グランマの手料理レシピ

2023年01月17日
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カテゴリ: お漬物
​かぶは1束買うと余ってしまうことがあります。
甘酢漬けにすると千枚漬け風になり、サラダ感覚で食べられます。

​かぶの甘酢漬け ​​


かぶ    4個
塩     小さじ2

【合わせ酢】米酢     大さじ 4
      きびなご   大さじ2
      赤唐辛子   少々(小口切り)
      昆布     5cm

1.かぶは表面をきれいに洗い、皮つきのまま5mmの厚さに切る。

2.ボウルにかぶを入れ、塩を加えてよく混ぜ合わせる。

3.かぶの水気を軽く絞り、保存用のポリ袋に入れ、【合わせ酢】を加えて混ぜ合わせる。

4.冷蔵庫で一晩おき、食べるときに汁気を軽く絞る。

※かぶに塩をよくすり込むと早く漬かります。



​​ 密かごと ​​

第1章 料理茶屋【梅乃井】

​6.結婚式​

佳乃は幼馴染みのお美代の花嫁衣装を見てきて興奮していた。
「おばばさん、浜野屋の特別誂えだそうよ」
「そうだろうよ、お美代ちゃんの嫁ぎ先は、何てったって、呉服屋なんだからね」
お美代が結婚する相手は、南片町の本通りの呉服屋で、浜野屋伊兵衛の跡取り息子惣兵衛だった。

浜野屋の初代は古着の行商人で、店売りで成功したのが二代目の伊兵衛だった。惣兵衛はその三代目に当たる。浜野屋は木更津でも一二を争う大店だった。
お美代は、浜野屋の筋向かいにある乾物屋山瀬の娘で、両家は縁戚関係にあった。
何やかや言っても佳乃も年頃の娘だ、お美代の花嫁衣装を見てきて思うところがあるのだろう。急に無口になった。

「お前のときには、おばばさんが気張ってやるからね」
さちが言葉をかけると、
「あたしは、まだよ!」
「まだまだと言ってると、取り返しのつかないことになってしまうよ」
「取り返しのつかないことって?」
いつもの佳乃に戻っていた。

「それはそうと、伊兵衛さんから聞いた話では、梅乃井で祝言を上げるのは、お美代ちゃんの希望だそうだね」
「ええ、そうよ」
「お前が、うちで上げるように頼んだのかい?」
「頼んだわけじゃないけど、梅乃井で祝言をあげたらって言ったの」
「おや、お前がそんなことを言ったのかい」
「だって、お美代ちゃんも惣ちゃんも、子どもの頃からの友だちだから、二人の祝言は、梅乃井であげてほしかったの」
「お前も、いつのまにか、若女将らしくなって」
「あら、そんなつもりは・・・」
 佳乃はむきになって打ち消すが、梅乃井の若女将になる覚悟がついてきたようだと、さちは笑みを浮かべた。

その日は、惣兵衛とお美代を祝福するような春の陽光がまばゆい結婚日和だった。
梅乃井は朝から大忙しで、さちは帳場と板場を行ったり来たりしている。
「真吉さん、手抜かりはないようにね」
「でぇじょうぶです」
木更津での婚礼料理は真吉にとって初仕事だった。江戸から持参した清蔵親方の献立は、しっかり頭に叩き込んである。揚物は親方直伝で、魚のすり身を油で揚げる上方風の天麩羅だった。煮方の清三には供する寸前に揚げるようにと指示してある。焼方の藤助は鯛の焼きに入っていた。

神社での御祓いをすませ、新郎新婦が現れると婚礼の宴がはじまった。
白粉を塗られたお美代の顔は別人のようだった。佳乃は話しかけるのも憚られ、手伝いの女たちに交じって膳を運んでいた。
冗談ばかり言っている花婿の惣兵衛も、この日ばかりは口を真一文字に結んで座っている。
列席している人たちのほとんどは縁者だった。三三九度が滞りなく終わると、祝の言葉が飛び交い、酒が振る舞われ、宴たけなわとなった。
そのとき、花婿の近くに座っていた男が、突然、立ち上がり、
「おい!」
花婿の父の浜野屋伊兵衛に向かって叫んだ。
談笑していた人たちが一瞬シーンとなった。

