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2009年10月27日
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カテゴリ: 運命がくれた愛
第21話 『無上の幸せ』 <全24話>



二人のあいだには、何か激しいものが息づいていた。知性や言葉では明らかにできないものが。

カルロが頭をさげてキスをした。唇と舌を駆使したその本物のキスをされたとき、自分は今まで愛を交わしたことなどなかったのだとエストレリャは気づいた。セックスで喜びを得たことはあるが、それは愛ではなかった。この無上の幸せに、少しでも近づくものではなかった。

そう、こんなふうにだれかに近づくことは、無上の幸せだ。それは、とてもいい気分だった。自分にとってたいせつなものや人生の意義を見いだし、愛によって力を得たように感じるのは、すばらしい気分だった。

カルロがエストレリャの腿のあいだで体の位置をずらし、なめらかなひと突きで、なかへ入ってきた。彼女はなすすべもなく彼を締めつけた。息が喉に詰まり、熱が出たように肌がほてる。ほんのわずかな刺激にも、体が敏感に反応した。
二人の愛の行為は、ゆっくりとしていて濃密だった。それは強制や競争、勝つことや手に入れることとは無縁だった。ただ触れ合い、感じるためのものだった。二人きりで。

緊張がよみがえって快楽が募ってくると、感覚は鋭く強くなった。エストレリャはカルロの肩に腕をまわし、温かく汗ばんだ肌に顔を埋めて、彼にすべてを捧げた。体だけでなく、心も。
だれかに対してこんな気持ちになるとは、思ったこともなかった。それでも、これが愛なのだという確信はある。生まれてからずっと、ばらばらのかけらのような気持ちで過ごしてきた。でも今やっと、カルロがわたしという人間を、完璧にまとめあげてくれたのだ。

翌朝早く、エストレリャはカルロの愛撫で目覚め、二人はふたたび愛し合った。


「どんな暮らしをしているか話してくれないのね」

急に深刻な気持ちになって言う。

「家族のことも、昔の恋人のことも」

「うちは大家族なんだ。弟が三人。みんなイタリアで働いている。それに、親戚がおおぜい」

カルロは肩をすくめた。

「そして、きみに会うまで、だれかを愛したことはなかった。付き合った女性はいるけど、そこに愛はなかった」

おかしなことに、エストレリャの脈拍は二倍の速さになった。

「わたしも同じ気持ちよ」

カルロは手を伸ばして、エストレリャの頬を包んだ。彼女の顔の形や、緑がかったはしばみ色の知性的な目が好きだった。ぼくが女性に求めるすべてを、エストレリャは持っている。いや、それ以上のものを。

「今、いちばんの願いはなんだい?」

「タミール・ナドゥにいるすばらしい女の子たちを、力のかぎり救うこと」

自分に関係したことでないのにがっかりしながら、カルロは首を伸ばして、エストレリャの唇にキスしてささやいた。

「その次は?」

「『ワン・ハート』を世界じゅうに広めること。孤児たちのことを、みんなに知ってもらいたいの」

カルロはまたキスした。

「その願いはかなうよ」

昼前に、二人はドライブに出かけた。人でこみ合うにぎやかなカンヌをあとにして、高い山々へ続く道を進んでいくと、コート・ダジュール一帯のすばらしい景色が望める。

カルロは丘の上にあるムージャンという古い村に入って、車を止めた。二人は野生の花が咲き乱れる草地を横切り、崩れかけた石の壁に向かって歩いていった。

壁に座ると、エストレリャがカルロに寄りかかった。

「きれいなところね。とても平和だわ」

カルロは彼女を見おろした。黒みがかった長い髪が片方の肩にかかっているようすを眺めながら、胸が熱く締めつけられるのを感じた。こんな気持ちになったのは初めてだ。これからも、ほかのだれかに、同じ気持ちを抱くことはないだろう。

エストレリャの顔を自分のほうに向かせて、視線を合わせる。



カルロはエストレリャの顔を両手で包み、キスをした。

「ぼくと結婚してくれ」

                           <10/28公開 第22話へつづく>

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All rights reserved including the right of reproduction in whole or in part in any form. This edition is published by arrangement with Harlequin Enterprises II B.V./ S.a.r.l.  All characters in this book are fictitious. Any resemblance to actual persons, living or dead, is purely coincidental.






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最終更新日  2009年10月27日 09時50分59秒
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