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オススメ経済本第10位「レジーム・チェンジ」 中野剛志著「経済ニュースの裏を読め!」 三橋貴明著甲乙付け難かったので、2つ紹介します。長くなるので簡単に。「レジーム・チェンジ」2012年出版の本です。また中野剛志さん書いた本です。これは是非読んで欲しい。「富国と強兵」が分厚くやや取っ付き難い本なので、もっと気軽に読みたいという人にはこっちの本をオススメします。この本は、経済に特化した本です。デフレの構造的な問題などが良く分かります。もっと簡単にしたのが2位と3位に紹介した「奇跡の経済教室」ですが、より体系的な記述になっています。この本を読むと、デフレによって破壊された生産能力を回復させるのがいかに難しいかが良く分かります。失われた日本の潜在成長率を復活させるためにはどうすれば良いのかを考えると、嘆きたくなります。一刻も早く正しい経済政策を行い、デフレを脱却し、構造的な問題を解決して、生産能力を向上させることが重要です。そうしなければ、いずれ日本は慢性的・構造的な悪性インフレ国家になるでしょう。「経済ニュースの裏を読め!」10年くらい前の本ですが、常識になっている間違いを一つ一つ訂正していく作りになっています。データを基にした根拠がしっかりしているので、非常に納得できる作りになっています。結局、単純に国家財政を家計と重ねて見るから勘違いをする、という人が多いんでしょうね。当時主流の経済学は「新自由主義」とかよく言われていました。日本国民のお金が増えても貯蓄をしていてはGDPは上がらない。むしろ貯蓄をした分だけGDPは減少する。デフレ下において、フロー(GDP)の起爆剤は国家財政から充てるべき。ただし、国家財政から民間貯蓄に回るような、フローを下げる政策をしてはいけない。至極もっともです。正しい状況把握なしに、正しい解決を導き出すことは、誰にもできない。以上でオススメ経済本紹介を終了します。皆さんが読んだことがない本も多かったのではないかと思います。僕はこのブログの読者の皆さんに投資関係の本を読むのは余りオススメしませんが、経済本を読むのはとてもオススメします。正しい理解をしつつ、現在の資本主義社会のシステムの中、株式投資を行う必要があると思っているからです。経済状況が変わっても、現状認識が正しくできてれば右往左往しなくて済みますしね。「あの暴落時に買ってました」とか後から言う人、アホですよ。投資をした根拠を言えるのか?と指さして笑ってやると良い。経済環境の変化を理解せず、現状把握をしないまま、ただ株価が下がって過去のPER水準や現在のPBR水準が下がったから買った、業績はいずれ元に戻るだろうから、とかその程度です。そこに複雑な思考回路はありません。全く自慢するような事ではありません。あの時全力買いした俺は投資の才能がある、とかいう考えが見え隠れしているのみてると、お前は馬鹿か?天然キャラか?と言ってやりたくなります。ただし、結果論から言うと、その程度の考えで投資をするのが正解。暴落時は基本的なことを重視するだけで良い。
2019.11.29
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オススメ経済本第9位「国債を刷れ!」 廣宮孝信著国債を刷れ!という刺激的なタイトルの本書、副題は「国の借金は税金で返せ」のウソ、です。今でこそ国債を発行するのがもっとも不況対策に有効で、内需中心国家でのデフレ時にはそれが最も効果的な方法である、という論調が多くなってきました。しかし、今から10年以上前は公の場でそのような主張をしている人はまだ本当に少なかったです。日本の表舞台でそのような主張をしている人はほとんど見たことがない、といってもいい位でした。そのような中で、日本が世界一の金持ち国家なのに豊かになれないのは、ストックばかりでフローが不足しているからだ!国の借金が増え、民間の資産も増え、GDPだけが増えない理由は必要な量の国債を刷っていないからだ!という主張は珍しかったです。今からでは信じられないかもしれません。しかし、当時は本当に珍しかったのです。著者の廣宮孝信さんは喋りが苦手ということもあってあまり経済番組に出て持論を主張するということはなかったのですが、ごく一部に熱狂的なファンが居ました。