埋もれ火のアンソロジー

2010.11.05

おまわりさん

(4)

カテゴリ：人・風景・暮らし

交通違反でつかっまったときは

自分が悪くても「けいさつ」と呼び捨てるのだが

親切にされると

「おまわりさん」と呼んでしまう俺なんだ。

で、

今回は親切にされたんだ・・・

英彦山奉幣殿の横に

手作りのような木のテーブルと椅子があったので

座って水飲んでバッグからノートとペンを出して

そこにパトーカーがやってきた。

俺はひたすら５・７・５を考えてたら

パトカーからおりてきたふたりのけいかんが

「こんにちは」て声かけてきたんだ。

まだこの時点では「けいかん」なわけね・・・

警官「こんいちは」

おれ「あ、こんにちは」

不意の挨拶にちょっと驚いた。

（俺、何も悪いことしてないよな・・・）

なぜか警官みたらそういう意識になる・・・

おれ「なにかあったんですか？」

おれ「これから上まで登るんですか？」

警官「はい」

おれ「大変ですね～」

警官「（笑う）」

紺色の揃いのジャンバーに黒いブーツ姿。

警官「ドコモとauはつながりますがソフトバンクはダメです」

おれ「やっぱりそうですか」

ふたりが服装を整え、持ち物を確かめあってるとき・・・

おれ「この建物がほうへいでんですよね？」

警官「はいそうです」

おれ「ほうへいでんって漢字でどう書くんですか？」

警官「えーっと・・・」

おれ「あ、いいです・・・巫女さんに聞きますから」

警官、車をあけてごそごそ何かをさがしている。

申し訳なくなった俺・・・

おれ「忙しそうなのでいいですから」

警官「これに書いてあります」

と、登山マップを取り出して地図を見せてくれる。

おれ「ああ～～～この奉でしたか・・・」

警官「何か書いてられるんですか？」

おれ「何か書きたいと思ってるんです。ありがとうございました」

登山マップをかえそうとしたら

警官「どうぞ。これ差し上げます」

おれ「え！いいんですか？ありがとうございます」

瞬間、ふたりの警官は

ふたりのやさしいおまわりさんになって

下宮の鳥居をくぐって石段を登っていったのだった・・・