まちこつれづれ

まちこつれづれ

2024.11.25
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カテゴリ: こばなし
私は最寄り駅前の広場にいた 

目の前には植込みの枠に座ってだべる数人の中年男性 

取るに足らない世間話をしていていたが、もうすぐ計画停電の時間が迫っている 

早く電車に乗らないと、帰宅難民になってしまう 

目の前の彼らはすでに帰宅をあきらめ、一晩ここで飲んで過ごすらしい 

「帰るなら彼に送ってもらいなよ」 

確かにその方が心強い 

私は彼と二人で地下に続く階段を下りて行った 

しかし、少し下った先、踊り場に差し掛かる手前あたりからすでに電灯は消え、真っ暗な闇 

しかし彼はかまわず降りていく 

「待って待って」 

私は慌てて彼の左ひじのあたりの袖をつまんだ 

周囲は真っ暗だ 

下っている階段の足元も見えない 

しかし彼は足早に階段を下りていく 

「待って 本当に待って」 

私はさらに慌てて彼の左ひじのあたりの袖を両手でつまんだ  

彼は何も言わない 

だが、私の方を意識したのがなんとなくわかった 

彼の袖を引っ張りつつ階段を下った先は、改札口 

やっと明かりのついた場所に出られてほっとしたが、ホームに電車が滑り込んできたところだった 

あれに乗らないといけない 

足早にホームに入り、滑り込んだ電車を横目に乗り口へ歩いた 





最寄り駅は会社のなのかどこなのか 
中年男性たちは会社の同僚なのか友人なのか 

彼は彼氏なのか家族なのか 

どこなのかもしらないのに、わたしはしっているばしょだとおもっていた
どこにいくのかもわからないのに、わたしはいきさきをしっているとおもっていた
だれもかれもしらないかおなのに、わたしはしっているひとだとおもってはなしていた  

夢なんてそんなものか





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最終更新日  2024.11.25 18:40:10
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