はあと・めもりいず

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2007/01/20
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カテゴリ: 読書録。
「ありふれた魔法」盛田隆二



~城南銀行五反田支店次長、秋野智之44歳(妻と三人の子どもあり)が、一回りも違う女子行員に惹かれていく・・・。若い頃とは違う心や身体の変化に戸惑い、家族や仕事のはざまで立場が揺れ動いても、彼女に突き進んでいこうとする、、、。~
秋野智之は、部下の森村茜が担当する顧客に謝罪するために彼女とともに先方を訪ねた。その帰り道、智之は彼女に、頑張ったねと声をかけるだけでなく、そっと抱きしめてあげたくなった。自分がもっと若くて、きらきらと輝いていたあの頃の自分だったら・・・。

妻子が居ても心ときめいて惹かれていってしまう気持ちが、とても丁寧に描かれていて、”リアリズムの名手”といわれるのがよくわかる。そして、彼女に惹かれてしまう彼の気持ちも、安らぎを求めてしまう彼女の気持ちもわかる。・・・、わかるんだけど、10年前だったら間違いなく彼女側の立場にたつだろうわたしも、今では彼の家庭や妻の立場に思いをめぐらせてしまうのは、わたしが彼の妻と同じ年頃の妻で子をもつ身だからだろうか、、、。
とてもとても、丁寧に描写されている彼の心の動きに対して、彼女の揺れ動く(揺れ動いていただろう)気持ちが今一つ伝わってこない気がした。それに、二人の近づき方、二人だけの時間の持ち方にはあまりリアリズムを感じない(携帯電話やメールが発達した今の不倫は、秘めた情事と言うより、ひとつの恋愛なんだろうか)・・・。
そして、前半の切なく微笑ましくさえ感じる気持ちの盛り上がり方に比べて、後半部分のストーリーの展開(二人の関係、家族にまつわる出来事、妻との関係、仕事の問題、彼女の動向など・・・詳しく書いてしまうとネタバレで面白くなくなりそうなので控えます)が物足りない、つまらない気がした。

同じセリフ 同じ時 思わず口にするような ありふれたこの魔法で 作り上げたよ

タイトルにもつながるスピッツの「ロビンソン」の一節だが、不倫関係の二人の気持ちに当てはめてしまうのはどうかなあ、、、。

中学生なら軽くキスするだけで、天にも上る気持ちになれるだろう。だが、四十男の欲望は露骨で無遠慮で、節度と言うものがない。ここで唇を重ねたら、たちまち上司と部下の関係を踏み外し、妻を裏切ることになる。そうまでして茜を抱きたいのか?いや、戯れに手をつないで歩くだけでいまは充分に満ち足りている。プラトニックな関係だからこそ、二人だけの時間がこんなに楽しく、そして切ないのだ。踏み外してはいけない。職場の上司として、妻子持ちの男として、ここは自制しなければいけない。

切なく狂おしいほどの恋・・・幾つになってもそんな想いは素敵だと思うけれど、ダンナには私以外の誰かにこんな気持ちを感じてほしくないなあ。。。

★★★☆☆





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Last updated  2007/01/21 11:27:49 PMコメント(0) | コメントを書く
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