料理研究家・宮成なみの【 夢叶 】~胸に希望を 台所から愛を~

料理研究家・宮成なみの【 夢叶 】~胸に希望を 台所から愛を~

2007年06月09日
XML
カテゴリ: なみちん入院記




車椅子で迎えにきた看護婦さんが
お客さんが来ていたよ
と教えてくれました。


部屋に戻ると
久留米商業高校の久原先生が病室に来ていました。


久原先生は家庭科の先生でとても生徒思いな熱い方です。

学校教育に家庭科って必要だよね!って話で盛り上がり
生徒さんたちが義務ではなく楽しんで料理を学んでいけるような



毎年、久留米商業高校に私を呼んでくれていて

1年生から3年生まで
家庭科の授業の一環として
各学年、視聴覚室や大きなステージのあるホールに集まって
体験談も交えた食育の講演会をやっていました。


去年の食育講演が終わった後

ひとりの生徒が私のところにやってきて

私たちもなにか自分たちの手でやりたいと思ったから
きっとその時は協力してください!

今年久留米商業高校は創立110年記念で
文化祭で模擬店をやるから


宮成さんその時はぜひ来てください!


と言われていて


今年の10月、

そのイベントが実現しました。


久留米の特産物を使ったオリジナルレシピを生徒さんたちの手で作り



生徒さんたちが自ら
久留米の特産物を調べて
インターネットで作り方を調べたり
お母さんに聞いたりしてレシピを作りました。

生徒さんたちが作ったレシピは一度私のところにフアックスされ、
アドバイスを参考にまた試作をしてレシピを作り替えていきました。


買い物も自分たちで行い
試作のための材料費は高校生のなけなしのお小遣から出されて作られました。

部活や補講もあるのに
夏休みわざわざ出て来て何度も試作が行われました。
インターネットや本に書いてあるレシピを見て
その通りに作ってもうまくいかないことも多々ありました。

せっかく調べて話し合いレシピを作ったのに
保健所の規定で却下され
1からやり直しになることもありました。

大勢の人数をまとめ進行させていく中で
意見がまとまらないことも
いざこざが起こることもありました。

それでも

生徒さんたちは投げ出さずにレシピを完成させました。


私は夏休みのある一日に久留米商業高校を訪れて
実際に試作を味見し
アドバイスをする約束をしていました。


生徒さんたちはみんな
お肉がぱさつくけどジューシーにするにはどうしたらいいか?

とか

生地が少し固い気がするのでおいしくするにはどうしたらよいか?

など、質問も具体的で

本当にあともう一歩!というところまで
しっかりとしたレシピを作り上げていました。

私がするアドバイスひとつひとつをメモに取り
さっそくやってみますとみんな張り切っていました。

その後
夏休みが明け新学期が始まって
恒例の食育講演会をしました。


私はみんなと同じ歳のときに健康を失ったの

って
経験談も交えて
食の話、命の話、家族の話をして
みんなでこれからの食について話しました。
できることから始めていこうって話し合いました。


講演が終わって
みんなで

もうすぐ文化祭だね!
レシピできた?
試作うまく行った?
って笑いながら話して

10月の文化祭ぜひきてくださいね!って言われて

再び
久留米商業高校を訪れる約束をしました。


けれど
食育講演からちょうど一ヶ月後。

私は入院していて

文化祭を訪れることはできませんでした。



行けなくて残念だなって
みんな待っていてくれたのに
って思うと悔しくて

ずっとずっと
どうなったのかなって
みんなはうまく作れたのかなって
気になっていました。


久原先生に文化祭はどうなりましたか?

模擬店はうまくいきましたか?

と聞くと


結果は大成功で
全部で6つあったブースの全てが完売したのだそうです。
完成度も高く、とてもおいしくできたとのことでした。

前夜祭の日から盛り上がり
私のところに企画を作るからぜひ来て下さい!と言いに来ていた子が

「歴史に残る文化祭を成功させましょう!」

という呼びかけに、全校生徒が応え
中心になって頑張った彼女にありがとうの拍手が起こったのだそうです。

彼女は諦めずにここまでやってきて
みんなと一緒にやってきて本当によかったと泣いていて、
先生もウルウルきてしまったと言っていました。


週が明けて月曜日に久留米市民会館で文化祭二日目が行われ

最後に合唱の課題曲を全員で歌い、心が一つになって感動的なラストとなり
生徒会を中心に卒業式並の涙だったのだそうです。



最初はうまく行かないことの連続でした。
頭で描いていたレシピと実際が違って
大変なこともありました。

もちろん今までほとんど料理をしたことのない子や
家庭科の授業以外全く料理をしたことのない子もいたし

生まれて初めてチャレンジして作る料理に
最初からうまくできるものではなく
練習が必要なものもありました。


けれど

幾度も幾度も失敗して
みんなで試行錯誤して

ラップを使うとか
素材を変えてみるとか
智恵もでてきてきました。

あたしも久原先生もなにも手は貸していません。
ただ見ていただけ。

ヒントは与えても
答えは生徒さんたちが試行錯誤したなかから
自分たちの答えを自らの手で見つけだしました。

全て生徒さんたちの手で
本当に世界でひとつしかない
久留米商業高校のオリジナルレシピができあがりました。


きっと生徒さんたちは
栄養価のことも
料理の常識といわれることも
充分知っている訳ではないだろうし
手順も多少違っていたかも知れません。


けれどそんなことより
もっともっと大切なものを得たんだなぁって思いました。

レシピを作ることを通して
調理することを通して
仲間と協力しあうことを通して
多くのものを得たんだなぁって思いました。


久原先生に

本当によかった
よかったですねぇっていうと

生徒からのお見舞いですといって
分厚い包みを取り出しました。







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2007年07月26日 18時39分11秒
[なみちん入院記] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

プロフィール

料理研究家 宮成 なみ

料理研究家 宮成 なみ

カテゴリ

カテゴリ未分類

(7)

なみちん入院記

(52)

なみちん夢ノート

(0)

新しい道

(4)

想い出話

(5)

穏やかに日常

(0)

バックナンバー

・2026年07月
・2026年06月
・2026年05月
・2026年04月
・2026年03月

© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: