書評/秋元康「秋元康の仕事学」
4点/5点
ベースはNHK教育で放送されている「仕事学のすすめ」と言う番組。
2010年5月に全4回放送(10月に再放送)。
番組では勝間和代氏との対談形式となっており、この対談もこの本に収録。
ただしこの本のベースはこの番組テキストを作る際に番組制作班と行ったトークセッションの方だと思われます。
AKB48を始め数々のヒット企画を生み出してきた秋元氏。
その神髄を無理なのは承知で(本来は秋元氏の中にある色々な複合的な要因があるでしょうから本当は無理なのですが)「この本の中で1か所に求めよ」と言われればつぎの箇所だと思います。
僕は日常的にさまざまな気づきをリュックサックにどんどん入れて、必要なときに取り出すという作業を行っているのです。重要なのは、リュックサックに入れるときや、あるいは取り出すときに、その素材に対してどれだけの想像力を働かせて拡大できるかということ。そこにこそ、企画を生む秘訣があるのです。 (p20)
どうもこれが秋元氏の企画力のキモであるようですが、我々にも秋元氏のような方法で企画力がアップできるのでしょうか?
その答えは皆さん自身でこの本をお読みいただいて判断して頂くしかありませんが、ひとつだけヒント(になりそうなこと)を。
秋元氏は
自分が「おや?」と思ったことに対して、心の中でどんどん付箋をつけていく作業からはじまります。 (p24)
とおっしゃっています。
これらの話はこの本の最初の方で触れられているのですが、最後の方ではAKB48の「チャンスの順番」と言う曲の詞と関係ありそうなお話が出てきます。
「チャンスの順番」の詞に次のような部分があります。
夢の方からはそっぽ向かないよ
勝手にこっちから背を向けてしまうもの何があったって
その手 伸ばすんだ運はがむしゃらの味方君にできる
すべてのことをやれ!
秋元氏はこの本の最後の方で「どんな夢でも叶う」と述べています。
女優になりたい子は20年女優になるための努力をしていると女優になれるそうです。
小劇場、2時間ドラマ、ハリウッドのどこで活躍しているかどうかは分かりませんが。
大事なのは「 根拠のない自信 」を持つこと。
根拠もなく「夢は絶対に叶う」と思い、そう意識すると「女優」と言う単語に敏感になる。
全然関係ない場面で、誰かが「文学座」と言ったら敏感に反応できるし、雑誌の「女優募集」と見出しが目に入ったりと何かしら引っかかってくる。
そしてAKBのメンバーにも言っている事として「 夢というのは、ぐーっと全力で手を伸ばした1ミリ先に存在している 」。
だからずっとやり続けていても、触れられないし届かない。そこで多くの人は、諦めて手をおろしてしまう。
けれど夢の方からは遠ざかる事がない。
チャンスはみんな平等にある。 自分がポジティブかネガティブかは自分で決められる 。
大体こんなことを述べています。
関係ないですが「嫌われ者の流儀」と言う本を読んでいたら脳科学者・茂木健一郎氏も「根拠のない自信」と言うフレーズを使っておられました。
文脈は違うのでしょうけど今後の自分のあり方を考える上で重要なキーワードの1つになるかもしれません。
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