情報統制の一つに、アシュクロフト司法長官が2001年10月12日に発表した情報自由法(FOIA:The Freedom of Information Act)に関するメモランダムがある。同長官は、「健全な法律的な根拠 (sound legal basis)」がある場合はFOIAによる情報公開請求を拒否してよい、と連邦政府機関に指示した。この内容は、リノ前司法長官がクリントン政権時代の93年に「法律によって守られている権利を害することが予測できる場合のみ (“foreseeable harm” standard)、連邦政府機関はFOIAによる情報公開請求を拒否するように」と明言したメモランダムと全く対照的である。「情報の自由(FOI)」侵害の監視活動を行っているNPOのThe Reporters Committee for Freedom of the Pressはこのメモランダムにより、「情報の自由」の危機が最高レベルに達していると警告している。
資料の情報統制がいかに危険であるかということを示す事例で、ネルソン氏はニクソン・ペーパーを挙げた。「ニクソン・ペーパーの多くの部分は今だに公開されず機密情報になっているため、我々は当時の情報を知りたいと思えばニクソンやキッシンジャーの 回顧録に頼るしかない。しかし、ラリー・バーマンという人がキッシンジャーとベトナムについて、最近公開されたニクソン・ペーパーの一部に基づいて本を書いたが、彼は本の中で、公開されたニクソン・ペーパーの内容はキッシンジャーが言っていることとは異なっており、ほとんど反対であることを指摘している」。「No Peace, No Honor―Nixon, Kissinger, and Betrayal in Vietnam」というタイトルの本の中でラリー・バーマン氏は、公開された資料からキッシンジャーの交渉の隠された事実を明らかにしており、ノーベル平和賞を受けたキッシンジャーとニクソンの行為は、戦って死んでいった米国の兵士に対する「裏切り行為」にほかならず、ノーベル平和賞にほど遠い行為であったと断定している。