趣味の漢詩と日本文学

趣味の漢詩と日本文学

May 21, 2017
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カテゴリ: 学習・教育

第八十八段

【本文】

 むかし、いと若きにはあらぬ、これかれ友だちども集まりて、月を見て、それが中にひとり、

おほかたは 月をもめでじ これぞこの 積もれば人の 老いとなるもの

【注】

〇いと若きにはあらぬ=あまり若いというわけではない。「ぬ」は、打消し助動詞「ず」の連体形。

〇これかれ=この人やあの人。『土佐日記』「かれこれ、知る知らぬ、送りす」。

〇おほかたは=とおりいっぺんには。いいかげんには。

〇めでじ=愛でるのはよそう。「めで」は、見て楽しむ意の「めづ」の未然形。「じ」は、打消意志を表わす助動詞。「月をもめでじ」の「月」は、天体、「積もる」の主語の「月」は、月日。

〇積もる=積み重なる。

【訳】

むかし、あまり若いというわけではない男が、この人やあの人、友人連中が集まって、月を見て、その人たちの中でひとりが、次のような歌を作った。

月をいいかげんには賞美しないようにしよう。それが積もれば老いになるのだから。






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Last updated  May 21, 2017 04:10:52 PMコメント(0) | コメントを書く
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