あ~そ~ぼっ!

初めての妊娠


・出産・育児を経験して「女の人ってこんなにいろんなことを経験するんだ~」と実感したあの日。身を切られるような苦しい経験だったため、どこにもその時の形跡が残っていないのでここに。


第一子妊娠のとき

・同棲を始める
  婚約をし、二人で一足早く同棲を始めた頃、快調に一ヶ月ごとに来ていた月のモノが来ない為、妊娠判定薬を未来の旦那様に頼み買ってきてもらった。恐る恐る試してみると陽性反応。身に覚えはあっても信じられずに、もう一本使って判定し、またまた陽性反応が出て、日を見て産婦人科へ行く。そういえば、少し前に熱もないのにしんどくて起きられず、仕事を休んで一日中寝込んでいたことがあった。あの時には妊娠で体質が変わっていっていたのかもしれない。

※ちなみに妊娠判定薬は、陽性が出た場合ほとんどの確率でできているそうです。陰性は判定の失敗などでできていても反応しない場合があるらしいので陰性だからといってできてないとは言い切れないそうです。


・産婦人科へ…
  友達の出産の時に行ってすごくきれいだった実家の近くの産婦人科に行ってみる。初めての内診台は、乗るのに戸惑ってしまった(あれは今でも苦手)。子宮内に小さな卵のようなものが見え、妊娠確実。旦那様と両家族・職場に知らせる。


・つわり始まる
  日を追うごとに嗅覚が敏感になるのか気分が悪いからよけいに臭うのか自分の住んでいる家や食べ物(特にカニ)の臭いが嫌で嫌で、気分が悪くなり吐くことも出てくる。それでも妊娠に対しては軽く考えていて、自転車通勤をしたり重いものを持ったりとかなり無茶をしていた。
  結婚も予定より早まり、その準備にも追われるようになる。


・3度目の健診
  内診台で赤ちゃんの映像を見るが、お医者さんの反応が「ウ~ン…」。話を聞くと、心臓の動きが見られないとのこと。その時はまだ、「角度が悪かっただけよ」とあまり信じていなかった。


・出血
  あの健診から3日後の朝、出血に気づいて病院に行くため職場に休みの電話を入れる。休診日だったためとりあえず病院にも電話をするとすぐに診てくれるとのことで、急いで電車に乗り病院に行くと誰もいない待合室から内診室へ。やはり赤ちゃんは動いていない。診察室に戻るとお医者さんは難しい顔で「もうお亡くなりになってます」と一言。クラッと一瞬目の前が揺れたが、泣きもせずに「そうですか…」となんとか返事をした。
  とりあえずそのままでは大出血してしまうので、入院準備をして夕方に来てくださいということで、一旦病院を出た。そして旦那さんにすぐ「あかんかった」と電話をしているうちに涙があふれて止まらなくなって、泣きながら電車に乗った。


・なぜかショッピングセンターに…
  あまりにも混乱してしまって電車を途中下車し、まだ開いてもいないショッピングセンターのベンチにしばらく座っていた。気晴らしのつもりだったが、ショッピングセンターがまだ開店してないため人気もなく、よけいに泣けてきてしまった。グズグズ言っていると「どこにいるんや?」と電話がかかってきた。「アルプラ…」と言うと「なんでそんなとこに…」と言いながらも、私が流産してしまったことを知って仕事を休んでショッピングセンターまで来てくれた。
  旦那さんも仕事で一日いないし今日は長い一日になりそうだなぁ…と思っていただけに、来てくれたのが嬉しくてよけいに泣いてしまった。
  とにかく気晴らしに買い物をしてから琵琶湖のほとりで仕事場で食べるはずだった彼のお弁当を二人で食べた。そして家で思いっきり泣いた。


