サイド自由欄

2021年09月08日
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・以下に「シャンティ・フーラ」のブログ記事の
 一部を転載します。






 ぴょんぴょんの「誰がなぜ、下山総裁を殺したか?」
~下山事件は、戦後日本のターニングポイント
(シャンティ・フーラ)
https://shanti-phula.net/ja/social/blog/?p=287598

 研修時代に勤務した病院は、
 JR田端駅からバスで行ったところにありました。
 その田端駅から、5キロほど離れたところが、

 あの「下山事件」の現場だったとは。
下山事件 最後の証言〈完全版〉 」を読むまで、
 まったく知りませんでした。

 ほんとに、何も知らずにのほほんと生きてきてごめんなさい、
 という感じです
(本文のカッコ内のページは、すべてこの本のページです)。
(ぴょんぴょん)






戦後最大の迷宮入り事件「下山事件」

 クロ:
「下山事件」て知ってるか?

 下山国鉄総裁が出勤途中に失踪し、
 翌6日未明、
 足立区綾瀬の線路上で手足、胴体、頭、
 バラバラの轢死体で発見された。

 シロ:

 でも、あれは「自殺」で解決したんじゃないの。

 クロ:
 いんや、自殺じゃねえ、れっきとした他殺だ。

 シロ:
 どうして、わかるの? 

 クロ:
 下山総裁の遺体の轢かれた部分には、
 生体反応がなかった。

 シロ:
 つまり、轢かれる前に死んでたってこと?

 クロ:
 ああ、そうだ。
 しかも奇妙なのは、
 現場にほとんど出血が見られなかった。
 どうも、血を抜かれて殺されてから、
 線路の上に置かれたらしい。

 シロ:
 ヒエエエ!! ドラキュラ~!!
 なんで、血を抜く必要があるの?

 クロ:
 拷問するため。
 満州じゃ、よく知られた方法らしい。
 柴田哲孝(てつたか)著「下山事件 最後の証言」を読めば、
 そこら辺のことが、
 映画を見るようによくわかる。
 なんたって、
 著者の柴田氏の祖父や親戚が
「下山事件」に関わってたからな。

 シロ:
 へえっ! 身内が事件に関わってたの?

 クロ:
 柴田氏が敬愛する祖父の「ジイ君」、
 いつもスーツ姿に中折れ帽でパシッと決めた、
 ダンディな「ジイ君」。
 本名柴田宏(ゆたか)。
 彼の23回忌に、
「ジイ君」の妹が、
 酒の勢いでポロッと言った。
「あんた、下山事件て聞いたことあるだろう。
 あれは自殺だとかなんとかいろいろ言われてるけどね。
 本当は、殺されたんだよ……」
「あの事件をやったのはね、
 もしかしたら、兄さんかもしれない……」。(22p)

 シロ:
 ヘエエエ!!
「ジイ君」が「下山事件」をやった?!

 クロ:
 それを聞いて驚いた柴田氏は、
「ジイ君」の真実を知るために
「下山事件」の資料をかき集め、
 さまざまな関係者を取材して、
 完成したのがこの本だ。

 シロ:
 で、「ジイ君」はクロだったの?



事件のナゾを解くカギとなる「亜細亜産業」と「ライカビル」

 クロ:
 さあ、それは読んでのお楽しみさ。
 同じ著者が書いた
小説版の「下山事件 暗殺者たちの夏」 の方が、
 わかりやすいかも。
 で、事件のナゾを解くカギは、
「ジイ君」が勤めていた「亜細亜産業」と、
「亜細亜産業」の入っていた「 ライカビル 」にあった。

 シロ:
 ライカって、ドイツのカメラだよね。

 クロ:
 ビルの1階に、
 ライカを輸入する
 シュミット商会が入っていたからな。
「ライカビル」は別名、
「日本の右翼社会の総本山」とも呼ばれていた。(234p)

 シロ:
 ひええ~! 

