姻期間中に夫婦が協力して得た財産=共同財産を分けることです。夫婦で購入した家や車、預貯金、掛け金を払ってきた保険の解約返戻金相当額、退職金などが対象になります。2人で合意すれば、どんな分け方をしてもかまいません。裁判所では、原則2分の1ずつとしたうえで、個別の事情を考慮しています。ポイントは、「婚姻後2人が協力して得た財産」ということです。親から相続した分や、婚姻前からためていた貯金がそのまま残っていた場合、それは「特有財産」と呼ばれ、財産分与の対象になりません。そのほか、住宅ローンがある場合、将来の退職金の計算方法など、財産分与は複雑です。弁護士にご相談ください。大久保佐和子(弁護士・あかしあ法律事務所)「しんぶん赤旗」日曜版 2016年10月23日付掲載子どもがいる場合の離婚。どちらが子どもを養育するかは、養育能力(経済力やヤル気)だけでなく、子どもの将来にとっても大事な話しですよね。
2016年12月02日
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知って役立つ 暮らしの法律(4) 離婚(上) 相手の合意がないときは?これまで、数多く離婚の相談を受けてきました。最近は、夫(妻)の言葉の暴力に悩み、相談にくる方が増えているように思います。「自分は離婚したいけれど、相手はしたくないと言っている」。こんなとき、どうすればいいでしょうか。今回から3回にわたって離婚の手続きを紹介します。離婚する方法は法律で決められています。①協議離婚夫婦で話し合い、お互いに合意できた場合は、離婚届を提出することで協議離婚が成立します。②調停離婚一方が離婚を拒否している、子どもの親権や財産分与(結婚した後に築いた財産を分けること)などについて合意できない、といった理由で協議離婚が成立しない場合は、裁判所を利用します。家庭裁判所で話し合い=調停を行い、2人が合意できた場は、調停離婚が成立します。③裁判離婚調停でも合意できない場合は「裁判離婚」となります。判決が出る前に和解して離婚が成立することもあります。①②の場合、2人が合意すれば、どんな理由でも離婚できます。別居期間を置く夫婦のどちらかが離婚を拒否している③の場合は、離婚できる理由に制限があります。「性格が合わなくて」「子どもが独立したから自由になりたい」という理由だけでは、離婚はなかなか認められません。結論を出すのは裁判所です。法律では五つの離婚原因(別項)が定められています。身体的暴力や、言葉や態度による精神的暴力(モラルハラスメント)の場合は「その他婚姻関係を継続しがたい重大な事由」にあたると考えられます。ただ、証拠がほとんどない場合も多く、裁判で離婚が認められるか、悩ましいケースも少なくありません。Aさんは夫のモラルハラスメントに悩んだすえ別居し「離婚したい」と相談に来ました。別居前は言葉の暴力に加え、何カ月も無視される、妊婦検診の費用も出してくれない…。夫の機嫌をうかがいながらの毎日でした。私が代理人となり、離婚の調停をしましたが、夫は離婚に応じませんでした。すぐに裁判をしても、裁判所で離婚が認められるかどうか不透明でした。閉ざされた家庭内でのやりとりを証明する難しさがあります。Aさんと相談し、しばらく別居期間を置くことにしました。別居期間が長く交流もほとんどないとなると、別項の離婚原因⑤にあたるからです。約4年後に再度調停を申し立てたところ、夫は離婚に応じました。何年別居すればいいのか、明確な基準はありませんが、実務では5年程度を一つの目安と考える場合が多いように思います。(浮気など、離婚原因をつくった側が離婚を求める場合は別です)【法律(民法770条)で定められている離婚原因】①配偶者に不貞な行為があったとき(浮気、不倫など)②配偶者から悪意で遺棄されたとき③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき大久保佐和子(弁護士・あかしあ法律事務所)「しんぶん赤旗」日曜版 2016年10月16日付掲載相手からの言葉の暴力や悪意で遺棄されたなどは、耐えられないですよね。元々好きで一緒になった人が相手だけになおさらです。結婚する自由があるなら、離婚もできなければ…
2016年11月30日