日本国が借金多くて大変というのは真っ赤なウソ、歳出削減すれば財政は健全化するというのは間違い、という当たり前でも【非常識】な主張をデータや根拠を交えて説明している人は本当に貴重だったからです。表舞台には余り立たない人ですが、確実に今の主要経済学批判論に影響を与えた人だと思います。この本が出版されて10年以上、相変わらず日本は国債発行を必要な量まで増やさず、デフレを続けさせ、世界から経済政策の失敗の見本として見られています。非常に残念で仕方がありません。中国が日本を反面教師にして経済政策を検討しているのを考えると、忸怩たる思いです。GDPの元である主な3元素は「民間消費」「民間投資」「政府支出」で、「民間消費」「民間投資」は景気が悪化して減少してしまう。「政府支出」だけが景気の波によって左右されることなく増加させようと政府が思うだけで増やすことができる。そして、景気が良くなれば「民間消費」「民間投資」は増加する。これだけの長期間不況が続いているのは大変な失策であり、直ちに方向修正する必要があります。プライマリーバランス黒字化(=民間赤字化)は、窮乏への道。不況時に、国債を刷れ!財政赤字を増やせ!は決して暴論ではありません。経済の王道です。不況時にプライマリーバランス黒字化目標を掲げ、その為に消費税増税をするのは致命的すぎる失政です。そして、日本は、その失政を長期的に続けている。なんということでしょうか。日本の国力を確実に低下させるにはどうすれば良いでしょうか。それはプライマリーバランス黒字化目標を法律化させ、知識人を使って誤った解釈を世論に蔓延させつつ、確実にデフレ長期化を遂行させるのが最も効果的なのです。この本を読んで頂ければ、経済政策はインフレとデフレで逆の手法を取るべきで、デフレ下ではどのような経済政策を打つべきか、現在の日本の環境下でどのような人間がメリットを享受しているか、不利益をこうむり続けているのはどのような人間なのか、日本国の国力はどの程度低下しているか、何故それが長期的に続いているのか、が確実に分かると思います。投資家として現状認識をするのは必須です。正しい経済政策をとれば正常な経済成長が行われます。正常な経済成長が行われれば、いわゆる財政健全化が進みます。財政健全化それ自体は何の意味もありません。財政健全化とは国民の資産を国が徴収することになるからです。財政健全化は、それ自体が目的ではなく、インフレ率を調整するための政策の結果の一つです。借り手が政府、貸し手が国民。そして、今はその国民の債権を日本銀行が収集しています。異常な金融緩和政策によるものです。その結果日本はどのような経済状況になっているか。片側で異次元の金融緩和を行い、もう片側で財政政策を絞っている。非常に歪な構造が今の日本経済です。
2019.11.23
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これはソフトバンクGの銘柄紹介の2つ目です。銘柄紹介1つ目から順に読んで下さい。ソフトバンクGの保有資産で投資を考えるなら、純粋な投資会社としてソフトバンクGに投資をすることが可能か?を考えるべきです。 将来、出資先のユニコーンの幾つかが大化けし、業績とともに評価額を急上昇することがあれば、それにともない営業利益を得ることができるでしょう。また出資先の会社が連携してお互いに相乗効果を生むこともあるでしょうし、それらの影響でソフトバンクGの連結企業が恩恵を得ることもできるようになるでしょう。一度その仕組みを作れば、そのメリットは長期的なものになります。連結企業の評価額も相乗効果で安定して上昇する可能性があります。ソフトバンクGを純粋な投資会社としてみるのであれば、営業利益そのものに意味はない、という考え方もあります。もちろん売上も同様です。経常利益や最終利益も同様です。単年度のP/Lに意味はない、という考え方です。 保有している企業の評価額からソフトバンクG単体の有利子負債を差し引いた株主価値だけに注目して、ソフトバンクGのPERは無視する、そのような考え方であれば、少なくても2~3年はアリババの株価推移のみ注視していれば問題ないでしょう。後は誤差みたいなもんです。営業利益は出資先の個々の会社に関するものであり、ソフトバンクG本体としては出資先会社の業績という意味しかない。投資会社としては出資先の会社の出資分に応じた評価額の合計についてのみ意味がある。株主価値と称した連結会社の有利子負債を無視した保有株式合計評価額にのみ意味を見出す。