趣味の漢詩と日本文学

趣味の漢詩と日本文学

February 11, 2011
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カテゴリ: 国漢文
【本文】亭子の帝の御ともに、太政大臣大井につかうまつりたまへるに、もみぢ小倉の山にいろいろいとおもしろかりけるをかぎりなくめで給て、
【注】
・亭子の帝=宇多天皇。
・太政大臣=藤原忠平。
・大井=京都市右京区嵯峨のあたりを流れる大井川の流域。延喜七(907)年九月十日に、宇多院の大井への行幸があった。
・小倉山=京都市右京区嵯峨にある。
【訳】宇多院のお供として、太政大臣が大井の里にお仕え申しあげておられた時に、紅葉が小倉山に色とりどりに美しかったのを、このうえなく絶賛なさって、

【本文】「行幸もあらむにいと興ある所になむありける。かならず奏してせさせたてまつらん」など申給て、ついに、

おぐらやま峯の紅葉し心あらばいまひとたびのみゆきまたなむ


【注】
・奏す=天皇に申し上げる。
・せさせたてまつらん=行幸・あるいは紅葉の観賞を、おさせいたそう。
・みゆき=天皇のおでまし。院政時代以後は、天皇の外出は「行幸」の字をあて音読して、「ぎょうこう」、上皇・法皇・女院など天皇以外の皇室の外出は「御幸」の字をあて「ごこう」とよむ。

【訳】「醍醐帝が行幸なさるとしたら、ここは非常に風情のある場所だなあ。きっと帝にご報告して行幸させて差し上げよう」などと申されて、しまいには

小倉山の峰の紅葉よ、もし人の心を解するならば、もう一度みかどがおいでになるまで散らずに待っていてほしい。
と歌をお作りになったとさ。

【本文】かくて、かへりたまうて、奏したまひければ、「いと興あることなり」とてなむ、大井の行幸といふことはじめたまひける。
【注】
・興あり=魅力がある。心がひかれる。
【訳】こうして、宮中にお帰りになって、帝に小倉山に行かれて、ぜひ紅葉を楽しまれるよう申し上げたところ、「非常に魅力的なことだ」とおっしゃって、大井への行幸ということをおはじめになったとさ。





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Last updated  February 11, 2011 11:36:40 AM
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