まいん

まいん

PR

×

Favorite Blog

花言葉 花子の妄想さん
萌野の短歌日記 萌野さん
壺中有天 チビヤスさん
pyon♪の良いこと貯金… pyon♪さん

Profile

main6054

main6054

Comments

(^o⌒*)/ @ 環境貢献型ツールバーサービス ◆◇=====================================…
白河ことり1015 @ ありがとうございました。 1年間ありがとうございました。また来年…
白河ことり1015 @ Re:川柳(12/09) すごい危ないですよ…。
白河ことり1015 @ Re:字を書くのは苦手(12/08) 私も字を書くのが下手でいろいろな人から…
白河ことり1015 @ Re:今年は(12/07) 大変ですね。でも何事にも負けずにまた頑…

Calendar

Archives

May , 2026
April , 2026
March , 2026
February , 2026
January , 2026

Keyword Search

▼キーワード検索

June 11, 2005
XML
カテゴリ: 作品
チリン
 初めて耳を通った風の音
サラ
 肌をなでた風の感触
ゆらゆらと水面に浮かぶ姿
それが自分だと気付くまでの時間
感覚を覚えた瞬間

流れ込む様に迎え入れたもの美しくて痛い感覚
それが雪の冷たさに変わるまでの間「千草」と呼ばれた気がした


 「良かった気付いたのね」
傍らで安堵の声が漏れる嬉しそうな明るい声に懐かしいと言う感覚が目覚めた。
それが何故なのか解からないと言う感覚が次第に広がり、やがてその顔がはっきり解ると
怒りに変わった。
その顔に何かを投げつけたかったがしかし少女にそれだけの体力はまだなく目で睨むのが精一杯

の抗議だった。
「何?なんなの!」桜子は初めてその反応に気付いた。
「どうしたの」彼女の声を聞きつけて若葉がやんわりとした口調で入ってきた。

ここは千一夜家の仮屋敷だった辺りが竹林に囲まれ風の音が奏でる音色が静かに流れている。
「大丈夫よ怖い人は追い出したからね」
様子を見た若葉は桜子を追い出すと千草を抱きしめ耳元でそう囁きながら髪を撫でてやった。

「貴女は何をしていたの」
千草を寝床に戻すと部屋を出て外に居た桜子に聞いた。
「様子を見てたら気付いて・・・わたくしにも訳が解りません」
彼女は困った表情で答えた。
「そうですか!所で桜子さん学校はどうしました」

若葉はため息をつくと
「これが当主ですから乱れるのも仕方ない事」
言葉が漏れた。早朝も桜子の事で揉め事が起きたばかりだった。

 今回の行動は全く連絡の無いままに行われた事で後始末に色々と苦労していた。
また警察の調べでアトリエから遺体らしき物は発見されなかった、千草は身元不明で発見者の若

葉が保護者代わりと成った。外に、鬼の事が漏れる事は無かったがその辺のつじつま合わせには

色々な人々が苦労した結果の事。
事前の連絡があれば警察まで巻き込まずに事を収められたと言う意見が大半を占めていた、今朝

は若い者がボイコットを始めたばかりだった。
「何を言っているのですか、だからこそ我等の補佐が無ければならないのでしょう桜子には私か

ら言っておきます」
事を収め来てみればこちらも大騒ぎ石畳の道を境内に戻りながら彼女は笑っていた。
清々しい風が咲き誇る桜に微笑む

 噂と言うものは早いもので学園内にはすでにあの噂にはながさき
「可愛い子なんだって」「身体弱いの」「妹が出来た感想は」
そんな会話ばかりが交わされていた、普段は挨拶さえしない者までが桜子の教室に訪れちっとし

た時の人となっていた。
桜子はそっと頬に手をやった。叩かれた頬に、痛い訳ではないが心には痛みが残っていた言葉と

して「どれだけの人に迷惑をかける心算ですか」その言葉の意味は直ぐには理解できなかったが

次第に時が経つにつれてその意味が解り始めた。
「さすが親子いった所かしら」
「義母様も!?」驚く桜子に若葉は話した若き日の二人の事を時に鬼に対しても寛大な処置をとり

まわりを困らせた事を話して聞かせた。
「ただし貴女ほど大胆ではなかったわ、ばれない様に対処していましたから」
「周りって若葉の事」
「さあね」と誤魔化して笑った。「でもこれだけは守って命は大事にして鬼も自分も」
「鬼の命も?」
「鬼の命・・・」
「なに小説の題名」中庭の桜の下で弁当を広げていると黒髪の女性が話しかけてきた。
「あっ先生・・・ええそうなの」
ピンクのワンピースをひらひらとひるがえしてジュリアは男達の視線を浴びていた。
「大変ね噂聞いたわ隠し子、冗談よでも美人なんだって・・ああ大丈夫よだれも行かせない様に

釘を刺しておいたから」
そう言って立ち去ったその時チラッと弁当を覗き込んだ、ご飯と海苔だけの弁当を。
今朝は時間が無くて作れなかったのだ。
「あげる」カロリーメイトを手渡すと元来た道を戻って行った。この為に来たのだろうか?