それも一つの考えです。その考えで投資をするのであれば、ファンド運営がうまくいっていたとしても、将来アリババの株価が下がると思うのであれば、叩き売るのが正解です。今のソフトバンクGの株主価値は、半分がアリババなのです。現状、アリババ以外の個別企業の一つ一つはアリババに比べれば誤差みたいなもんです。勿論ファンドの出資先一つ一つも同じです。将来、何年か、或いは十年以上が経過して、物凄い勢いで業績急成長して評価額が激増し、アリババの評価額に近くならない限り、ソフトバンクGの株主価値全体に与える影響はとても小さいです。ソフトバンクGの株を買うということは、半分はアリババの株を買うということなのです。アリババの株価が急落すれば、後の全部の出資先の評価額が上昇していても全くダメです。どんなに控えめに見積もっても2~3年は数字の上でそのような状況が続くでしょう。世界経済がリセッションして、全体の株価が急落することがあれば、純粋な投資会社としてのソフトバンクGのバランスシートは大きく棄損されるでしょう。レバレッジをかけている分、それは大きな影響になります。ソフトバンクGもそれは重々承知ですので、中期的な株価全面安状況になるようなら保有資産を売却する必要があります。信用取引をしている人が株価下落で保有株を連続して叩き売り続けるのに似ています。暴落した評価額で資産を売却しないためには、株価下落に対する担保を掛けなければいけません。それはオプション取引であったり、カラー取引であったりします。他にも色々あります。その保険をソフトバンクGは掛けています。株価が上昇すると、その分を損失として計上しなければいけません。当然、影響が大きいのはアリババです。アリババの株価が大きく上昇したことで保険をかけていた分の大きな特別損失を出したことは過去にあります。ここが重要なのですが、アリババの株価が大きく変動するとその分ソフトバンクGの評価額が変動します。その変動を小さくするために、保険をかけているのです。ただし、アリババはここ数年それほど大きな株価変動はありません。ここ2年程度のアリババの値動きが比較的小さいものであったという事実は、ここ2年程度、投資家のソフトバンクGに対する評価がアリババから違うところに向けられる一因となっています。実際は、アームの評価額がどうの、スプリントの合併がどうの、ソフトバンクKKの上場後の株価推移がどうの、ウィーワークの評価額がどうの、というのは現時点では些細なことです。重要なのは、アリババの株価推移です。影響が大きくなりすぎないように保険を掛けていますが、それでも2~3年程度は、アリババの株価変動に対する影響が一番大きいです。最も重視するべきは、アリババです。アリババがこけたらソフトバンクGは終わります。逆に、アリババが順調に業績や評価額を増加しているのであれば、ソフトバンクGは安泰です。幾ら失敗しても、些細なことです。アリババの株価が大きく下がらないうちに、アリババ以外の比重を大きくする。連結子会社を成長させ、出資先のユニコーンから第二第三のアリババが出てくるのを長期的に待つ。アリババの株価推移の影響に比べれば、個別の新規投資に失敗しても些細なこと。出資先のユニコーンの評価額が大きく減少しても大したことない。失敗を恐れて何もしなければ、いつまで経ってもアリババ依存の体質から抜けだせない。大事なことなので、もう一度。アリババが順調に業績や評価額を増加しているのであれば、ソフトバンクGは安泰です。幾ら失敗しても、些細なことです。アリババの株価推移の影響に比べれば、個別の新規投資に失敗しても些細なこと。出資先のユニコーンの評価額が大きく減少しても大したことない。失敗を恐れて何もしなければ、いつまで経ってもアリババ依存の体質から抜けだせない。大切なのは、成長戦略。大言壮語でもなんでもいいから、大風呂敷を広げて、投資家から資金を集めて、色々なチャンスを見逃さないようにしながら、テーマに沿って急成長分野に投資をして、時間をかけてじっくり大風呂敷を畳む。それがこの企業の本質です。これで銘柄紹介 第十弾を終わります。銘柄紹介も10回やりました。切り良く、今回で最終回とします。この長期シリーズ「銘柄紹介」は結構本気で書いてきました。このブログの長期シリーズは結構どれも結構なエネルギーを注入しています。このシリーズを読んで興味を持って頂けたら、他の長期シリーズも見ていただけたら嬉しいです。今までの銘柄紹介を通じて、考え方の幅が広がった、という方が居ましたら幸いです。今までありがとうございました。
