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maroninsky @ Re[1]:感想『風の歌を聴け』(12/22) Dance in the Skyさんコメントありがとう…
Dance in the Sky @ Re:感想『風の歌を聴け』(12/22) 羊をめぐるの方はTarshaさんも以前読んで…
maroninsky @ Re:決して取り乱さないヒトでぇ~す!(07/05) Dance in the Skyさんコメントありがとう…
maroninsky @ Re:堂々巡りになっちゃうけど(07/05) Dance in the Skyさんコメントありがとう…
maroninsky @ まあ コメントありがとうございます。 大切…

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カテゴリ: 書評、感想
 湊かなえ著『告白』を文庫本で読む。第6回本屋大賞受賞作。気になってはいたが、今回文庫本になっていたので、手に取ってみる。

 舞台はある中学校。
 理科教師でクラス担任の森口先生が、年度末の退職を終業式に告白する。彼女の娘の死が、このクラスの誰かによって殺された事から、お話は始まる。
 (映画も上映されており、内容も精緻にできてるのも一つの楽しみだと思うので、これ以上は省略)

 一気読みをする。それだけ人の好奇心を惹きつける書き方をしている。今思うと、少々自分の下卑た野次馬根性に辟易する。この様な構成でなければ、一気読みはしなかっただろう。その点で、作者の巧みさを感じる。
 他の人が感想で書かれているように、読後感は決してよいものではない。ただ自分は他人に勧めたくなる。特に老師、熊猫先生には勧めてみたい感はある。まあ、この人たちは読んではくれないだろう。
 skyさんの意見が聞きたい。そう思い、読んでもらう。本人の感想として、「小説の中に感情移入できる人物が現れた。」「後ろ2章は作者の読者好みの結末をつけたわざと見透かせる意図が存在する」の二点が興味深かった。
 たしかに、聖職者たる森口悠子は非常に似ている。彼女だったら、娘の復讐をするのなら、このやり方をとるだろう。決して取り乱さない。苛烈な炎のような復讐心ではなく、水を打ったような静けさの中にある真空のような鋭さ。一章の性格を見ているからこそ、終章が不可解なものを感じるようにできている。
 自分も後ろの2章は、何か嘘が混じっているように感じる。まず、少年Aのほうがそんなに簡単に殺人に踏み切るかという点、もう一点は森口悠子が周囲を巻き込んでの復讐を望むのか、あれだけ一章でピンポイントの復讐を望んでいながら、最後は人を巻き込んでの事件にしてしまう。その点が不可解だ。それによって相手にダメージを与えたいという理由、また、ドラマチックな終焉を望む読者への辻褄合わせ、そうともとれる。


 自分も少なくとも教育に携わる人間として、感じているジレンマ、それを形にしている。
 どうして社会は、凶悪な少年犯罪を好奇心や視聴率を満たすだけの恰好の材料としてしまうのだろうか?この作品には、この問題意識が流れているように思われる。
 コンクールで優れた成績を収めても世間の注目はあまり引かないが、今までにない突飛な事件を起こせば、世間が注目する「スター」となれる。社会には変な図式がある。
 40年間一つの職場に努めつづけ、会社に、社会に、家庭に貢献してきた人は有名にはならない。絵にはならないからだ。政治家のスキャンダル、凶悪事件はワイドショーを賑わせ、世間で一斉に取り沙汰される。まあ、歴史的に見れば、彼らも一瞬の閃光ほどの価値もないが。
 心理学からは思春期・青年期の発達段階において、自我の確立が主題としてあげられる。自分の存在を確認したい。その欲求がふとしたことで、特別な存在を発見する。同い年で社会的に騒がれている人物。それがけっして素晴らしいものでなくても、特別な存在と感じれば、それに憧れを抱く。
 マスコミ世間で騒がれているものが、必ずしも素晴らしいとは限らない。自身の眼で判断する、判断できる力、それこそが自己の確立ではないかと思う。その点を育むべきではないのだろうか。
 そんなことを考えた。

【メール便対応】湊かなえのデビュー作!!【告白】(文庫)





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Last updated  2010/07/06 02:44:20 AM
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堂々巡りになっちゃうけど  
レビュー拝読してて再度思ったのは、やはりもともとの題材と言うか問題提起の部分

>どうして社会は、凶悪な少年犯罪を好奇心や視聴率を満たすだけの恰好の材料としてしまうのだろうか?

>コンクールで優れた成績を収めても・・・
>・・・事件を起こせば、世間が注目する「スター」となれる。
>40年間一つの職場に努めつづけ・・・
>・・・凶悪事件はワイドショーを賑わせ・・・

これにはすごく共感するのに(この小説に対して)、結局全体の流れとしては、やっぱりセンセーショナル系で締めくくられて(大衆の好奇心を満たし、視聴率→この場合は話題性と売り上げ)に繋げられてしまってるんだよなぁなんてちょっと残念に(あれほど前半が巧いので)思ってしまいました。

しかし・・・じゃぁ売らんがためだけに結局魂売ったみたいなものなのか?って考えると、単に大真面目に訴えたら逆に「売れない」=「提起したい問題が実際には大衆の目に届かない」わけだから背に腹は変えられぬ系な必然性もあったのかなと思いました。

大事なこと訴えても、誰も見向きもしない方法じゃ仕方ないものね。
娯楽として行き渡させといて、サブリミナルは入ってるみたいな???
考える人は考えるよね、きっと。

堂々巡りな思考ですが・・・

(2010/07/07 02:45:53 AM)

決して取り乱さないヒトでぇ~す!  
あと家族を殺された経験がないので、あと何より子供を身ごもり、女で一つで仕事しながら育て・・という経験がないので、さすがに“感情移入”はできるほど自分の人生の経験がそこは追いついてませんでした。

ただ客観的に(だからこそ気づいたんだと思うけど)自分とは全然違う他者として、あらら、私の思考と行動パターンが分析されたうえにきっちり文章化されてしまっているわ・・とびっくりしただけです。

キャラ作りこんでる時は漫画のネタとかになりそうだけど、ああいう冷めてる時の自分みたいなタイプなんて、描かれてるの見たことなかったし、題材が恋愛にしても、家族モノだとしても、職場モノだったとしても???冷めすぎキャラってネタにならないもんね、普通(笑)

長々と失礼してすぃまいますぃた。
ばぅびぃ。 (2010/07/07 02:47:02 AM)

Re:堂々巡りになっちゃうけど(07/05)  
maroninsky  さん
Dance in the Skyさんコメントありがとうございます。
>考える人は考えるよね、きっと。
そうですね。そう信じたいです。

大衆小説でも、中身のあるものはありますよね。逆に純文学の方が理論だけが走っていて、中身のないものもある。

まあ、食わず嫌いで読むことがいいのかな?
あくまで読書が好きならですが。 (2010/07/09 05:22:20 PM)

Re:決して取り乱さないヒトでぇ~す!(07/05)  
maroninsky  さん
Dance in the Skyさんコメントありがとうございます。
>思考と行動パターンが分析されたうえにきっちり文章化されてしまっているわ・・
wikiによると作者は人物の履歴書を作ってから、物語を作るらしいですね。
おもしろいやり方だなと思いました。
(2010/07/09 05:25:25 PM)

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