お客様はじめ、各方面から感動!の声がこちらにまで届いてます。
されたのを伺えさせる内容です。
<オープニング>
自然に敬意を表し、柄を織り込む。艶やかな絹糸のさらりとした味わい。
生地を染めるのではなく、染めた絹糸で織りこむ。
完成までおよそ1年をかけ、何人もの職人の手を経て織り上げられる『大島紬』
それは、熟練した職人たちによる驚異の技と南の島の自然が織りなす、まさに芸術作品。
世界でも類いまれな技術で織られる『大島紬』
その美しさの裏には、機械では不可能と言われている繊細な技術があった。
染められた縦糸と、よこ糸を組み合わせ、まるで小さな点を集めて絵を描くかのように仕上げるという見事な柄。糸一本分のズレも許されない息をのむ織りの技術に密着。また大島紬には欠かせない謎の泥。
奄美大島の特殊な泥に隠された驚くべき秘密があるという!
世界に誇る織物『大島紬』
今夜は、古より受け継がれる職人の技に秘められた、驚異の科学に迫ります!
東京からおよそ1200km。8つの島からなる奄美群島の中心に位置する奄美大島。
自然豊かなこの島に、およそ1300年も前から伝わる伝統工芸『大島紬』
その製造は大きく5つの行程に分けられ、それぞれの工程に専門の職人がいる。
■第一工程:図案構成
第一工程では原図と言われる画を描き、どんな色合いにどんな柄を入れていくのかを決める。
デザインを方眼紙に起こし、およそ3mmのマス目に合わせて直線的な描写に書き替え設計図とする。
方眼紙の縦線は縦糸、横線はよこ糸をあらわしていて、この一つのマス目の中に縦横それぞれ8本の糸が入るという非常に細かい設計図だ。
糸のどこを染め、どこを染めないのか?色の濃淡や完成に必要な糸の数などもこの段階で指定する。
■第二工程:絣締め
そもそも織物とは、無数の縦糸と緯糸が直角に交差し、密着して1枚の生地になったものだ。
通常の染め物はこの生地に柄を付け模様にしていく。しかし大島紬は、生地に使われる絹糸をあらかじめ一本一本染める事から始めるのである。その方法は非常に繊細。まず絹糸の色を付けたく無い箇所を木綿糸で締めて、そのまま染色を施し、その後、締めた木綿糸を外すと染まってない部分が白く残るというわけだ。ところどころ染色されていない糸を設計図に従って織り上げていくと、図案通りの柄が完成するのだ。大島紬の設計図には、絹糸一本一本に染色を施し、反物になるまでの緻密な計算が描かれているのである。
設計図を受け取った「締め」の職人は、図案に従って絹糸の色を付けたくない場所を、木綿糸で正確に締める。これを絣締めといい、全ての柄の元となる。絹糸を木綿糸で締めていく。
のちに染色した際、この締められた箇所だけが白く残る。そして驚くことに、この段階で、染めるべき絹糸は長い糸で一本16000m(16km)もあるのだ。この気が遠くなるほどの長い糸を設計図通りに締めていく。設計図とのズレは0.2ミリまでが許容範囲だという。
ズレが大きいと柄にならない、非常にデリケートな作業だ。
締め職人は、担当の作業が終わると、次の染め職人が作業しやすいように、一定の束にまとめて、染色工房へ渡す。
独特な渋みが特徴とされている大島紬の表情を左右する重要な工程が『染め』だ。
この工程を担当する若き職人、金井志人さん。この道8年。金井さんが用意しているのは、大島紬に欠かせない染料。現地ではテーチ木と呼ばれる木、シャリンバイというバラの仲間の木片を煮出し、その液体で染めるのがテーチ木染めだ。
締め職人から受け取った束を染め液(染料)につける。真っ白だった絹糸が赤褐色に染まっていく。
この工程を20回ほど繰り返すことで、より濃い色に染まっていく。この赤褐色が最終的な黒い色を出すのに必要な色となる。そして、染めは第二段階に移る。向かった先は、工房裏の沼地。
ここは泥田と呼ばれる大島紬には欠かせない場所。泥田の中へ入り、底にたまった泥を足でかくはんする。この泥こそが、独特の風合いを出す鍵を握っているのだ。
■第三工程:染め
第一段階の作業で赤褐色に染まった生地の束を、泥田につける。これが、大島紬の泥染めだ。
泥田からひきあげた生地には、このように泥がついてくる。
これを水で洗ってみると...やや黒くなっている。
これはテーチ木染め3回・泥染めを2回施したもの。ご覧の様に見事な黒に染まっている。この染めの作業をさらに数回繰り返すことによって、黒はますます深い黒へ、大島紬の色へと変化していくのである。見事な黒を生み出す、大島紬。まず、樹木の成分で赤褐色に染め、そして泥で染めると黒く変化することを、数百年前の奄美大島の人々が見いだし、今日までそれを受け継いできたのである。この奄美の自然と職人達によって育まれてきた奇跡の産物を、染め職人の若き担い手は誇りに思い、この技術を後世に伝えていきたいと言う。
金井さんは「島を表現するものとしては、色を取るのも自然から取りますし、奄美自体の魅力として受け取ってくれたらすごくうれしい」という。
設計から始まった作業...しかしここまでの工程は、まだ、絹糸を染めたに過ぎない。
このあと、染めた束を、糸一本一本のばらばらな状態にし、さらにそれを緻密に織り上げるという工程が残っている。まだまだ先は長い、大島紬完成への道。
見事な黒に染め上がる大島紬の絹糸、しかし樹木の成分で染め、さらに泥で染めることで、どうしてあんなにまで見事な黒に変化するのだろうか?
