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2007年04月20日
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カテゴリ: 犬ネコ半蔵コラボ
『解脱!!!』

●崩壊に至る概要
旧西暦2053年7月3日。
地球人口は遂に100億人に達した。
人口増加に対し、何ら抑制策が取られなかったわけではない。
国連は2012年から継続して、人口抑制の提唱を行っていた。
しかし肝心の、根本的な問題が解決されなかった。
つまり貧富の差はますます拡がり、発展途上国は労働力を求め続けた。
国連主要国の裏腹な態度が、人口増加を黙認する形となった。


人類は新たに光と化学に救いを求め、技術開発に労を注いだ。
しかしオゾン層の破壊と温暖化の問題は、全く解決されていない。
オゾンホールはもはや北極圏だけに止まらず、年々拡大の一途を辿った。
地表には紫外線をはじめ、多量の有害線が降り注いだ。
核化学エネルギーの開発にも、大きな落とし穴があった。
核廃棄物の埋められた地中で、想定外の地殻変動が起こったのだ。
廃棄物の一部が海洋に漏れだし、甚大な海洋汚染を引き起こした。
海洋生物は死滅もしくは奇形し、母なる海は過去のものとなった。

『人民の、人民による、人民のための政治』
古典に登場するこの台詞を、こう引用する倫理学者がいた。
「人類は地球までも『人類の人類のための』ものだと錯覚した」と。

ある者は未だ科学力に救いを求め、ある者は宗教に安堵を求めた。
人類が己の傲慢さに気付いたとき、すでに地球は修復不可能だった。
地球は劣悪な状態に置かれていた。
(ユリシス考古学班第3次調査報告 参照)

●アレクサンドラ*の日記

第4殻層より出土した書物より抜粋。)

―7月6日―
麦が手に入った。
裏市場の物価高騰は、嘆かんばかりである。
気の重くなる話題ばかりが続き、思わず滅入りそうになる。
そんな中、久しぶりに興味深いニュースがあった。
北極星から南南東の方向に、新たな恒星が突如確認されたそうだ。

―7月8日―
中国で台風が発生し、上海ではビルが倒壊したそうだ。
爆静策も効かないほど、巨大化しているのだろうか?
おとついのニュースも不穏なものに変わった。
恒星は地球に近付いてきているらしい。
事実、昼間だというのに赤々と光る星が見えるようになった。
妻が気味悪がっている。
私も動揺しているのが自分で分かる。
落ち着かねば。

―7月11日―
この数日で状況が一変した。
何から書くか…とにかくペンをとる。
例の恒星は、もはや星では無いことが肉眼でも分かるようになった。
空の半分を埋め尽さんばかりに膨れ上がっている。
中で何かがうごめいているが、それが何なのか定かではない。
アメリカが調査を続けているそうだが、無意味に思える。
何か不吉なことが起こる…そんな気がしてならない。
テレビが映らなくなったのは、地磁気異常のせいだと聞いた。
おかげで詳細が伝わってこないが、一体どうなってしまったのか?
怯える妻を落ち着けたいが、正直私にも対処法が分からない。
季節は夏だというのに、静電気がよく起こる。

―7月12日―
昼に山羊の肉を食べた。
貯金が底を尽こうとしている。
状況は昨日と変わらない。
政府から非常事態宣言が出された。

―7月13日―(一部不明瞭な箇所あり)
なぜペンをと(るの)か。記ロクでき(以下不明瞭)
時計は午ゼン10時すぎ。
空が白い。まぶ(しくて)目が開けられない。
手がしびれる。何なのか分からない。
(10時?)40分だ。あの星、人が出てきた。
大きい。雲がわ(以下不明瞭)
暗い。妻は?大(き)い人だ。
ダメだ。おわりにち(以下不明瞭)
風かツヨい。飛ば(されそ)うだ。
50分。口をあけた。
吸われて(いる?)
耳がイタい。イタくてめ(以下不明瞭)
もうだめだ。吸(以下不明瞭)
いの(以下不明瞭)

●蘇生の過程ならびに見解
旧西暦2053年7月6日
地球蘇生プログラム(通称:アンゴルモア)展開。
カトリック系キリスト教会によってプログラムされたとされる。
プログラム時期、方法、目的背景など詳細は不明。
上空約21000m付近で化学組織が構築され始める。
地上からは恐らく輝く星のように見えていたと推測される。
組織生成に伴って徐々にアンゴルモアは肥大。
5日後の同月11日には、およその形態が完成。

・7月13日(以下略)午前10時7分頃
アンゴルモア実体化開始。
実体化に伴う化学反応により強烈に発光。
空全体が白く霞んでいたことが記録されている。
また振動波により空気が摩擦を起こし、静電気を発生。
程度によっては火災が発生したことも考えられる。

・同39分
アンゴルモア実体化。
同時に発動エネルギーを充填し始める。
外見は人型をしており、胸部までが地上からも確認できたようだ。
気圧の急激な変化により、実体化から数分後には乱気流が発生。
高層ビルが倒壊したことが記録に残っている。
その被害状況から、風速は90m毎秒と推定。

・同47分
アンゴルモア発動。同刻蘇生吸引を開始。
人工生成物質等がアンゴルモアによって吸引、原子分解される。
吸引対象は教会によって有害指定されたもの、との見解が有力。
尚、人類自身が指定されていたかどうかは定かではない。
ただし説法から判断しても、指定外という見方が一般的である。
また強力な吸引によって、急激な気圧の低下と低酸素状態が発生。
人々の多くは、ここで意識を失ったのではないかと推測される。
人的被害の大半は、建造物倒壊や吸引に巻き込まれたもの。

・同53分
蘇生吸引完了。
大半は吸引分解され、生存者は山間部に約2%であった。
同刻アンゴルモアは蘇生措置を開始。
吸引分解された原子物質が、蘇生エネルギーとして吹き出された。
この息吹により、現在の環境が生成されたと考えられている。
酸素濃度上昇、森林蘇生など、環境修復内容は多岐にわたる。

・同56分
アンゴルモアプログラム終了。
人型のプログラムは雲のように跡形無く消え去った。
何事もなかったかのように、そよ風が吹いたとの伝承がある。
(ユリシス環境分析班『環境蘇生過程解説』 参照)

●石碑*に刻まれた言葉より
*旧チリ領アンデス山麓に現存。
現在のオムド系を担った生存者が刻んだとされる。

『あの日我が身に起こったことは、我々の常識を凌駕していた。
否、我々は全知全能だと思い込んでいたのだ。
ただ一つ言えることは、神はやはり存在した。
我々を知り、我々を正しく判断したのだ。』





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Last updated  2007年09月01日 20時20分55秒
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