まこちゃんの部屋

まこちゃんの部屋

ある日


母親は、父の横暴、短気、暴力で「結婚するのはやさしい人がいいね」と口癖だった。
生命保険会社で、多分気晴らしにもなっていたのだろう、成績は結構いいほうだった。
24歳の娘に自分のお客を紹介した。
「あの人ならやさしい」
やさしさと頼りなさは紙一重とは、そのとき気がつくはずもなかった。

新婚生活は、四畳半一間の部屋。
当時、1万円をもらったら、何日繋げばいいのか、検討もつかなかった。
それでも、節約は主婦としては当たり前だと思っていたから、辛いとは感じなかった。

肉など買う余裕などない生活。
インスタントの安いハンバーグを買ってきて、ほぐして肉代わりにし、キャベツだけの野菜炒め。

湯豆腐って、普通は、白菜も菊菜もシイタケもあるけど、
鍋の中は、豆腐だけの湯豆腐!

そんな工夫にもならない食生活。
ダンナは、毎日毎日、マージャンで午前さまの生活だった。
土日はゴルフ三昧!
ゴルフなんか行けるようなご身分かよ!

長男が生まれたころも、
狭い四畳半の部屋で、マージャン仲間を連れてきて、徹夜マージャン!
それでも一応、夜食のおにぎりを作り、
マージャン台の横で騒音を聞きながら、生まれたばかりの長男を抱きながら横になった。

とにかく、マージャンとゴルフ三昧のダンナだった。

長男をオブって、実家へ帰るのにも、少しは暖かいコートをと思うが。
当然、買うお金もなかった。
余り毛糸を継ぎ足して、マントらしきものを編む。
色のコーディネイトなんてお構いなしだった。

環状線で、乗客の視線を感じながら、ドアから外の景色を眺めるしかなかった。
きっと異様な格好だったのだろうなあ~






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