地質学の専門家である遅沢先生によると「紬の色を定着させるためには、タンニンが必要になってくる。それはまず、シャリンバイという植物から取るが、それを反応させるために鉄イオンが必要。
特に、二価の鉄イオンが必要なのだが、田んぼの泥にはそういう二価鉄が豊富に含まれている」という。
この泥に含まれる鉄分は、特殊な二価鉄というもの。
琉球列島の付近に分布する150万年前の粘土地層に多く含まれているということが遅沢先生らの研究で判明した。この(龍郷という)土地には、その150万年前の粘土地層が奇跡的に、150万年前のまま、残っていたのだ。
染める前と染めた後の絹糸を顕微鏡で見てみると、染めた後には繊維を覆ってしまうほどの化合物が周りに接着しているのが解る。タンニンと鉄分が結合する事で出来るこの化合物が見事な黒を放ち、その色が大島紬独特の風合いを出しているのだ。この方法を、まだ科学が発達していない何百年も前から奄美の人たちは知っていた。まさに大地と伝統が生んだ芸術、それが大島紬なのである。
金井さんが泥染めを行った糸の束。次はこれを一本一本に解いていく根気のいる作業だ。
染めたく無い部分を締めていた木綿糸を解き、染め上がった絹糸を一本の糸として独立させる作業だ。木綿糸で占めていた箇所が白く浮かび上がってくる。ここで糸を切ってしまうと、これまでの作業が水の泡になってしまうこともある。さらに、解く順番を間違えると、設計図通りの柄を描くことが出来ない。この工程もまた、繊細な作業だ。
職人「柄がみんな違うから、それを良く並べないと...一本間違えたら、大変なこと。一番大事。」
長いモノで一本16000mもある糸を相手に丁寧な作業を進めていく。染め職人から受け取った束を、糸を切ることなく、次の織りの職人さんに渡す。この信頼関係が大島紬を生み出すのだ。
ここまで大きく4つの工程が終わった。このあといよいよ最後の工程、機織りが始まる。
■第四工程:加工
大島紬製作の最終工程。『機(はた)織り』が始まる。設計図に従って締めを施し、束になった糸を染め、さらに、一本ずつバラバラに解いて、また織り上げるというとてつもなく長い工程もいよいよクライマックスだ。設計図に描かれた柄に少しのズレも出ないよう微調整をしながら織り込む。数千本の縦糸・よこ糸が、数ヶ月の作業を経て、ついに出会う。
そして今、見事な絵柄が浮かび上がろうとしている。この繊細な機織り、ベテランが作業しても1日平均15cmほどしか進まないという。 数センチ織り込み終わると、一本ずつ糸を引っ張り、微調整を繰り返す。全ての糸に対してその作業を行う。一反織るのに必要な絹糸、繭から紡いだ総延長はおよそ2000キロメートル。直線にすると奄美大島からまで札幌の距離だ。職人から職人へと引き継がれてきた工程。全ての職人の思いがこうして柄として花開く。地球からの恩恵に感謝し、人と人とのつながりを大切にする大島紬。
その心は、未来、私たちが生きて行く上でもっとも重要なことだろう。
いつまでも未来に繋がっていって欲しい。奄美大島が、そしてこの地球が美しく存在する限り。
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