・入院
  朝から生理みたいな鈍痛がするなぁと思っていたが、夕方にはそれがかなりひどくなり、移動中の車の振動が痛みの芯に届くぐらいになった。出血は少しずつ増えているが、まめに生理用品を取り替える程ではなかった。
  病院に行くと内診をして旦那さんと一緒に、もう動かない赤ちゃんを見た。どんなに言ってもどんだけ動いていない赤ちゃんを見せても信じない方がいるらしいことをお医者さんは前置いて「これで納得しましたか?」と尋ねてきた。こんなに出血していて赤ちゃんが大丈夫なわけがない…私はうなずいた。
  早朝に手術をするための器具を入れ、個室の病室に案内された。お腹の痛みがどんどん増してくる。ベッドに横になると痛くて我慢できず看護婦さんに「痛み止めって無いですか?」と聞くと「子宮収縮が始まっているから仕方がないの」ということで、しょうがなく我慢することに。


・破水
  朝に手術なので、食事はしてもいいとのことだったので、旦那さんと近くのコンビニに行こうとよろよろしながらも廊下を歩いているとき、何かが降りるような感じがして廊下に両手をついて座り込んでしまい、途端に下の方がなま温かくなった。
 「エッ大量出血?!」と感じた私は旦那さんにとりあえずおにぎりを買ってきてと頼み、自分はトイレに駆け込んだ。見ると血ではなく水のようなものが大量に出ている。破水がこれとは思いもしなかった私は、とりあえずお腹が痛いのでベッドに横になった。


・激痛!
  痛みはどんどん増してきては去っていきを繰り返す。それでもお腹が空いていたのでおにぎりを一つ食べたが、痛くてもう一つのおにぎりは残した。痛みは陣痛のような感じだった。ウンウンうなっていたがふと「出血もれてないかな」と思い、腰の下を見ると、そこには真っ赤に染まったシーツが現れた。ヤバイ!と思って室内のお風呂に駆け込み、シャワーをかけて出血部分を流したがすごい出血で風呂場から出ることさえできない状態だった。パジャマと汚れた所を洗うだけのつもりだったのに…と思ったが、出血が止まらないのではどうしようもない。側にあったナースコールをするとすぐに看護婦さんがやってきて、風呂場の惨状を見て声をあげた。
  すぐ処置室に運ばれ先生が内診をすると、もうほとんど流れ出てきているとのことで、緊急手術となった。さっき食べたおにぎりが仇となり、麻酔なしで処置をすることになってしまった。激痛はなかったが、器具が出たり入ったりし、最後に子宮の中を洗浄。あのときの感覚はあまり覚えていない。ただ死んでしまったとはいえ私の赤ちゃん。一目でも見たいと言ったが「見ない方がいい」と言われてしまった。性別だけでもと聞いてみたが「分からないんだ。もう形が残っていないから…」と言いにくそうに言われた。そういわれてしまうとあきらめるしかなかった。それに今不安定な状態で赤ちゃんを見てもショックを受けて取り乱すかもしれないと恐れたのもあった。
※麻酔なしに手術をした理由は、おにぎりがお腹に入っている時に麻酔をして、万が一手術中に嘔吐などで吐いて気管に吐物が入ると窒息する恐れがあるらしい。


・術後
  大量出血だった状態からも脱し痛みも大分和らいだが、もうお腹に赤ちゃんがいないという現実に耐えられず横になったまま泣き明かした。
  4ヶ月ちょうどだったので死亡届を出してお墓に入れるため、退院時に小さな箱を渡された。私の赤ちゃんが入っている…。それまで我慢していた涙がまた出てきてしまった。


・家に戻る
  一応、出産扱いなのと母体安静のため1ヶ月の診断書が降りる。その間、赤ちゃんを焼き場に持っていき、灰を拾ってささやかなお葬式をした。そしてお墓にそっと入れてもらった。
  しばらく悲しみは薄れることなく泣けてくることもあったが、何よりも旦那さんが、流産と分かったときにすぐに来てくれたこと、その後も悲しむ私を「どうなぐさめていいか分からないけど」と言いながら、不器用だけど必死で支えてくれたことで、彼を心底信用できる人だと知った。そして一生この人と一緒にいても大丈夫と…。



赤ちゃんを亡くしこれ以上のことは無いと苦しんだ。でも得たものもあったのだと思う。 次に授かった命へ…



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