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知って役立つ 暮らしの法律(3) 自己破産(下) 財産があってもできる?今回は、住宅など一定の財産がある場合の自己破産の申し立てです。Aさんは建築現場の塗装工で、妻と子ども2人の家族です。クレジットカード、キャッシングカードローンの返済のほか、8年前に土地と建物を購入し、住宅ローンも返済しています。3年ほど前から仕事が激減し、次第に借入金の返済が困難に。雪だるま式にカードローンの借金が増えました。家と建物を売って借金を返済できるのであれば、破産申し立てはできません。Aさんの場合は、売却しても借金が大きく残るため、返済は不可能です。「管財人」がつくAさんは破産申し立てをすることにしました。土地や建物など財産があるAさんのような場合、前回紹介した破産申し立て手続きの後、次の点が違ってきます。①裁判所が「破産管財人」を選びます。破産管財人は、Aさんの財産を詳しく調査して不動産などの財産を売却し、借金相手の債権者に配当するのが主な仕事です。破産管財人がつく場合は、20万円以上のお金を裁判所に納めなくてはなりません。②Aさんの不動産を処分する権限は、すべて破産管財人に移ります。申し立て後、数日中に、破産管財人と面談し、必要書類等を引き渡します。一定期間、郵便物も破産管財人に転送されます。③通常、1~2カ月に1度のペースで「債権者集会」が裁判所で開かれます。出席するのは本人、その代理人弁護士、破産管財人、希望する債権者です。裁判官が破産管財人の仕事の進行状況などを確認します。債権者も意見を述べます。財産を処分しても返済しきれなかった借金については、多くの場合、免責されます。Aさんは申し立てから約1年後に免責許可決定が出ました。早い段階で相談破産申し立てをして免責決定を得るということは、「借りた借金を法的に返さなくてよい状態にする」強い効力があります。そのため、財産があれば、それをお金にかえて、債権者に公平に返済する必要があります。借金の解決にはほかに、一部だけを返済していく方法もあります。どの方法をとるにしても、大切なのは、返済が難しくなった段階で早めに相談することです。【処分を免れるもの】処分する(金銭にかえて配当すべき)財産には、不動産、保険解約返戻金、自動車、有価証券等、退職金相当額などがあります。自己破産をしても処分しなくていい財産(自由財産)には、99万円以下の現金や、衣服・家具等の生活必需品(差押え禁止動産)、破産手続き開始後に新たに取得した財産が含まれます。なお、処分すべき財産であっても、破産管財人の意見を聞き、破産者の手元に残すことが認められる場合があります。東京地裁では、生命保険解約返戻金や不動産の換価額が20万円以下の場合は、破産者の手元に残す運用をしています。大久保佐和子(弁護士・あかしあ法律事務所)「しんぶん赤旗」日曜版 2016年10月9日付掲載自己破産したからって、身ぐるみはがれて無一文からスタートではない。生計費非課税と同じ考え方なのですね。
2016年11月30日
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知って役立つ 暮らしの法律(2) 自己破産(上) 返済できない借金を免除借金の相談が絶えません。多くは、働いて得る収入では生活費が足りず、借金が増えたケースです。最近は奨学金が返済できないという相談が増えています。日本は高学費のうえに、返済の必要がない給付型の奨学金がほとんどないためです。派遣切りが発端Aさんは母子家庭で育ち、奨学金を借りて大学を卒業しました。大手企業に派遣社員として8年近く勤務し、結婚して、2人の子どもにも恵まれました。つましく暮らしながら、懸命に奨学金を返済してきました。ところが突然派遣切りにあい、収入が激減。クレジットカードでお金を借りて生活費や奨学金返済などにあてましたが、悪循環に陥りました。Aさんは精神的にも追い込まれ、うつ病になってしまいました。福祉事務所に相談し、弁護士にたどりつきました。Aさんの場合、借金の総額と収入の状況を考えると、返済は不可能でした。地裁に申し立て破産法には「破産申立」という制度があります。「破産」という言葉に抵抗を感じる方もいますが、生活を立て直すために、とても役立つ手続きです。自己破産の手続きは、借金のある人(債務者)が、住民票のある地方裁判所に破産申し立てをすることで始まります。個人でもできますが、専門家に依頼するといいでしょう。弁護士に依頼した場合次の流れですすみます。①弁護士への相談、借金整理の依頼弁護士が借金の相手(債権者)にその旨を通知します。これ以降、債権者は本人に直接、返済請求等をできなくなります。②破産申し立ての書類を作成借金の理由や返済不可能になった経過など必要事項を記入します。毎月の家計表、預金通帳や保険証書の写しなど、添付書類も必要です。③裁判所への申し立てから借金の免責まで破産を申し立て、裁判官と面談し、申し立てに至る経緯などの質問を受けます。