 クロ:
 そして、「ジイ君」の勤める「亜細亜産業」は2階。
 満州で一儲けしたヤツらが、
 敗戦で無一文で帰ってきたところをリクルートしていた「亜細亜産業」。
「亜細亜産業は、
 三浦義一と矢板玄(やいたくろし)の2人、
 満州で矢板機関という特務機関をやっていた人間が中心となった、
 右翼浪人の組織です」
村本尚立のウェブサイト

 シロ:
 満州で特務機関?

 クロ:
 ああ、いろいろやったらしいぜ。
「ジイ君」の弟の喬(たかし)は、
「亜細亜産業」に勤めない理由をこう話していた。
「あんなおっかない会社、いられないよ。
 年中、誰を殺すのやら、誰が殺られたのって話してるんだぜ。
 それに、密輸だろう……」。(428p)

 シロ:
 密輸?
 そう言えば、満州の特務機関のほとんどが、
 アヘン売買に関わってたって言うね。( ユダヤ問題のポイント

 クロ:
 その通り、
「亜細亜産業」も麻薬の密輸をやってたんだ。
「アヘン王」の里見甫(はじめ)を、
 GHQ参謀第二部(G2)のジャック・キャノンに紹介したのも、
「亜細亜産業」代表の矢板玄(くろし)だよ。(316p)

 シロ:
 う・・「ジイ君」の会社、そうとうヤバいじゃん。

 クロ:
 で、「ライカビル」の3階は「三浦義一」の事務所、
 4階は「三浦義一」が取り仕切る
「日本金銀運営会」と「国策社」があった。

 シロ:
「三浦義一」って、知らないなあ。








 クロ:
 日本の、右翼社会の頂点に君臨した男。(227p)
 当時の首相、佐藤栄作をアゴで使う男。
 こんな話がある。
 佐藤首相から三浦にかかってきた電話で、
 三浦は佐藤に
「とくに建国記念日の問題だが
 2月11日にしてもらわなきゃ責任は持てない。たのんだよ」と
 ダメを押した。
 そして席へ戻ると、
「おい、2月11日に決まったよ」と
 平然と言ったという。(228p) 






 佐藤栄作
 Author: Nijs, Jac. de / Anefo [CC BY-SA]



 シロ:
 ほんとだね。

 クロ:
 で、「三浦義一」の3階サロンには、
 右翼だとかヤクザだとかGHQや政治家だとか
 変な奴らが出入りしていたそうだ。(26p)
 たとえば、
 白洲次郎、佐藤栄作、吉田茂、岸信介、
 社会党議員、共産党指導者、反共の国粋主義者、
 GHQの高官、韓国人、朝鮮人、殺し屋まで。






 白洲次郎 (左) 吉田茂首相 (右)
Wikimedia_Commons [Public Domain]



 シロ:
 白洲次郎も来てたんだ。
 戦前からイギリス留学して英語ベラベラで、
 スポーツカーを乗り回す、カッコいい人。

 クロ:
 は?

 シロ:
 彼は、戦争が始まる前に田舎に疎開して、
 食糧難に備えて、農業をやってたんだよ。
 誰も戦争が始まるなんて知らない時期に、
 先見の明があってスゴイよね。

 クロ:
 アホ!
 戦争が始まるって知ってたから、
 疎開したに決まってんだろ。 

 シロ:
 え?! 知ってたの?

 クロ:
 自分だけ知ってて、逃げて、生き延びて、
 どこがカッコいいんだよ!
 ズルいやつと思わんか?
 赤紙も握りつぶしとるし。
人力検索はてな

 シロ: 
 え?! 特権階級だったの?

 クロ:
 それに、白洲は「三浦義一」と蜜月の仲だった。(229p)

 シロ:
 うわ! そっちの人かあ。

 クロ:
 そう言えば、戦争が始まる前に
 ちゃっかり疎開した白洲の話で思い出した。
「亜細亜産業」に勤めていた女性社員の証言だ。
 昭和20年の春、
 突然、同僚の工藤孝二郎が家に来た。
 何しに来たのかと思ったら、
「あとニ-三日したらここは空襲になるから、
 荷物をできるだけ持って逃げろ」と言う。
 言われたとおりにしたら、
 その後、本当に東京大空襲があって、
 彼女は助かったそうだ。(253p)






 東京大空襲
Wikipedia [Public Domain]



 シロ:
 なにそれ、
 知らなかった10万人の人たちは、死んじゃったのに。
 工藤って人、なんで知ってたんだろう?

 クロ:
「亜細亜産業」は、そういうとこなんだよ。

 シロ:
 戦時中に米軍の情報を知ってた、
 てことはアメリカのスパイだったの??

 クロ:
 国民が戦争で殺されてたときに、
 何が起こるか知ってた連中がいたんだな。

 シロ:
 だけど、
「亜細亜産業」にしろ「三浦義一」のサロンにしろ、
 集まった連中はそこで何をしてたんだろう。

 クロ:
 そこを詰めれば、
「下山事件」が解けるな。

 シロ:
 下山総裁がなんで殺されたのか、
 わかるってこと?

 クロ:
 いろいろな可能性がある。
 下山が殺されたのは、
 国鉄の3万7千名を解雇する、
 第一次整理者名簿発表の翌日だった。
 また、下山が亡くなった後、
 国鉄の解雇は順調に運び、
 共産党、いわゆるアカの勢いも弱まった。

 シロ:
 じゃあ、下山さんを殺したのは、
 アカを弱らせるためだったの?

 クロ:
 たしかに、
 アカの増大を抑えたかったGHQにとっては、
 望ましい結果だが。
 それは、結果論で、
 下山を消す理由は他にもあった。
 当時の国鉄は、贈収賄の巣だった。
 たとえば、国鉄は
 下請け業者に適正価格の2~3倍の価格で発注する。
 その価格は、国鉄と業者の談合によって決められる。
 談合に参加できるのは、
 満州鉄道や旧日本陸海軍と取引があった団体や企業のみ。
 そして、下請け業者は受注金額の3~5%を、
 運輸省の役人や国鉄幹部にペイバックするという仕組み。(511p) 

 シロ:
 と言うことは、
 下山総裁もおカネをもらっていた?

 クロ:
 いや、
「下山さんは、良くも悪くも正義漢だった、
 融通が利かないというか」(511p)

 シロ:
 もらってなかったんだ。
 もしかして、逆に、それで殺された?

 クロ:
 下山は、国鉄一筋の技術者で仲間思いの正義漢、
 国鉄の首切りも不本意だった。
 国鉄の客車の椅子を発注する際に、
 運輸次官だった下山はこう言った。
「同じ椅子が、他の会社ならば半額で作れる。
 国鉄の設備投資の予算を半分に抑えることができれば、
 残りを人件費に回せる。
 人員整理も半分の5万人ですむ」(512p)

 シロ:
 仲間の首切りを減らすために、
 国鉄の収賄を止めさせようとしたんだね。
 実にまっとうな考えだけど、危ないかも・・。

 クロ:
 まさに、その汚れたカネで潤っていた
「亜細亜産業」や「三浦義一」のグループは、
 下山が運輸次官になった時期、
 経営が苦しかったと言う。(512p)
 また、国鉄東北本線の変電所建設の受注で、
 日立と東芝が争っていたころ、
 下山の一声で日立に決まった。
 それによって「亜細亜産業」のあるメンバーは、大損をした。
 そいつは「下山を殺してバラバラにしてやる」と激怒した。(514p) 

 シロ:
 ヤバい! その通りになってるよ!
 いったい、それは誰?

