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2007年01月02日
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私はこれまで、ずっと外国で働いてきて、昨年7月から、日本での勤務になりました。

その日本でいま、話題になっている労働面でのトピックといえば、今後、国会で本格的に審議されることになる「ホワイトカラー・エグゼンプション制度」。その骨子は、「年収400万円以上のホワイトカラー労働者に対しては、残業代を支払わない労働契約を結んでも良い」というものです(間違っていたらごめんなさい)。もちろん、その背景には、日本産業のコスト競争力強化を旗印とした、財界側からの強い要望があるのは、言うまでもありません。

もし、この法案が通ったら、私の給料はどうなる?・・・ま、自分に関していえば、影響はたぶんないでしょう。私はこれまで10年余り、サラリーマンをやってきましたが、残業代をもらったことなんて、数えるほどしかありません。これまで、日本でも海外でも、年俸契約が基本だったし、「残業代なんて、なくてあたり前」という環境で、ずっと働いてきました(特に海外なんて、残業代出ない上に、交通費だって全部自分持ちだったもんね・・・泣)。その意味では、皮肉にも、「ホワイトカラー・エグゼンプション制度」を、10年ほど先取りしていたのかもしれません。

とはいえ、日本全体をみれば、影響を受ける人はきっと多いんだろうな、と思います。これまで、残業代もらえて当たり前、という職場で働いてきた人もたくさんいるだろうし、基本給が低いため、残業代もらってはじめて、生活が成り立つという人もきっといるでしょう。彼らにとっては、まさに切実な生活の問題なんだろうと思います。労働組合の機関紙をいくつか見ましたが、当制度の施行を、「残業代不払い、天下の悪法」として、絶対反対の立場でいるようです。

ま、その立場は分かるのですが・・・労働組合も、「なんでも反対、反対!」みたいな、旧態依然とした態度ではなく、もう少し戦い方を工夫しないと、結局、財界側に押し切られて終わるんじゃないかと、私は危惧します。

ここで、誤解しないでいただきたいのは、私は労働組合が嫌いだから、そう言うのではありません。むしろ、その逆です。私は、常に経営者主導で進む、資本主義の経済社会において、労働組合の存在は、働く者の基本的な権利を守るために、また社会のバランスを取るために、必要だと考えています。

もっとも、「経営者側に対して、有効な対抗勢力となることができれば」、という条件付きです。現実には、労働組合を自称しながらも、実態は「御用組合」であったり、あるいは特権的な労働者の既得権益を守る組織に堕しているものが少なくありません。逆に、十年一日のように、「なんでも反対、反対!」を唱えるだけの組織もある。そんなものには、社会的な意義はない。

私の考える「労働組合のあるべき姿」とは、正社員、パート・派遣社員を含め、業種・職種横断的に
組織され、個別企業や業界の利益を追及せず、党派性にとらわれず、労働者全体としての権利保障や待遇改善を勝ち取っていく、人権意識に立脚した組織です。


、国境線に閉じこもらず、広い世界に打って出なくてはなりません。そうしないと、「先進国労働者の既得権益を守る組織」だと、発展途上国の労働者からみなされてしまう・・・。

少し話がそれましたが、日本の「ホワイトカラー・エグゼンプション制度」についていえば、労働組合が、「グローバル化時代の、新しい労働環境」を見据えた上で、いわゆる「ホワイトカラーの自律的労働」なるものを、いかに定義して、理論構築していけるのか?それに成否がかかっていると思います。逆にそれができないと、資本側と有効に議論さえできないでしょう。

ここで、「ホワイトカラーの自律的労働」がキーワードになるのはなぜか?それは、日本の財界側が、「ホワイトカラーの労働は自律的だから、残業代には馴染まない(だから新制度導入が必要)」と言っているからです。労働側は、それに対する回答を、持っていなければなりません。

自律的労働。それは、労働のうえで、自分を律すること。たとえば、勤務地や勤務時間を、あるいは労働の内容や手順さえも、自分の裁量で決められる余地が大きいこと・・・だと私は考えます。

私自身、これまで残業代はもらっていなかったけど、その代わり、自律的な環境で働いてきたという自負はあります。

特に勤務地に関しては、大変融通が利きました。一昨年、米国ノースカロライナ州で働いていた時
のことですが、オフィスはいつも人が少なく、閑散としていました。当地では、自宅勤務が奨励されていました。実際、オフィスに来る者が約半分、来ない者が約半分。その彼らが、パソコン、インターネットやIP電話を駆使して、一緒に作業しているのです。極端な話、相手がどこで働いているのかさえ、分からないほどでした。

私も、その恩恵にあずかった一人です。オフィスに来なくてもいいのだから、ニューヨークやニューオーリンズに週末旅行に行って、月曜日も火曜日も、現地のホテルで仕事しました。

中国・大連で働いていた時も、オーストラリア・ケアンズにある妻の実家に、年2回ほど里帰りして、そこで仕事しました。中国とは2時間の時差があるので、朝、海で泳いできて、午前11時にゆっくり勤務開始、夜20時まで働く、という日々が続きました。

勤務時間に関しても、結構融通がききます。我が家は幼い娘がいるので、時々、病院や子育て支援センターに連れていったりするのですが、そういう時間帯は、同僚に仕事を変わってもらって、その代わり、夜、娘が寝静まった後に、数時間ほど仕事して遅れを取り戻す、という日々を送っています。

自律的な労働・・・インターネットや通信技術の発展が、これを可能にしました。これらは、時間と空間の制約を限りなく無にする技術、うまく使えば、経営側が先進国の仕事を発展途上国に移転することだって可能ですし、また労働者側が、勤務地や勤務時間を自分で決めることによって、私生活と労働を、自分の好みにアレンジすることだって可能です。



とはいえ、日本の労働現場の大部分は、そうなっていないんでしょうね。東京では、みな郊外から満員電車乗って、ほぼ同じ時間帯に、都心のオフィスに出勤する(だから、東西線があんなに混むんだよね・・・)。そんな状況で「ホワイトカラー・エグゼンプション制度」を施行したならば、おそらく、都心のオフィスで長時間、サービス残業した挙句、「キミは自律しているから、残業代なしね」と言われたりするのかもしれませんね。

その危険性を十分踏まえたうえで・・・それでも、日本の労働者が、自律的な労働というオプションをどう使って、豊かな生活を実現していくのか?それを考えねばならない時代になっていると思いますよ。

よくよく考えれば、自律的労働を可能とする物理的条件は、日本には全て揃っています。この国には、世界最速・最安のインターネットあり、加えて通信インフラは世界一流、交通網も整備されている・・・。私だったら、夏場、暑い東京でなんか働かず、涼しい岩手山の麓で友人と別荘でもシェアして、インターネット繋げて働くことを考えるけどなあ。仕事で、東京に出ることになっても、盛岡から新幹線で2時間半で着けるでしょう?

その可能性を考えた場合、日本の労働者のなかにも、

「残業代要らないから、自律的労働を実現したい」という層と、


が出てくるんじゃないかな。いまの労働組合は、後者の層ばっかりターゲットにして、「残業代切り捨て絶対反対!」なんてやってるけど、それよりも、時代を先取りして、労働者の側から「自律的労働」をきちんと定義して、その路線に沿ったかたちで、経営側に具体的な要求を出していく方が、ずっと生産的だと思う。

またそれが、「勝率の高いケンカのやりかた」だとも思いますよ。





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最終更新日  2007年01月03日 05時40分10秒
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