2019.11.14
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これがソフトバンクGの銘柄紹介の1つ目です。ここから順に読んで下さい。第一弾から第九弾の銘柄紹介を読んで頂いていない読者は、先にそちらを順に読んで下さい。(お手数おかけして申し訳ありません)過去に紹介した内容を理解されていることを前提として、今回の銘柄紹介を始めます。銘柄紹介 第一弾 7509アイエー銘柄紹介 第二弾 9866マルキョウ銘柄紹介 第三弾 6060こころネット銘柄紹介 第四弾 7865ピープル銘柄紹介 第五弾 9994やまや銘柄紹介 第六弾 7820ニホンフラッシュ銘柄紹介 第七弾 9984インフォメーションクリエーティブ銘柄紹介 第八弾 2337いちごHD銘柄紹介 第九弾 3712情報企画※皆さんご存知の通りですが、この銘柄紹介は買いを推奨しているものではありません。 それぞれ毎回テーマがあり、そのテーマに適した銘柄を紹介しています。今回のテーマは「周りのノイズに惑わされずに本質を見抜く」というものです。賛否両論あるのを承知で、みんな大好きソフトバンクGの分析を行います。 この銘柄、とても面白い銘柄なのに、ファンダメンタル投資家でファンダメンタルについて論じている人はあまりいないですね。 きっとプライドが高いから、馬鹿にされるのが嫌なんでしょう。 詳しい人が山のようにいるので、自分の分析の浅はかさがばれるのが怖いんだと思います。自分の見解を言うと、違う見解の人から批判される可能性が高いですからね。クソの役にも立たないプライドなんてごみ箱に捨ててしまえ!ということで、今回は色々話題の絶えないソフトバンクGについて、周りの意見と大きく違う僕の意見を、いけしゃあしゃあと述べたいと思います。情報量が多いので、かなり乱暴に要点を書きます。細かいところで間違った表現もあります。間違った記述には自分で意図して書いているものもありますが、意図していないものもあると思います。 箇条書きにはしません。 分かり易いグラフがネット上に色々ありますので、適当に調べて不足分を各自で補完して下さい。今回はテーマに従って、敢えて余り数字を書かないで頑張ってみます。さて、ソフトバンクGは何をやっている企業かというと、AI関連の「ユニコーン」と呼ばれる大型ベンチャー企業に投資をしている投資会社です。 ソフトバンクビジョンファンドという超巨大ファンド、通称10兆円ファンドを運営しています。 この10兆円ファンドは、第一弾に続き、第二弾も同じ程度の規模で超大型ファンドが作られることがほぼ決まっています。 このファンドは、外からの出資の他に、自社からの出資分があります。ファンド以外でソフトバンクGが出資することは基本的にはない、というのが方針になっています。ファンド全体の利益のうち、出資比率の分と、成功報酬分が、ソフトバンクGの利益になります。 ソフトバンクG側でファンドの元本を保証するものではないですが、出資者によっては利回り保証があったりします。第一弾の10兆円ファンドでは、ざっくり4割近くの出資分を優先株として、年間7%の配当を保証しています。出資先のユニコーンは株式上場前のタイミングで出資しますので、評価額の算定が難しいです。 出資した時より評価額が上がれば、営業利益として計上します。 出資した時より評価額が下がれば、営業損失として計上します。 そのため、出資先のユニコーンの評価額が上がるか下がるか、が営業利益に大きな影響を与えます。 ユニコーンは大型ですがベンチャー企業ですので、業績変動が大きく、そのため評価額が大きく変動します。 投資会社である以上、評価額変動は重要です。しかし、一時的な評価額の変動に大きく左右される営業利益が発表される度に一喜一憂しても仕方ありません。 この類の銘柄については、発表された情報をもとに売買するようでは高いところで買って安いところで売りかねません。発表された情報をかみしめて、じっくり消化して投資判断をするようなら投資会社に投資をするのは避けた方が良いでしょう。また、ソフトバンクG連結決算の営業利益には、当たり前ですが、連結企業の営業利益も加算されます。 連結企業は、ソフトバンクKK、スプリント、ヤフー、アーム(アームホールディングス)、などの大企業があります。