 若葉は何か元気の出る料理を考えていたが結局無難に思えたカレーライスを作る事にした。
カレーなら対外の子が好きだろうと考えたからだ。
昼食を運んで行くとその姿は無かった。
一体何所に家の周りには結界が張られている誰かが出入りすれば解る筈だった、それに反応しな

いとはしかも医者の話では心臓がかなり弱いと言う事だった。
「術法!?あの子が間違いない・風の術の一つ時空門・・・風使いならば納得行くあの子があそこ

に居た事もこの結果いに干渉しなかったのも別の道を辿ったから・・・我等と同じかそれに準じ

る者の族」心で呟くと同じく「時空門」であの場所に向かった。

 千草は灰と泥で全身汚れながら初を探していた。
桜の花弁が全焼したアトリエの上に降り注いでいた。
「千草ちゃん貴女が探している人はそこにはもう居ないの」一心不乱に辺りを掻き分けて探し続

ける少女に優しく抱き寄せて語り掛ける。
それでも千草は止めなかった、何所かに初は居ると確信しているように探す事を止めなかった。
「そうだったら小母さんも探してあげる」そう言うと若葉は着物姿のままかが見込み千草と同じ

様に灰と泥にまみれて辺りを掻き分け始めた。

暫くして若葉は重大なミスに気付いて
「あっ御免なさい・・・」
「もういいよ」
あわてて振り向くと同時くらいに千草が抱きついてきた勢いで二人は泥の海に飛び込んでしまっ

た。泥だらけの二人はさらに跳ね上がった泥で泥まみれに成った。
クスクス少女のかすかな笑い声
ハハハハハハと豪快な若葉の笑い声が桜の野に溶けていく
しばし二人は笑いあったが間もなく千草の声は泣き声に変わった、頼りない弱弱しくて幼い女の

子の涙は二人だけの秘密。
重大なミスは犯したものの千草の信頼という大きな収穫もあった。
グーと千草の腹がなった。
それを合図にしたかのように、もう涙は出なかった変わりに
「おなかすいた」と子供っぽい言葉が漏れた。
「時空門」の様な高度な術法を使ったり子供の様な感情的に成ったりと不思議な少女だった。
その後事は言うまでも無く大変でした汚れを落とすのに風呂場に直行したのは勿論あわてて床に

こぼしたカレーの始末と・・・幸いな事は誰も二人の不在に気付かなかった事位だった。
それとその後千草が若葉から離れなくなったのは良かったのか悪かったのか
おちおち花摘も出来ない。
仕方なく寺の離れに在る茶室に連れて行き遊ばせる事にした。そこは寺から離れていたが千一夜

の家よりは仕事に都合が良かった、それに千草自身のことも色々観察しなければ成らない気がし

ていた。
「ここ千草のおうち」と気に入った様だが「あの人こない?」その後にこう続いた。
「あの子は桜子お姉さんよ貴女の事心配してたのよ」
「でも、初を苛めたのよ嫌い」と横を向いてしまった。
「そうだよ桜子は優しいけど言葉が足らないだけ」
千草の向いた方向に別の女性が長い髪を風になびかせていた。
「ジュリアどどうしたの」口ごもる若葉を尻目に
「家庭訪問です、浴衣可愛いねでもまだ寒くない」
二人は簡単に着られる浴衣を着ていたジュリアの言うように時期的にはまだ寒い。
しかも何故ここに彼女が居るのか
「あのここはお寺で桜子は隣の家ですが」
若葉とジュリアは顔見知りだった桜子が桜華学園に通いだした頃から小夜と二人であった事があ

