シンデレラ・4


「どうせ皇太子妃のイスを狙って集まった人達だ・・・僕個人のことなんて何にも知らないくせに・・・」
 なんだか空しくなって大広間を抜け、バルコニ-で夜風に当たっていると、大広間から爆音の様な歓声と割れんばかりの拍手、そして喝采を浴びている二人の少女・・・「何の騒ぎだ!?」窓から大広間を覗き込んだ王子様は目を白黒させていました。

 一方、当のシンデレラもジニ-も目を白黒させていました。思いがけない反響に驚いてしまったのです。
 そのとき東宮の大夫(皇太子の守り役)であるグレイスト-ク宮廷伯が手を叩きながら歩み寄ってきました。

伯爵:「お見事でした。お見受けしたところお二方は異国の
    お方の様ですね。今お召しになっておられるその装
    束・・・、確かモノの本では、極東の黄金郷、ジパ
    ングの姫君のものではないかと・・・」

 実は伯爵の蔵書には「かぐや姫」の英訳本があったのです。


 伯爵の言葉にジニ-の表情が輝きました。そしてシンデレラに「やったね?黄金郷の姫君だって・・・」と耳打ちしました。
 そこに緊張した面持ちで王子様が現れました・・・。

 四人は王宮の大広間から貴賓室に移動していました。

王子:「貴女は・・・ホントに極東の国から来たのです
   か?」

伯爵:「はい、それはもう・・・あれを東洋の神秘と言わず
   して何と致しましょう。長年生きておりますがあの様
   な奇術は見たことがございません」

ジニ-:「(東洋じゃなくてトランシルバニアの魔女なんだ
     けどね・・・フッ(~ー~)」

王子:「こちらの姫君と少し話がしたい。悪いが人払いを」

 伯爵が咳払いをしながら目配せでジニ-に退出を促す。ジニ-の方を振り返り不安そうな顔のシンデレラ・・・。「大丈夫!幸せになってd(^-^)!」とジニ-の目が言っています。
 伯爵と貴賓室から退出してきた孫娘をイライザが笑顔で迎えました。

イライザ:「あんたにしてはまあまあ首尾良く行ったわね」

ジニ- :「何言ってんのよ!だいたいお婆ちゃんが大ボケ
     かましてくれたおかげでね~・・・(▼▼)!!」

イライザ:「さて、あの子は幸せになるかねぇ」

ジニ- :「(さりげなく誤魔化したな!?)え、まあね」

イライザ:「さて私達にはもう一仕事残ってるよ!」

 魔女達は王子様が中座していることを悟られない様、皆の目と気をそらすために大広間でマジックショ-を披露していました。

 一方、貴賓室では・・・、

王子:「一つ伺っても宜しいでしょうか?貴女の国でも王侯貴
   族の子供の将来は親が決めるのですか?国益の為に、心
   ならずも結婚する様なことはあるのですか?己が道を行
   くために王位や爵位を捨てた人は?」

しかしシンデレラは答えません・・・、

王子:「ああ、失礼しました。言葉が違うのですね?、私が
   貴女の国の言葉で話すべきなのでしょうが、あいにく
   私には解りません・・・それなのに一方的にまくし立
   てて・・・。」

シンデレラは袖の端を握りしめていましたが、意を決した様に口を開きました。

シンデレラ「私は・・・」

何をする気だ・・・シンデレラ?

つづく

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