決して少なくない連結企業の営業利益の額が、ソフトバンクG連結決算の営業利益に加算されます。 これらの企業の営業利益に、ファンドの投資先の評価額変動による営業損益が加わります。 筆頭株主ではありますが、ソフトバンクGが保有しているアリババ株はアリババ全体の株式の20%程度です。 つまりアリババはソフトバンクGの連結企業ではありませんので、ソフトバンクG連結決算の営業損益にアリババの営業損益は加算されません。 これが、PERの算出元の概念。さて、ソフトバンクGの資産は何で構成されているかというと、主には、過去に出資したことで得た株式で構成されています。※膨大にあるのれんの話は割愛。 所謂持ち株会社のように色々な企業の株を持っています。 資産の比率の高い順に、アリババ、ソフトバンクKK、ヤフー、スプリント、アーム(アームホールディングス)、その他、と続きます。 資産に占める割合が非常に大きいのがアリババで、これだけでソフトバンクGの資産の半分となっています。 アリババの保有株式評価額で、ソフトバンクGの時価総額を超えている位です。 上述しましたが、ソフトバンクKK、ヤフー、スプリント、アーム(アームホールディングス)は保有している株式の割合が大きく、連結企業の扱いです。 ソフトバンクKKやスプリントは有利子負債の多い企業ですが、この有利子負債はソフトバンクG連結決算のバランスシートに反映されます。 子会社の有利子負債はソフトバンクGにとって返済義務を負わないものですが、それらを加えるとソフトバンクG連結決算の有利子負債は保有しているアリババ株の評価額を大きく超えます。 アリババ、ソフトバンクKK、ヤフー、スプリント、アーム(アームホールディングス)、その他、の評価額と単体の保有資産を加えた資産から、連結企業の有利子負債を加えたソフトバンクGの有利子負債全体を引いた額が、自己資本になります。 これが、PBRの算出元の概念。ソフトバンクGを論じる時に、PERの概念とPBRの概念をしっかり分けて考えておらずごちゃごちゃにしている人が多いです。 頭の中で整理ができていない。フローとストックを混同していると、正しい現状認識ができません。投資先のユニコーンの一つ、ウィーワークが、大きく評価額を下げたことにより、ソフトバンクGの第二四半期決算は大赤字となりました。 しかし、保有しているアリババの評価額が上昇したため、全体として株主価値は上昇しました。 利益減少によりPERが上昇したが、保有株式の評価額上昇によりPBRが低下した、という内容です。 両方を混合して考えると、状況が見えなくなります。 内容としては、実にシンプルです。ソフトバンクGは、主に、保有しているアリババ株を担保にして、銀行からお金を借りています。 この借入金を元にして、基本的にはファンドを通じて間接的に企業に出資しています。ファンドの運営は、レバレッジをかけてベンチャー企業に投資をしている、とも言えます。 ベンチャー企業の評価額が大きく低下すれば、レバレッジをかけている分、膨大な赤字が生じることとなってしまいます。 しかし、その膨大な赤字がどれだけ自己資本を痛ませるのか?という話です。 連結企業の有利子負債は返済義務がないから株主価値算出の対象外にして差し引いて考えて欲しい、と孫社長は考えています。 ソフトバンクGの本当の株主価値は連結企業の有利子負債には影響しない、というものです。 連結企業の営業損益はソフトバンクGの営業損益に加えるが、連結企業の有利子負債は除いて株主価値を算出して欲しい、というものです。 これは詭弁で、連結企業にするならその会社の営業損益も有利子負債も加味して考えるべきで、加味したくないのであれば連結企業にするべきではありません。 ※これはあくまで会計上の話です。決算報告書をもとにしてソフトバンクGを評価するのであれば、という話です。そこで、全部を連結企業から外して、純粋に投資会社としてファンドの運営だけを考える場合。それは、いわゆる単体決算のようなものです。すると、随分と違った景色が見えてきます。 営業損益からソフトバンクKK、ヤフー、スプリント、アーム(アームホールディングス)、などの分を差し引き、ファンドの運用分のみを残す。 この営業利益をもとに、最終利益を算出してPERを考える。 PBRは、孫社長の要望通り、孫社長の主張する株主価値をもとに算出する。 