絵本ブログ おひさまはらっぱ文庫 

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ゆずり葉(詩)




ゆずり葉



次の世代を担う全ての子供達の為に
すべての大人のみんなに、ちゃんときちんと!生きて欲しいと願っています。

子供を駄目にしてしまうのは 私たち大人なのではないのかって
最近思うようになりました。

虐待や犯罪に巻き込まれる子供のなんと多い事でしょう。
未来のある大切な子供達の為に 私たち大人の一人一人が人として
正しく生きて行く事が大切なのではないかと・・・
それが子供達の明るい未来に繋がってゆくのですから。


『ゆずり葉』   河井酔茗(かわいすいめい)


子供たちよ。
これはゆずり葉の木です。
このゆずり葉は
新しい葉が出来ると
入れ代わってふるい葉が落ちてしまうのです。

こんなに厚い葉
こんなに大きい葉でも
新しい葉が出来ると無造作に落ちる
新しい葉にいのちをゆずって。

子供たちよ、
お前たちは何をほしがらないでも
すべてのものがお前たちにゆずられるのです。
太陽のまわるかぎり
ゆずられるものは絶えません。

かがやける大都会も
そっくりおまえたちがゆずり受けるのです、
読みきれないほどの書物も

みんなおまえたちの手に受け取るのです
幸福なる子供たちよ
お前たちの手はまだ小さいけれど-。

世のお父さん、お母さんたちは
何一つ持ってゆかない。
みんなお前たちにゆずっていくために
いのちあるもの、よいもの、美しいものを、
一生懸命に造っています。

今、お前たちは気がつかないけれど
ひとりでにいのちは延びる。
鳥のようにうたい、花のように笑っている間に
気が付いてきます。

そしたら子供たちよ。
もう一度ゆずり葉の木の下に立って
ゆずり葉を見る時がくるでしょう。


「かわいすいめい」
明治7~昭和40(1874~1965)
詩人。大阪府堺市に生まれ。




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