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先日見てきました。
ひとえに、配役に興味があったからです・・・
苦役列車
(2012年「苦役列車」製作委員会)
監督:山下敦弘
脚本:いまおかしんじ
原作:西村賢太(第144回芥川賞)
あらすじ
1986年。中学校を卒業して以来、孤独な日々を過ごしていた
北町貫多( 森山未來
)は、19歳の今、日雇い労働で稼いだ金を
あっという間に酒と風俗に費やすようなその日暮らしをしていた。
ある日、職場に専門学校生の日下部正二( 高良健吾
)が入ってくる。
一緒に過ごすうちに、貫多にとって日下部は初めて友達といえるかもしれない
存在になる。そんな中、古本屋に立ち寄った貫多は店番をしていた
桜井康子( 前田敦子
)に一目惚れをする。
日下部の後押しにより貫多はどうにか康子と友達になる。
しかし友達という存在に慣れていない不器用で屈折した貫多の態度により、
3人の間に亀裂が生じる……。
これって、興行成績悪いんですかね?
確かに、貫多は下ネタというか風俗の話ばっかりだし、
なんでもかなり斜めから見て、ひねくれたものの捉え方をする・・・
そういう部分が、受け入れられない人にはキツイ映画なのかも。
まあ私も、最初は貫多のそういったひねくれた部分が癇に障ったところも
ないことは無かったけど、小学生のときに父親が性犯罪で捕まって一家離散、
中学卒業と同時に日雇い労働のその日暮らし、普通の青春時代を送れなかった、
そんな状態でいたら、やはり素直には生きていけないのかもしれないな・・・
という部分がだんだん見えてきて、貫多に対する見方が少しづつ変わります。
正二という青年は、九州から上京したばかり、
本当に素直ですれたところがなくて、普通なら絡みにくい貫多にも
割と笑顔で話しかけて行ったりして・・・貫多にははじめての同年代の友達、
と呼べる存在になります。
中卒だから学もないし、世の中の底辺で
生きてる、と何かにつけて卑屈になる貫多ですが、本を読むことだけは大好きで
古本屋のバイトの康子(映画オリジナルのキャラだそうで)のことを
いつも見ていました。それを正二に話すと、正二は案外世慣れてるというか、
さらっと二人をとりもって、"友達"になることができます。
康子も貫多や正二と同じ年で、
貫多にとっては初めてのボーリングに行ったり、海に行ってパンツで泳いだり・・・
康子役のあっちゃんも、下着姿(いわゆるシミズ姿)で、波でパンツまでめくれても
果敢に寒い海に飛び込んでいって体張ってました。
彼らと無邪気に遊んでいる時の貫多は、やはり19歳の普通の青年で、
いかにそういう状況を心の底では欲していたか、と思うと切ない・・・
連続出勤すると、外の仕事じゃなくて
倉庫の中の仕事に昇進するみたいで、二人一緒に昇進しますが、、
何でも起用にこなし、人当たりも柔らかい正二に対してやっぱり不器用な貫多。
結局外の担当に戻ってしまったり、上司を殴ったり、、、、本当に人付き合いが
下手で、感情をうまく表現できず、もどかしい。
一匹狼でいいんだ、というオーラぷんぷんでありながらも、どこか寂しそうで
猛烈に同年代の友達や彼女の存在に飢えている貫多と
人懐っこくて何でも起用にこなす正二は、正反対とも言えるのかな。
結局その後、正二の彼女を貫多が酔って非難してしまって、
さすがの正二も貫多に寄り付かなくなってしまいました。寂しいことです。
ま、この正二の彼女ってのも、当時ありがちなサブカルかぶれ?な
わけわかんない彼女だったけどね二人のやり取りは苦笑いしちゃいます。
職場でコトあるごとに、若いんだから
夢を持て、とウルサク言っていてウザいと思っていた高橋( マキタスポーツ
)が
職場で大怪我をして見舞金を代表して持って行ったとき、
初めて自分は本を読むことだけは好きだから、モノを書きたい、
と貫多は自分の思いを高橋にぶちまけ、それに応えるように
高橋はかつて歌手になるのが夢だ、と言っていたことにたがわない歌声を
強引だけど聞かせてくれるんですよね・・・これは、口下手同士だけど
精一杯の高橋のエールで、、、ちょっと感動的。
貫多は、自分の気持ちをうまく表現できず、
友達じゃなくていい、やらしてくれ!と康子に迫ってしまい、
頭突きされて二人は終わってしまいました。
3年経って髪だけ伸びて、まだソープ通いもやめず、
合い間には康子のいなくなった本屋で本を読み、、、
でも、康子も正二ももう彼の周りにはいません。
そんなある日、飲み屋で見ていたテレビで歌う高橋の姿を見つけた貫多。
その飲み屋で別の客とケンカになり、気がつけばパンツ一丁で伸びてたんですが
そのことで吹っ切れたのか、かつて3人で遊んだ海の幻をみながら
走って帰ったアパートで取り憑かれたように文章を書き始めます・・・
ちょっと終わり方が不思議な感じもしましたが、、、、、
そうやって貫多は自分の夢をかなえようとしていました・・・・
というところで終わります。
やっと貫多が前に進みそうだ・・・という希望的な感じでした。
配役はよかったかな、と思うんですね。
さすが森山未来、ってところかな・・・なんかむくんでる感じがするなーと思ったら
意図的に4キロほど太ったそうです。貫多は、家賃を払わず、
日給は酒と風俗に消えるという、かなり不摂生な生活だから、なのだそうで。
撮影中風呂なしアパートで過ごした、ということは聞きましたが、
普段のトレーニングとかをやめて、不摂生でむくんだ感じを出したかったらしく、、、
確かに、ちょっとがっちりしていたというか、、、
でもね、半裸とかのシーンでは、しっかり腹筋割れてました
時代背景というと、貫多と正二、康子は昭和42年生まれで、
彼らの19歳の頃の話なわけで、私はほぼ同年代、その年齢は同じく大学生だから
すごくその頃の雰囲気がわかるというか、、、貫多や正二は
ちょっと腰高のジーンズにシャツをイン、とか、分煙とかじゃなかったんで
タバコをどこでもぷかぷかとか・・・
そのへんの生活観というか、感覚がわかりやすいから、
ある程度好意的に見ることが出来たのかなあ・・・
でも、好き嫌いが分かれる映画かも、と思いますね。
にしてもさ、、、、
なんでもかんでも、小説を映画化にしないでいいんじゃないの?
って本当につくづく思います。
舟を編む
( 三浦しをん
)も映画になるんだよねー
なんだかなあ・・・
苦役列車 新潮文庫 / 西村賢太 【文庫】