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2008年06月14日
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カテゴリ: 犬ネコ半蔵コラボ
『世界塔』

人はなぜ逃げる。

愛する者が一瞬にして奪われる理不尽さから。
自分にとって一文の得にもならない弊害から。
それなりの労を要する人と人との繋がりから。

つまり人は皆、解放されたいのだ。
哀しみ、疑い、怖れ、そしてほんの刹那だけ抱く儚い希望。
その全てを拭い捨て、悦楽に身を委ねたいのだ。
ただ、楽に生きたいのだ。



老婆は言う。
あれは人の快楽、哀愁、憎悪の成れ果てだと。
生臭い人の感情が往き場を失い、ただ高く高く積み上げたのだと。

世界塔の始まりは既に分からぬ、誰にも終わりは見えぬ。
ただ栄華と繁栄だけを求め、上へ上へと伸び続ける。
夜が更けいっても歓喜の声は消えず、始終悦楽の吐息が漏れる。
私利私欲の為に一切を喰い潰し、不必要なものを蹴り落とす。

結局は不必要を生むのだ。
それがコミュニティである限り、光は常に影を生む。
そのとき、不必要とされたものが生む哀しみ、怒り、絶望。
その矛盾は熱量となり、世界塔を上へ上へと押し上げる。


ただ高くただ上へと。
始まりは既に分からぬ、誰にも終わりは見えぬ。

老婆は言う。
あれは怯えているのだと。
もはや上部の見えぬ、歪に伸びた塔を見上げて。




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Last updated  2008年06月14日 21時15分34秒
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