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こんにちは、錦水館の上甲です。今日は、厳島神社の歴史の中で大きな特徴となっている「神仏習合」と「神仏分離」について、少しお話ししたいと思います。
厳島神社が誕生した当初から、この神社は日本古来の神道と仏教が融合した「神仏習合」の場所でした。平安時代末期、平清盛が厳島神社に『平家納経』を奉納したことは、この時代の神仏習合を象徴するエピソードの一つです。
当時の厳島は、島全体が神聖な場所とされていました。その中には、神社だけでなく、大聖院や大願寺といった仏教寺院もありました。これらの寺院は、神社とともに神聖な儀式を行い、神仏が一体となって島全体の平和を守っていたのです。
当時の厳島神社は、神仏習合のもとで複数のグループが協力して運営されていました。たとえば、現在の宮司である野坂家の先祖「棚守」たちが神道の儀式を担当し、大聖院の僧侶たちが仏教儀式を執り行っていました。また、巫女たちは神聖な儀式を司り、大願寺は神社の建物の修理や造営を担っていました。
このように、神道と仏教が一体となって厳島神社を守り、発展させてきたのです。
ところが、時代が進み、明治時代になると、政府は神道と仏教を分ける「神仏分離令」を発布しました。これにより、厳島神社と大聖院、大願寺は別々の存在となることを余儀なくされました。
しかし、当時の棚守であった野坂元延さんの努力のおかげで、神社の重要な建物である社殿や五重塔、千畳閣などは厳島神社に残されることになりました。この結果、今でも厳島神社には仏教の影響が感じられる建築物が残っています。
また、『平家納経』も、宮司の機転で「宝蔵の鍵が見つからない」という理由を使い、焼却を免れ、今も厳島神社に大切に保管されています。
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現在でも、厳島神社には神仏習合の名残が多く見られます。たとえば、五重塔にはかつて仏像が安置されていたことを示す跡が残っています。これらの仏像は、神仏分離の際に大願寺に移され、今もそこに安置されています。また、仁王門跡や社僧屋敷跡など、神仏習合時代の名残を感じさせる場所も点在しています。
さらに、厳島神社で今も行われている祭りの中には、仏教の影響を受けたものもあります。たとえば、八月の玉取祭や大晦日の鎮火祭は、かつて大聖院が司っていた行事が今に受け継がれているものです。
厳島神社の歴史を振り返ると、神道と仏教がいかに深く結びついてきたか、そして、それがどのように分けられていったかが分かります。神仏習合は、異なる信仰が共存し、互いに影響し合いながら発展していく姿を象徴しています。
一方、神仏分離は、時代の流れによって宗教が再編される過程を示しています。この出来事は、日本の宗教文化がどのように変化してきたのかを知るための大切な鍵です。
厳島神社を訪れる際には、こうした歴史を思い浮かべながら、その神聖な空間を感じてみてください。過去と現在が交差する厳島神社で、日本の宗教文化の奥深さに触れることができるでしょう。
皆様が厳島の地で、神仏習合と神仏分離の歴史を感じ取り、より深い理解と感動を得られることを願っています。
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