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2006年01月04日
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カテゴリ: エッセイ集
大連の我が家では、NHKワールドプレミアムを含む、世界各国24チャンネルの衛星TV放送を受信しています。大晦日の日に、2006年末までの「受信料」を一括で支払ってきたところです。

この衛星TV放送は、赤ちゃんのいる家庭にとって、特に妻にとっては、なくてはならないものです。授乳している時、それは30分を超える長丁場になることも多いわけですが、彼女は香港スターTV(映画専門チャンネル)の洋画を見ながら、乗り切っています。私も、赤ちゃんを抱きながら、NHKのほか、CETV(華娯電視)の台湾バラエティ番組、香港フェニックスTVの教養番組(すごく勉強になる!)などを楽しんでいます。その他、CNN、BBCなど英米チャンネルを見ることも多いし、ESPN(米国スポーツチャンネル)やKBS(韓国国営放送)も時々見ます。

そして、衛星放送を受信することによって、日本のNHKを、世界各国の主要チャンネルと「見比べる」こともできて、面白いです。日本にいる時は、「NHKと民放各局」を見比べていたわけですが、今では、「NHKと米国CNN」、「NHKと香港フェニックスTV」みたいな対比が可能になっています。

そんなワールドワイドな視聴環境のなかで、NHKの番組が私の目にどう映るのか?

その印象を一言でいうと、「癒し系」ですね。懐かしい日本の風景、文化、人々の営み、美味しい食べ物、いつもの連ドラ、紅白・・・それを見るだけで心が癒され、安らかになり、リラックスできます。特に私が好きなのは、「北海道中膝栗毛」という、道内各都市のTV局の手によるローカル番組なんですが、その映像がとにかくキレイ!これを見ていると、北海道の自然の美しさ、というか大地の美しさは、この地球上に比類のないものだとも思う。

余談ですが、NHKだけでなく、台湾・香港のTV局でも、北海道のローカル番組を中国語字幕付きで放送することが時々ありますし、その他、現在アジア各国を席巻している「韓国ドラマ」でも、北海道がロケ地に選ばれているケースが結構多い。海外にいると、意外なところで、北海道が身近に感じられるものです。

NHKの映像が「癒し系」であることは、逆にいえば、「勢いやパワーがあまり感じられない」ことでもあります。近隣諸国のTVと見比べてみると、それがよく分かる。例えばの話、中国(大陸)のTV番組は、いろんなのがありますが、ニュースでも特番でも、とにかく元気で、パワーがみなぎっています。TVの映像を通じて、日に日に経済力・国力が増している国だということを実感できます。そんな中国のTVを見た直後にNHKを見ると、脱力感というか、老境に入った人間のオーラさえ感じてしまいます。

でもまあ、いまの日本が中国みたいに「イケイケ」になる必要もないと思うけど、でも、21世紀グローバル経済の時代を生き残るには、ある程度、「世界に打って出てやるぜ!」みたいな意欲が画面から感じ取れるようでないと、「これで本当に大丈夫なの?」と、やや不安になってしまいます。

特に私が懸念するのは、NHKの番組づくり、特にニュースが「内向きの発想」というか、海外ニュースが非常に少ない構成になっていることです。



また、米国CNNや英国BBCの国際ニュースは強い。世界のいろんな地域で、自分の国が「下手人」になっているという事情もあるのでしょうが、全世界をカバーする取材力、映像の迫力、解説の鋭さは、(違和感を感じることもあるけど)やはり大したものだと思います。

そういった、海外有力チャンネルと見比べた時、NHKの国際ニュースの貧弱さが、いやでも目についてしまうのです。私の印象ですが、NHKのニュースでは、よほどのことがない限り、国内ニュースがトップ3に来るし、海外ニュースは、「国内ニュースのおまけ」みたいな位置づけで考えられているような、そんな気さえします。

とはいえ、日本は人口1億3千万近くもいて、GNP世界第二位の経済大国だから、国内にビッグニュースが山ほどあるのかもしれません。が、実際にNHKのヘッドラインで取り上げられるニュースを見ると、言っちゃ悪いけど「しょーもない」ものも少なくない。

たとえばの話、年末のある日、NHKのニュースを見たところ、その日の三番目のニュースが、「某地方都市で、八百屋さんに強盗が押し入り、現金数十万円を強奪された」でした。

これは確かに、ニュースです(幸い死傷者はなかったけど)。県単位の地方新聞では、或いはトップに出る記事かもしれません。でも、人口1億3千万を擁する、世界第二位の経済大国・日本で、これが本当に3番目に重要なニュースなんでしょうか?実際はもっと、すごいことが起こってるんじゃないの?と思うし、起こってしかるべきだと思います。

そして、同じ日に近隣アジア諸国のニュースを見ると、ヨルダンとかパキスタンとかで、自然災害で何十名が亡くなったとか、中国の鉱山事故で何十名が行方不明になったとか、昨年同時期に起こったインド洋大津波の特集などを、詳しい解説付きで放送していました。このように、世界に目を向ければ、ニュースのネタなどいくらでもあるところに、どうして、「八百屋に押し入った強盗」が、3番目のニュースバリューを持つのでしょう?

こんなニュースを見ていると、「これが、国連安保理の常連理事国入りを目指している国なのか?」という、疑念さえ起こってしまいます。安保理の常連理事国になることは、世界各地で起こっている紛争に「自分の手を汚してコミットする」立場に立つわけです。もし日本が、その「汚れ役」を本気でやる意思があるなら、国民が政府を選ぶ民主体制をとっている以上、国民レベルで世界のことをよく知らなければなりませんし、主要マスメディアは、世界各地で日々、何が起こっているかを国民に知らせる、責任義務があるはずです。経済グローバル化ともあいまって、少なくとも、日本国民が国際知識を増すことを、今ほど求められている時代はないと思うのです。

その前提に立った場合、どう考えても、「国内地方都市の八百屋に押し入った強盗」が、NHKの第三番目のニュースに選ばれるはずはないと思うのです。

一つ断っておきますが、これはマスコミ人の怠慢や非見識を批判するための文章ではありません。マスコミは、社会を写す鏡です。日本のマスコミ人は、国民のニーズに合わせるような番組構成を考え、日々、頑張っているのでしょう。もしそうであるならば、日本国民のニーズ自体が、「どうせ、国際ニュースなんか聞いても分からないし、別に知りたくもない」、「日本国内のことだけ、放送してくれればいいんだ」みたいな、内向きの発想になっているのかもしれません。

もしそうであるならば、「日本国民の多くは国連安保理の常連理事国入りなんか、そもそも望んでいない」、「小泉内閣や官僚が、多くの国民の望まない方向に、国を引っ張っていこうとしている」ということになるのかもしれません。

もし私の言うことが正しいのであれば、日本のマスコミ人は、


或いは、
2)日本国民のニーズに合わせて、番組づくりを進める

この2つの方向性の間で、自分のスタンスを決めていくしかないのでしょうね。

NHKのニュースをみて、いろいろ考えさせられた一日でした。


※本音を言うと、「あなたの言うことは、間違っている。日本国内では、国際ニュースや解説番組が溢れている!」みたいな反論を、期待してるんですよー。そうであって欲しい・・・





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最終更新日  2006年01月04日 13時33分38秒
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