PERとPBRの概算は、非常に簡単に算出できます。最新のソフトバンクGの第2四半期決算決算動画を見た人なら10秒で概算値が算出できるはずです。 今期上期は、大赤字のためPER算出不能、PBRはざっくり大体0.4倍程度です。 厳密には違います。違いますが大体のイメージは合ってます。 絶好調の前期はどうでしょうか。利益の約半分が連結子会社の利益なので、その分を差し引くとPERは実績値の約2倍でざっくり15倍、PBRは約0.5倍、という感じでしょう。PERは連結企業の営業損益を加えた数値で算出、企業価値は連結企業の有利子負債を加えない数値で算出、という都合の良い数値で考えて投資をしている人が多いように思います。 特にファンダメンタル投資家。ほんと、しっかりしてくれよ。次回に続きます。
2019.11.09
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オススメ経済本第8位「経済学とは何だろうか」 青木泰樹著著者の青木泰樹さんは、分かり易い口調で経済を説明してくれる京都大学の特任教授さんです。詳細把握していませんが、会社役員も兼任されているようです。経済評論家と紹介されていることもあります。僕がこの方を知ったときは短期大学の教授でしたが、当時、ここまで知識の深い人が短大の教授をしているのが意外でとても驚いた記憶があります。分かり易いので、ネットで青木泰樹さんの関連動画をぜひ見て下さい。渡邉哲也さんもそうですが、青木泰樹さんはゆっくりと丁寧に、とっても分かり易く説明してくれます。経済知識がない人にも良く分かるように、とても分かり易くかみ砕いて説明してくれます。今回紹介する本は大学の教材にしてもいい位の本格的な経済本ですが、著者が説明上手なため、本格的な割に分かり易いです。経済学の歴史や、動態的貨幣理論や反ケインズ主義(の学問的帰結)などの個別テーマや、理論的発展は経済学の深化をもたらしたか、など興味深い内容が盛りだくさん。株式投資家がみんな大好きな「行動経済学」も書かれています。ただ、正直に言うと、他に紹介するオススメ経済本より難しいです。僕は読んでいて意味の分かり難い部分も多かったです。分かり難い部分はネットで検索して意味を調べながら読んでました。それでも、オススメ経済本8位にランクインです。僕は難しいことを簡単に表現することが大切だと思っているので、難解な本を高評価するのは珍しいです。ちなみに、僕の嫁さんは経済の専門知識がほとんどないのに、この本を読んで「内容は難しいけど文章が読み易いからある程度は理解できる」と言っていました。それ位優れた本です。(まぁ、僕の嫁さんは僕よりずっと頭が良いですが)著者はおっとりした口調でキツイ内容を話すのですが、この本の中にも「静態理論を経済学の全体像と考える研究者や経済人にとって、経済学は現実社会を分析する学問ではない」など、随所に過激なことが書かれています。既存の経済学を「黒板経済学」と揶揄したりしてます。まぁ、揶揄している本人が大学の教授さんなんですけどね。また加えて、企業への信用供与、生産量の増加など、いわゆる「投資の能力効果」についても分かり易く書かれています。投資に関するシュンペーター効果(※)など、知らない人はこの本を読んでみると造詣が広がること間違いないです。※生産性の向上を意図しない投資はあり得ない(=生産性の向上が予想されなければ投資は実行されない)、とする企業側の経営姿勢・経営論理ちょくちょく方程式が出てきますが、簡単な内容なので構えなくて良いです。文章で説明してくれているので、全部飛ばし読みでも問題ありません。唯一、貨幣乗数の方程式の部分は何度も読み直すなどして理解しておいた方が良いです。現在の日本は社債が実質ゼロ金利で発行しているものがあるという異常事態です。何故ゼロ金利で発行する社債が売り切れるのでしょうか。それは、現在の日本が過剰な資金を運用できる環境にないからです。ただし、最近は海外でも似た状況が出てきています。過剰な資金が行き場をなくして彷徨っています。今の世界は健全な資本主義社会ではありません。このような状況になった一つの主要因が「経済学」にあります。個人投資家一人一人がじっくり腰を据えて、経済学とは何か、を学ぶことは大変意義のあることだと僕は思います。
2019.11.03
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