PR
フリーページ
高村薫氏の小説「照柿」が講談社文庫になったので、読みました。昨日読了。
主人公は警視庁刑事、合田雄一郎。高村氏の他の作品「マークスの山」「レディージョーカー」の主人公でもあります。重厚で丹念に細部まで描かれた暗い画面の油絵を見ているようです。
ホステス殺害事件を追う合田雄一郎は電車飛び込み事故に遭遇、轢死した女とホームでもみあっていた男の妻、佐野美保子に一目惚れします。しかし美保子は幼なじみの野田達夫と逢引きを続ける関係だったのです。
刑事ものといっても、主人公合田はかっこよくありません。人間の不条理や情念を感じさせる作品でした。
作品の舞台に東京多摩地域や大阪が出てきて、なじみのエリアが舞台になっていること、さらに、合田刑事は私と高校が同窓であること(架空の人物の彼が6~7年後輩ということになりそうです)も親近感を感じさせる作品になった理由です。
一月ほど前に読んだ、車谷長吉氏の「赤目四十八瀧心中未遂」と重なり合う印象が強くあります。いずれの作品も、作者の力量には敬意を表さざるを得ません。