 クロ:
「その名前はすでに、この本の中にも何度か登場している」(514p) 
 小説版を読めば、もっと、はっきりわかる。

 シロ:
 てことは、
 やっぱ「ジイ君」の「亜細亜産業」が下山さんをヤッたんだね。

 クロ:
 いや、「亜細亜産業」にも動機があるが、
 ヤツらは単なる実働部隊にすぎない。
 事件が起きると知りながら、黙認していた連中がいる。
 吉田茂とか、腰巾着の白洲次郎とか。

 シロ:
 ええ?? 

 クロ:
 国鉄のペイバックは当然、吉田の懐にも入ってたろうし、
 後に、東北電力会長になった白洲にとって、
 電力業界へ資金が流れ込むことに反対だった下山は、
 ジャマだったはずだ。
 それに、吉田も白洲も
「ライカビル」によく顔を出していたから、
 計画は知ってたはず。








 シロ:
 なるほど。


 クロ:
 もひとつ、GHQも知りながら黙認していた。
 GHQには、
 下山のように国鉄の汚職を一掃したいGSサイドと、
 汚職の利権をそのままに
 日本の富をアメリカに売り飛ばしたいG2サイドに
 分かれていた。
 事件を黙認し、警察の捜査を遠ざけ、
 かつ事件に手を貸したのは後者だ。

 シロ:
 やっぱり、GHQも手を貸してたのか。

 クロ:
 そして、日本を取り巻く世界情勢。
「あの頃の世界情勢はどうだったのか。
 その中で、日本はどのような立場に立たされていたのか。
 それさえわかれば、
 なぜ、下山が殺されたのかもわかるだろう」と、
 矢板玄は言った。(342p)
 たとえば、「アメリカ対日協議会(ACJ)」。
 ヤツらは、日本の財閥を復活させ、
 旧体制の要人たちを復権させようと圧力をかけていた。
 また、ふたたび戦争で儲けようと、
 次の朝鮮戦争に備えて
「日本をアメリカのためのアジアの工場として復活させ、
 共産主義に対する防波堤にしようと考えていた」( Wiki

 シロ:
 アジアの工場、防波堤だって?

 クロ:
 国鉄も、アジアの工場の歯車のひとつにすぎない。
 だから、首を切って合理化したい。
 それに乗り気でない下山は、ジャマでしかなかった。

 シロ:
 下山さんは、
 国鉄の職員たちを守りたかっただけなのに。

 クロ:
 そんなACJの日本側の主要メンバーが
 澤田夫妻(廉三と美喜)、
 白洲次郎や佐藤栄作も関係している。






 澤田夫妻(廉三と美喜)
 Wikipedia[Public Domain] 1 & 2



 シロ:
 アメリカの利益になるよう手引きした、
 って売国奴じゃないの?

 クロ:
 もしもGHQのGSが失脚させれず、
 あのまま民主化路線で財閥が解体され、
 戦前の要人は公職追放され、
 自民党がCIAのしもべになることもなく、
 下山総裁のように汚職を嫌い、
 国民の生活を守るような政治家が日本を引っ張っていたら、
 外国資本に甘い汁を吸われることなく、
 アメリカの永久基地になることもなく、
 豊かで民主的な日本になっていただろう。

 シロ:
 ところが、
 そうはさせるかって、
 下山総裁を見せしめにしたんだね。

 クロ:
 下山総裁の死を、ムダにしたらもったいない。
「明治維新以来現在に至るまで、
 日本の支配者のほとんどが、
『コンプラドール』、つまり植民地において
 宗主国のために自国民の財産や命を売り飛ばし、
 それにより金と権力を独占する
『売国ブローカー』であったという悲しむべき歴史」( アマゾン書評

 シロ:
「下山事件」の真相を知ることによって、
 今の日本を支配しているのがどういう連中か、
 わかってきたよ。






 Author: PekePON [CC BY-SA]





















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最終更新日  2021年09月08日 21時56分32秒
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