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もう、乙女や娘と言うものではないがさりとて老けたと言う
ものでもない日々の暮らしの疲労がなければ美しい人と
言われても何ら不思議でない女性と出会いました。
散歩中、会って初めて言葉を交わした二人の目の前にある
湖水にハラハラと落葉が自然のリズム感で落下していた。
木が風雨でささくれたベンチは陽の温もりがあって心地よい。
「わたし、気になっていたの」
とポツリ、、、。
「あなたが独身だなんて思わなかったわ」
水面に浮かんでいる鴨の群れ。
「知ってたら、、、結婚なんて」
やつれた顔を涙が流れる。
「あの時、会ったのが初めてでしたね」
と十年以上前の記憶を辿る。
彼女は高校生だったろうか。
若い男たちに絡まれて困ってるのを助けた。
ラーナを連れていたので男たちが恐れて逃げたのだろう。
わたしに昔のような腕力は無いのだから。
前髪を垂らさない理知的な白い俤が目に残った。
今でも同人の間から独身と言うと驚かれるが彼女が
わたしが妻帯してると思っても無理はなかったのだ。
「楽しい一日が続くように祈ってるよ」
「はい、努力します」
「何だか、先生と生徒の会話みたいだなあ」
「だって、先生なんでしょ?」
「って言われるような馬鹿には違いないけどね」
初めて二人して声を出して笑った。
昔読んだ石川達三の”四十七歳の抵抗”を思い出していた。
そう言う男性が娘に惹かれるという心情は若すぎて理解出来な
かったのだが、生きてる限り年令は重なって行くものでじぶんが
そのような立場であればわかるような気がしました。
わたしにはわたしの社会的な位置があり、彼女には彼女の
家庭があります。
好きだの愛してるだのと言うことは分別が遮ります。
先ほど見たNHKの時代劇で磐音がかってのいいなずけを
抱かなかったのには嘘があると今日の出来事がなければ
そう、思い、断じたでありましょう。
”エエカッコシー”がなければこの世の中の夢や憧れは
消失するでしょうね。
心に受けるダメージが大きいほど夢は深くなる。