ったがこうして一対一で話をしたことは無かった。それにどころか気配を感じなかった。
「貴女が千草ちゃんね」若葉が止めるよりも早くジュリアは千草を抱きしめていた。
「羽を持っているのね」彼女の問いに少女は暫く時間を置いて頷いた。
「羽て・・・」若葉は意味が解らず当惑した。
「そう桜子もね似たものを持ってしまった人なの」
そう呟くと静かに身体を離し
「家庭訪問おしまい」と元来た道を帰ろうとした。
「待ってまだ質問が羽とは何」
「羽は想いとも言うわね鬼追いさんいずれまた」
それだけ言うとワンピースをひるがえし颯爽と立ち去った夕映えの風の中に
見ると疲れたのか千草は寝息を立て畳の上で横に成っていた。
「何者なの鬼ではないが私達の事を知っている口ぶり、そして羽とは想い」
若葉は眉をしかめた宣戦布告とも思えるジュリアの態度に。千草と関係があるのか、桜子の能力

が急激に上がったことも気に成る。
茶室で眠る千草に毛布をかけながら
「貴女は誰なの・・・」
彼女は天を仰いだ低い天井が間近に見える。そして初めて桜子に会った日の事を思った。
自分と同じ目をした少女の姿を
小夜と千夜の二人の姉妹に出会い知った怒りや憎しみだけで彼女達は鬼を追っていたのではない

事をそれだけでは鬼は追えない事を桜子は何時理解してくれるだろう。
「千夜」自分の手に触れる感触を感じ向けた視線の先には千草の姿があった、心配そうに見つめ

る青い瞳が一瞬千夜に見えた似ていないのに・・・しいて言うなら感じが似ている事だろうか。
「もう少し寝てなさい夕食にしますから」
その言葉に従うように少女は少し眠った。

 雪が降っていた白い雪がコンコンとそれでも二人は身じろぎもせずに降るがままに任せていた


「なぜ貴方が・・・」女は言った。
「・・・中の鬼が暴れる抑えられない時がある」男が答えた。
女の名は千夜・男の名は初
「今は大丈夫なの?抑える事は出来るの」
「ああっ静かな場所に居れば落ち着く今は大丈夫だ」
「行きなさい。もうも戻ってこないで」
ウァァァ彼は呻いた再び暴れだすのか
木陰には激しい形相の若葉の姿が
千夜は若葉に駆け寄り抱き締めた。
そして囁く様に
「彼は鬼を宿す者、鬼その者ではないの幸い被害も出ていないわ知っているのは私達だけ彼は私

達の追う鬼ではない」
「許さない」噛み付くように言葉を投げ出した。それに反応して初の鬼化が急速に進む。
千夜は先程と同じ様にその源を断った。若葉に催眠をかけ一時的に眠らせた。
「行きなさい早くそして二度と現われないで」
「いいのか本当に」
人の姿を取り戻した初は当惑して尋ねた。ただ千夜は無言で頷いた、彼も頭を深々と頭を下げ雪

原へと消えた。その足跡は降り続く雪に消されていく。
「貴女は恨むでしょうね」腕の中に眠るものに語りかけた。

 若葉は雑木林の続く裏手の道を歩いていた。夕暮れでチット見通しが悪かったが、ほのかな光

がうすの闇の中で動いた。
「あっすみ・どうしました浴衣なんて・・あいや仕事に戻ります」
あわてて若い者が林の中から逃げ出すように本堂に戻って行った、辺りにはタバコの吸殻が
「運が良い事・千夜あなたの言葉あの時は理解できませんでしたが今は解ってますよ」
彼女はタバコの始末をすると何事も無かったように食堂に向かった。
「あら千草ちゃん調子良さそうですね」
厨房で腰をかがめた中年の女性が歯の抜けた唇でゴモゴモと言った。
「わかりますか」
「ええ」彼女はニコニコと顔をほころばせ「千夜様を思い出しますね」と懐かしそうに言うと仕

事に戻った。
恐らく思わず出てしまった言葉なのだろう。ここでは千夜の事は話さないと言う暗黙の了承がな

されている。
若葉は心の中で言った「貴女は何時から気付いていたの」

チリン
 帰宅途中の桜子はあの山の方を見た、何も感じるものは無い。
「どうしたの?」彼女はお守りを取り出して尋ねたが答えるはずも無かった。
その様子をジュリアが見ていた、やはりアトリエの辺りを見詰めて
そこは咲き誇る桜に満ち溢れ今最も美しい時を迎えていた。筈だった。
「なんだか元気が無いね」「そう・・・でも私はここの人じゃないから」
金色の髪を風に揺らす少女はそう呟くと再び風景の中に溶けた。 





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  June 11, 2005 08:59:04 PM
コメント(0) | コメントを書く
[作品] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: