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2003年05月02日

S美は社会学部の3年生。

女性学（ジェンダー）とか勉強しながら、
「わたしい、ジェンダーきらいなんすよお。なんつーかあ、さべつされてるとかあ、じょせいのお、けんりがどうの、びょうどうがどうの、うぜぇ、つーかあ、もう、しかとってかんじい」

。。。。じゃ、なんでジェンダーやってんの？

「う～～～んん。つーかあ、学科変えたかったんだけどお、言い忘れたっつうかあ～～」

ああ、そう。

なんだかよくわからない子なのだが、
この学校に来たのも、もともと京都大学を受験するはずが、

ってことで来たらしい。ほんとになんだかよくわからない。

でもこのS美、賢くて優しいのだ。

ある時、ビジネスの修士をやってる日本人のおばさまが、フーコーとかデリダとか、授業でやってる哲学がさっぱりわからないと悩んでいた。

それをS美は懇切丁寧に説明してあげただけでなく、自分のノートまでおばさまに貸してあげた。
おばさま、そのノート見て、それがあまりにきれいに整理されていることに、驚愕してしまった。。。。

で、S美なのだが、いま卒論提出にあと2週間である。

ところが、この大事な時に彼女のノート・パソコンが壊れてしまった。もう、電源が全く入らないらしい。完全に死亡である。。。

あせったS美は、卒論のない友人、もう終った友人に電話しまくって、パソコンを貸してくれと頼んだが、さすがに誰も貸してくれなかったらしい。

「どうする？」と聞くと

「う～～～んん。彼氏のところにい、いってくるう」
S美は英国人の彼がブライトンにいる。そこで、パソコンを使わせてもらって、ついでに英語の文法もチェックしてもらうと。

この肝心かなめの時に、パソコンが壊れるっていうのは、実はよくある。

2年前、修士論文をやっていた私のパソコンが煙を上げて停止した。

去年は最後のエッセイをやっていた政治学部の3年生、Jちゃんのパソコンが壊れた。

そして、今年はS美。

なんなんだろうね、これは。

一番大事な時期に、こうもいろんな人にパソコンが壊れるというのは、その持ち主のプレッシャー、あせる気持ち、心身のバランスの崩れ、などがパソコンに乗り移ってしまうからではないか。

「試験前症候群」
これは通常、試験前になると、何よりも勉強をしなければならないのに、どうしても踊りたくなったり、ケーキを作りたくなったり、いなり寿司を食べたくなったりする症状のことをいう。

しかし、わたしはこの「パソコン故障」も「試験前症候群」の症状の１つなのではないかと思い始めている。

「勉強やらなければ。ああ、どうしよう。やりたくない。。。」
これがパソコンに乗り移ってしまうのでは？？

「かみぽこさん。おなかすきませえ～ん？なんかたべにいきましょうよお」

S美が言った。

「そうだな、カレーでも食べに行くか」

車でカレーを食べに行った。

物には持ち主の気が宿る。。。
その日、久々の美女乗車で、わが「かみぽこカー」が大張り切りだったのは、言うまでもない。

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