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Mar 27, 2009
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カテゴリ: つぶやきたいの
繊細ながら、キッパリとした線であります。

意志の通った…強情だけれどうっとりするほど柔軟な線。

まさしく乳白色の画面であります。
抜けるような白とも違う、かといってふうわりと温かみのある白でもない。
ミステリアスな白でした。

レオナール・フジタ展。
行ってまいりました。

猫を抱きかかえた、フジタの写真。


入り口からすでに鼓動は高鳴り、最初の作品から私はフジタに右腕をぐっと強く引かれ
そしてつんのめるようにしてその世界にひきこまれて行ったのでございます。

初めてフジタの作品を見たのは。
まだ10代のころ…まさに福岡市美術館の常設展にての小さな猫の絵でした。

小さな長方形の額の中でシナをつくるようにして横たわる猫は
何とも繊細でそしてエロチックで…なにより洒落ておりました。

そう洒落ておった。

日本を追われるようにして捨て、フランスで認められ・・・
その後フランス人になったその画家の絵は泥臭さや野暮ったさとは無縁に見えました。

藤田嗣治。

そのときはじめて目にした名前。

その作品は…私が今までに見たどんな油彩画よりも軽やかで繊細で…なにより洒落ていたんでございます。

もっと見たい。
たくさん見たい。
そう思いつつ…たまに小さな作品やデッサンを見る機会があっても
あれから10数年間、私は彼の大きな作品を数多く見る機会には恵まれませなんだ。


日本にて大々的な展覧会が催されることにあいなったわけでございます。
なんたるラッキー。
しかし。そのときは、フジタは福岡には来てくれなかったのですわ。

私はフジタ展へ行った友人の送ってくれたポストカードを部屋に貼り
「あの人はなぜ来てはくれなかったのか」と安っぽい恋愛ドラマのヒロインのごとく肩をおとしてうなだれる日々だったわけです。

そしてやっと。
私は彼と再会することができたというわけ。

素敵でしたわ。
乳白色の肌。…と呼ばれるフジタの白。
堪能してまいりました。

しかし単に乳白色と言ってしまうには惜しい白でございます。
艶やかなヌメリとともに粉っぽい翳りも感じるうっとりする官能の白。
そこに入れられるハッとするほど意志的で繊細な線。
(あれってそれでもやっぱり油画の分類なのか)

うっとりするほど素敵。特に…やはり裸婦は素敵でした。

ものすごくデッサン力のある人なんですな。
(この場合のデッサン力は形を単に写し取る力という意味ではないですよ
そんなのカメラでできますもんね)

圧せば跳ね返すような、人の肌。

シンプルな線のシンプルな画面ながら、決して無機質ではなく
匂いたつような官能美が描かれているのに下劣ではなく
美しいようで毒々しくしかし何を描いても清廉であるようみ見えるのでございます。


修復された大作の一部も来ています。

この作品。
かなりの大作なのですが、修復の際にX線にかけたところ
フジタがこの作品を描くにあたり、あの繊細な線を描くのに一切の躊躇の跡もなかったことが分かっておるそうです。
全ての線を明確な意志でもって描くって出来そうでなかなか出来ぬと思う。

すごい。
すごい。
すごい。

迫力満点ですよ。
ダイレクトにフジタが私の中に入ってくる。
まさに官能的。

大作なのに一切の間延びはなし。
良し悪し云々より理屈ぬきで圧倒されます。

展覧会はフジタの初期の作品から年代をおって並べてございます。
わかりやすい。


途中、フジタの使っていたアトリエや食器や家具の展示などもあり
それも大変に楽しめました。

とにかく可愛いのですわ。
乙女趣味。

会場で女子が口々に「かわいい」を連発しておりましたが
女子なら誰しも心を鷲掴みにされる品々ばかりなり。
猫のお皿かわいかったなぁ。衝立も。鏡も。どうぐ箱も。


後半は、フジタがクリスチャンになってからの作品が並びます。

本音を申しますと。

個人的には、レオナールを名乗ってからのフジタの作品にはあまり心は動かされませんでした。

宗教画が増えるため装飾的な表現が強くなりすぎて
美しいけれど、なんだかツマラナイナ、モノタリナイナと思ってしまいました。
あくまでも私の感想でございます。
熱烈に好きだという人はきっと多い。

フジタの持つ毒のような美しさの魅力は、もちろんそれらの作品の中にも見てとることができましたが
やはり【宗教画における約束事】や【装飾的な表現】がその魅力の大部分を失わせているというか。
うまくいえませんが。

キレイになりすぎた。
キレイ。

パンフレットにもなっていた花の降る中に立つ3人のヴィーナスや
リンゴをもつイブの像もとても可愛く綺麗で素敵でしたが
好きかと言われると私は違いました。

あまり好きじゃなかったなぁ。

イブの絵はちょっとイヤだな、鼻につくとすら感じたわ。
良い悪いではなくあくまで好みの問題です。
(レオナールになってからのフジタの作品をおさめた最初の部屋にあったキリスト像は大変好みでしたが)


フジタがデザインし壁画を描いた礼拝堂を再現した部屋もございました。

一度は行ってみたい礼拝堂。
再現は、下書きとなったスケッチやエスキースをたくさん貼ってありまして
ナマの魅力溢れるスケッチやデッサンはやはりフジタの息遣いを傍で感じるようで大変に魅力的でした。


たくさんの作品が見られてとても幸せな展覧会でした。
良い作品を見て感動すると体がムズムズして走りまわりたくなります。
感動をもてあますというか、どうしていいのかわからなくなる。

今回友人のとももんさんと一緒にまいりましたが
彼女と一緒に行って良かったなぁとしみじみ思いましたわ。
誰かに「すごいね」「すてきよね!」とささやきながら作品を見ることで
私は会場で感動を爆発させ…大声で叫ぶ!なんて奇行に走らずに済んだ気がしますから。

十数年の初恋の彼との再会はそれくらいの感動でした。

あ。

ミュージアムショップは可愛いもんがてんこ盛りに並んでいて
私たちは思わずそこで大声をあげちゃいましたがね。
(そんでもって支払いでも大声をあげたくなる金額なのでした。
グッズが高すぎるよぅ。)





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最終更新日  Mar 27, 2009 05:47:53 PM
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