ねぼすけの読書感想日記

ねぼすけの読書感想日記

2009.04.11
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カテゴリ: 書評



この本は、 上巻の書評 にも記述したが、筆者が月刊誌「ナチュラル・ヒストリー」に300回に亘って長期連載したエッセイを、9冊目のエッセイ集としてまとめたものである。内容は、副題にあるように進化論に関係した科学者が学問上に果たした役割について、単なる伝記ではなく、その時代背景を踏まえた上での重要な進歩や位置づけを解説している。ただ、残念なことに下巻は話題が細切れである上に、筆者の個人的な趣味(野球など)や科学者としての個人的な思い出を強引に「進化論の科学者の話題」と結び付けている内容も多く(2/3以上はそうだ)、上巻で経験した感動には、少し程遠いものであった。

ただ、駄作と言うには内容は濃い。むしろ、良書と呼ばれるにふさわしい。生物学のまともな読み物を読めばわかることだが、ダーウィンが「進化論を発見した」のではない。ダーウィンは、「生物はどのようなメカニズムで進化するのか・してきたのか」を発見したのである。そしてその知的革命を引き起こした進化メカニズムとは、「自然淘汰(natural selection)」であり、遺伝的に多様な集団中の個体ごとの生存と繁殖率の違いが引き起こす非常に強力なプロセスがダーウィン進化論の中核である。こういったことを、周辺の時代背景や関係する人物模様を科学的読み物として正確に分かり易く述べている所が本書の圧巻であり秀逸な点である。

そして、上巻ではダーウィン以前の生物学周辺の話である一方、下巻はダーウィン以来の生物学周辺の話題が主である。特に、自由放任主義的資本主義(=弱肉強食)や政治的保守主義(=既得権重視)の擁護に利用された社会ダーウィニズムと呼ばれる理論も生まれたことも述べられている。ただ、筆者の専門ではないのか、残念ながらワトソン・クリックの二重らせんDNAと進化論の関係周辺の話題についてはあまり触れられていない。

いろいろと批判めいたことを書いたが、上下巻通じて評価すると文句なく面白い本だといえる。グールドは既に故人となったが、この300回分のエッセイが、後10冊近くもまとめられていることは、今後大変たのしみであるとも言える。(評価 星四つ:★★★★☆)



マラケシュの贋化石(下)







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Last updated  2009.04.11 16:23:18 コメントを書く
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