「俺はこのままでは、引き下がらねえぞ、いいか!」
男は早くも酔いがまわったのか、足もとがふらふらしている。
「左衛門、場所をわきまえろ!」
伊兵衛が怒鳴り返した相手は、弟の左衛門だった。
「うるせえ! なにが、場所をわきまえろだ!」
左衛門は普段は温和しい性格だが、酒が入ると人柄が一変し、日頃から思っていることを口走ることがある。酒癖が悪いことは、親戚の間でも知られていた。
「おめえ、悴(せがれ)の目出度い席に、泥をぶっかける気か?」
伊兵衛は立ち上がると、弟の左衛門の胸ぐらを取った。
「何をすんだよ!」
払い除けようとした左衛門の手が、兄伊兵衛の顔を打った。
「この野郎!」
あわや、兄弟喧嘩になろうしたとき、親戚のひとりが二人を引き離すと、
「親戚の皆さんが集まってるから、いい機会(きけえ)だと思ったんだ」
左衛門は酒の臭いをさせながら肩で息をしている。
親戚の人たちは、左衛門の言いたいことは分かっていた。分家した左衛門は、同じ南片町の本通りで古物商をしている。商いが大きくならないのは父親の死後、兄伊兵衛が財産を分けてくれないからだと恨んでいた。

財産は分家するときに、父親から分けてもらっており、商いがうまくいかないのは、左衛門に商才がないからだと伊兵衛は突っぱねてきた。
左衛門は、伊兵衛の長男の惣兵衛が三代目になれば、自分の言い分は通らなくなると思い、親戚の人たちが集まる婚礼の席を狙って文句をつけたのだ。
「もういいから、とっと消えろ!」
伊兵衛は腹の虫が治まらず、弟左衛門の首根っこをつかむと、有無を言わせずに外に連れ出していった。
仲人役をつとめていた親戚の一人が、座を盛り上げようと酌をして廻るが、白けてしまった座は元には戻らなかった。
お美代はいまにも泣きそうな顔をしている。花婿の惣兵衛も俯いたままだった。参列していた人たちは料理を食べ終えると、皆、そそくさと帰っていった。

「おばばさん、お美代ちゃんが可哀想だわ!」
佳乃は膳の後片づけをしながら憤慨している。
「そうだね、とんだことになってしまって」
さちは先を急ぐように帰って行った人たちのことを考えていた。料理をゆっくり味わってもらえなかったことが残念だった。
「あの古物商の叔父さんが、いけないのよ」
「佳乃、口を慎みなさい!」
さちが厳しい調子で叱った。
「あら、どうして?」
「お客さまのことは、あれこれ言ってはいけません!」
「だって、お美代ちゃんは友だちよ!」
「友だちだろうと、何だろうと、お客様は、お客様ですよ」
この機会に客商売としての心構えを佳乃に話しておこうと思った。
「この商売は、お見えになったお客様を誹謗中傷するような事は、決して口にしてはいけません。それと、店のなかで見聞きしたことは、絶対に口外しないことです」
「わかってるわ!」
「軽々しく、人に話すんじゃないよ」
「わたし、それほど、お喋りじゃないわ」
佳乃は口を尖らせた。
「なにかの拍子で、お客様同士が争うようなことになっても、どちらかに味方してはいけませんよ」
「一方の人の方が正しいと思っても?」
「そうだよ。どちらか一方に与(くみ)してはいけないということを、よく覚えておくんだよ」
さちの言葉に、佳乃は黙って頷いていた。(つづく)
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Last updated  2023年01月17日 09時04分46秒


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