ねぼすけの読書感想日記

ねぼすけの読書感想日記

2011.12.04
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カテゴリ: 書評


訳 者=鬼澤 忍
書 名=これからの「正義」の話をしよう いまを生き延びるための哲学
原 題=Justice What's the Right Thing to Do?
発行所=早川書房
発行年=2010.5
評 価=★★★★☆



これからの「正義」の話をしよう


2010年にNHK教育で放送された「ハーバード白熱教室」の講義内容を元に、書き下ろされた書物である。第3話からだと思うが、最初にたまたま放送を見た時には、面白くて衝撃が走った。内容が哲学だけに、むかしの青臭い大学生の時を懐かしく思い返したり、生徒を巻き込む講義スタイルも新鮮だった。また、一番のお気に入りの店を、他人に紹介したくない気持ちと同様な気持ちも湧いた。本書で取り上げる事例や議論内容は、ほぼこの講義に沿っており、内容的にはあまり新たな発見はないものの、やはり活字で読むと少し重みがあるようだ。

結局、番組放送でもそうであったが、「正義とは何か」について回答がある訳ではない。著者によると、主に3つの考え方がある。一つ目の考え方は、正義を「最大多数の最大幸福」で考える手法-正義とは効用や福利を最大限にすること-である。二つ目の考え方は、正義を「選択の自由」を尊重することで考える手法-正義とは選択の自由を最大限に尊重すること-である。三つ目の考え方は、正義を「美徳を涵養し共通善に基づいて判断する」ことで考える手法である。筆者は、強要している訳ではないが三つ目を支持しており、内容も三つ目がもっともらしいと述べている。ただ残念ながら、一つ目と二つ目の考え方と比べ、三つ目は明らかにレベルが違う。なんとなれば、一つ目と二つ目は、何が正しく正義なのか考える際のアプローチ手法を提供するに対し、三つ目は何が正義かのアプローチ手法は提供しない。逆に、美徳とは何か、皆にとって良きことと言う共通善とは何かを予め列挙して自ら立場を明らかにしておかなくてはならず、欠点は、考えてなかったことに対して新たな考え方のとっかかりがないのである。(多分、サンデル氏に言わすと、「単純なアプローチ手法があれば楽だが、自ら深く考えておくことこそが大事なのだ」と指摘されそう)










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Last updated  2011.12.04 18:27:40 コメント(1) | コメントを書く
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