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2010年04月08日
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カテゴリ: 日本語あれこれ
ねがはくは花のもとにて春死なむそのきさらぎのもちづきの頃(西行)

何年か前にもこの和歌について日記に書いたことがあって、とってあるかなあと思って探してみたのだけれど、なくなっていた。
とっておけばよかったなと、久々に思った。

満月に煌々と照らされた満開の桜の下、あの世とこの世のあわいで眠るように死にたい…。この歌について、ずっと死に対する耽美な誘惑を歌った歌だと感じていたのだけれど、ちょっと違ったかなと、この年になってようやく思い始めた。

「死なむ」の「む」は「死にたい」という願望をあらわしている。三句切れ、倒置法で強調され、まちがいなくこれがこの和歌の主題だっと主張している。で、この「死にたい」は「花の下で死にたいんだ」という条件に対する願望ではなく、「わたしはこういう風に死にたいんだ」という死に様に対する願望なんだろうなと、ようやく分かりかけてきた気がする。

現代社会はとかく陽にばかり傾いていて(男性中心の社会だったり、夜を排除しようとしたり、元気なことがいいことだったり、ポジティブシンキングがもてはやされたり…)陰は克服すべきことのように扱われている。しかし「よく生きることはよく死ぬことだ」という言葉があるように、生きることと死ぬことは表裏一体、陽と陰、分けることの出来ないひとつのことだ。「死なむ」は「こう生きたい」と同等のレベルで「こう死にたい」という願望を歌っているのだろう。

死を現実からの解放、生に対する結末というふうに捉えると、この歌を最後の幕引きを「満月」「桜」といった舞台で終わらせたい、と劇的に読んでしまうのだけれど、生きることと死ぬことをセットで考えると、「こう生きて、こう死にたい」という淡々とした読み方になる。

死を日常のレベルに引きおろして生きるなんてまだまだ到底出来そうにないけれど、この生が夢ならば死も生も同じ夢の続きなのだと、いつかわたしの心が受け入れるときがくるのだろうかとも思う。

今日、これを書くためにネットサーフィンしていて、西行の桜の歌にこんなものもあるのを知った。桜が夢と現実をつなぐ触媒となる、不思議な歌だ。桜の、あの見ているうちにむくむくと動き出しそうな豊満な咲き方は、有を無に、陽を陰に一瞬にして転換する臨界を感じさせる。だからきっと桜は人の心を惑わすんだろう。







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最終更新日  2010年04月08日 18時21分52秒
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ダンゴより花?  
かよはに  さん
考えさせられる歌ですね。

花よりダンゴの私ですが、歳を重ね、もっと真剣に生と死を見つめようと思うのでした。 (2010年04月09日 06時59分48秒)

Re:ダンゴより花?(04/08)  
Tao4802  さん
かよはにさん

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