「クミさん、もう時間だよ。」「いいんですか?」「うん、もう一人のクミさんと、しばらく、ここにいるから。」「じゃ、クミちゃん、気を付けてね。大ちゃんの言う事を聞いて、遅くならないように帰るんですよ。」「自分の事?」「そうです、だって、まだ、ここにいたいもん。」「じゃ、がんばって!」「あした、お願いしますね。新宿駅で。」「うん、何かあったら、ケータイに。僕も早めに帰るから、今日の早仕舞いは、気にしないで。」「はい、わかりました。」 クミさん、目で合図。席を立つとき、僕の手に、そっと手を添えるように置いて、しばらく、そのまま、そして手を離して、行ってしまった。(二人の間だけで判る、クミさんの愛情表現のひとつ。クミさんの手の温かさもいいけど、この時の、クミさんの目がいいな。二人だけだったら。クミさんの頭を引き寄せて、キスしてしまうところだね。) まだ、明るいうちに家に帰る。部屋が、お日様いっぱいで、暑い、暑い。 明日出来ない、掃除と洗濯を、早々と片付けてしまった。クーラーのきいた部屋で久し振りに、ごろごろしながら、TVの野球を見ていたけど、ケータイが鳴るんじゃないかと、気もそぞろで、やっぱり、クミさんが気になっていた。 No news is good news かな。明日は、がんばらなくっちゃ。