遅咲きのたんぽぽ

虎次郎1

 我が家に突然現れた天使(後にとんでもない小悪魔~美貌と気品を備えた猫貴族=な~にがっ!!(▼▼)と思われる向きもあるかと思いますが貧乏人の最後の砦・・・笑って許してやっておくんなせぇ)“虎次郎”・・・。
 君はどこで生まれ、どこを旅してウチに来たのだろう。母親や兄弟と、どんな別れを経験してきたんだろう。
 2001年5月28日。そういえば10数年前、幼い三毛猫と出会ったのもこの日だったっけ・・・。

 客人の車の下からひょっこり出てきた、まるでたんぽぽの綿毛の様な君は私の足に「すりすり」・・・。 
 客人・私(同時に)「可愛いですね~(^_^)お宅の・・・!?(お互いに指を差し合いはたと気付く)・・・はあ!?」
客人「私はてっきりお宅様の猫ちゃんかと」
私「いや私もYさんの猫だとばっかり・・・」
客・私「するとこの子は・・・?(¨;)」
 すると奥から出てきた家内が、
「あっ!可愛い!Yさんの猫ちゃんですか?」
客・私「ぶっ!(思わず顔を見合わせて吹き出す)」
 客人はそそくさと帰り、私と家内と君だけが残った。

「どうしよう・・・」

 猫は好きだが幼少期と少年期に、悲しい別れを幾度となく経験し、二度と猫は飼わないと心に決めていた。
 川向こうに猫屋敷があると聞いて、飼ってくれる様頼んでみた。でも「ウチももう手一杯」と断られた。
 向かいは産廃業者の事務所兼倉庫。何匹か猫が住みついている。子猫もいる様だ・・・。
「ここで幸せに暮らすんだよ・・・」
 抱いていた君を降ろすと振り向かずにダッシュ!!
 家の玄関に着いて振り返ると「ニャァァァァァァ~!!」生後5週目程の小さな君が全力疾走で、悲鳴にも似た鳴き声をあげて追ってくる。
 「来るな!頼むから来ないでくれ!」
もう一度置いてくる・・・。でも君は真っ直ぐ追いかけてきたよね。
たどたどしい足取りで必死に頑張る君の姿を見て胸に熱いものがこみ上げたよ。
 三度目は・・・さすがにもうできなかったよね。
 そして我が家が安住の地となった君“虎次郎兵衛慶祝(とらじろうひょうえよしのり・愛称トラ)”は見た目の可愛らしさとは裏腹に、ものすごい暴れん坊で噛み助だったよね。
 パパの足にはいつも赤い4本線と歯形。ママは障子を38枚張り替えた。下痢が止まらなかったり、下血したり、爪の付け根が化膿したり、そばつゆを誤飲して胃腸炎になったり、と随分ハラハラさせられたね。獣医さんにも「そばつゆのトラちゃん」と覚えられてしまった。ファン倶楽部を作ってくれるって言ってた看護助手さんもいたよね。
 そんな「ごんたくれ」の君も、もう2歳3ヶ月。
 猫じゃらしにも、ネズミのおもちゃにも反応してくれない大人になったけど、抱っこされて庭を散歩するのは今でも一番のお気に入りだよね。
 これからもずっと、一緒に、一年ずつ、歳をとっていこうな。

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