処分すべき財産がなく、借入経緯に浪費などの問題がない場合は、最初の面談から約2カ月後に裁判官と2回目の面談をします。借金を免除(免責)するかどうか裁判所が判断します。(2回目の面談が省略される地域もあります)多くのケースで借金は免除されます。Aさんも、借金を免除される「免責決定」を得て、今は仕事をしながら家族で穏やかに生活しています。次回は、資産がある場合の自己破産手続きについて紹介します。「会社に通知」ありません自己破産をすると「会社に通知されるのではないか」「戸籍に書かれるのではないか」などと不安を口にされる方が少なくありません。自己破産をしても、会社に通知されたり、戸籍にのせられたりすることはありません。以下のようなことはあります。▽官報(国が発行する機関誌)に住所・氏名が掲載される▽破産申し立てから免責決定を受けるまでの間、警備員や保険の外交員など一部の職業に就けない大久保佐和子(弁護士・あかしあ法律事務所)「しんぶん赤旗」日曜版 2016年10月2日付掲載無駄遣いやバクチで破産するってのは、もってのほかですが…。普通に生活するのに足りない賃金、ワーキングプアってのが問題ですよね。
2016年11月29日
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知って役立つ 暮らしの法律(1) 借金、離婚、相続・・・ 困ったら弁護士に相談を借金、離婚、相続―。そんな間題に直面したとき、解決にむけて強い味方となるのが法律です。暮らしの中でトラブルがおきたときに、知っておくと役立つ法制度を紹介します。◇私は弁護士になって10年目です。これまで家庭の中でおきる問題の相談をたくさん受けてきました。離婚、親子の面会交流、介護、相続、借金など内容はさまざま。どんな解決方法があるか、一つひとつ弁護士も格闘します。感情が絡むことも多く法的アドバイスだけではすみません。依頼者から「法律は私たちの味方じゃないんですね」と言われたことも、一度や二度ではありません。一方、「こんな制度があるとは知らなかった。もっと早く知っていれば…」「こんな問題、弁護士に相談することではないと思っていた」という感想も聞きます。生活立て直せる女性依頼者のAさんもその一人。Aさんは幼少期に受けた心の傷が原因で、成人後もメンタルを患っていました。その病気が原因となって、一時期、衝動的にクレジットカードを使って多数の買い物をしてしまいました。病気のため仕事も続けられず、返済にいきづまって相談にきたのです。事情を詳しく聞き、破産申し立ての手続きをとることにしました。その結果、借金を整理し、生活の再建をすることができました。Aさんは最初、こうした制度のことを知りませんでした。いろいろ説明しても不安がぬぐえず、「私は警察に捕まらないでしょうか」と心配していました。でも、手続きがすべて終わったときは、本当にホッとした表情をされていました。ほかにも、暴力をふるう配偶者から逃げ、たどりついた支援団体の紹介で相談に来てくれた人。きょうだいや親が倒れ、介護がどうにもならなくなって相談に来た人。弁護士にたどりつくまでの苦労もあります。問題を解決するために法制度はいくつも手段を用意しています。次回から、日々の暮らしの中で役立つ法制度を紹介していきます。【費用が心配な方へ】弁護士事務所では、報酬規定を依頼者に示すことになっています。東京弁護士会の法律相談料は、30分以内で5400円。クレジット・サラ金相談は無料です。弁護士に相談したからといって、依頼しなければならないわけではありません。相談だけで解決することもあります。日本司法支援センター(通称=法テラス)では、どこに相談していいかわからない場合、手続きや相談窓口などを教えてくれます。経済的に困っている場合は無料法律相談が受けられ、弁護士や司法書士費用の立て替え制度(後で分割払い)があります。生活保護を受けている人は立て替え金の返済を免除される場合があります。法テラスサポートダイヤル 電話(0570)078374(おなやみなし)費用のことは心配しすぎず、まずは相談しましょう。大久保佐和子(弁護士・あかしあ法律事務所)「しんぶん赤旗」日曜版 2016年9月25日付掲載「こんな制度があるとは知らなかった。もっと早く知っていれば…」「こんな問題、弁護士に相談することではないと思っていた」悩まずに、弁護士に相談を。1カ月に何回か無料相談をやっているところもあります。
2016年11月28日
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