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知ってる?ひとは声から忘れていってしまうんだってねぇ何か口ずさんでよきっと歌なら忘れないからあなたのことおぼえたいのいまからでももっともっと大きな川のほとりで待ってる誰もが口にするかもそんな勇気なら要らないと知ってる?味方だってことあなたのすべてが正解だよあなたのことわかりたいのいまさらでももっともっと鈴を鳴らす木のもとで待ってる知ってる?ひとは匂いをずっと忘れられないんだって夢じゃかなわないね。ねぇ何か口ずさんでよきっと歌なら忘れないから最期まで歌なら忘れないから
2024.12.05
それ触らないであなたのじゃないから柔い腹を隠してばかりのハリネズミなあのひとの家に届けるために育てているの死ぬまでぶんの花束にしてノックしてもノックしてもノックしても遠いありがとうとごめんなさいどちらならば届くそれ名づけないでなにも奪わせない17歳 深く刺してみた腿の話もすればよかった交換した過去を蒔き終えて死ぬとき終わる花束を待つノックしてもノックしてもノックしても静かさようならとまた会いたい届くほうが届けノックしてもノックしてもノックしてもノックしてもあ、それ触らないであなたの歌じゃない
2024.12.05
急に咳が止まらなくなる夜ふいにあなたを思い出すのです「そんなのおかしいね、どうして?」って微笑む折り目正しい声までともに生きたいだなんて思ったことありません一度も真っ赤なお弁当箱をつつく指先を見つめたあの日から知っていたから違う星のひとなのだとさようならも言わせてくれなかったこと悲しかったけど寂しかったけど今は違うよぶつかり合う鍵の音でさえもふいにあなたを思い出させます変なあだ名で呼んでくれた真昼こわいくらい雲のない青空ずっと一緒にだなんて願うはずもありませんもちろん同じ星に行ける舟のチケットは捨ててしまった白い米を隅に隠すわたしは宇宙人だからさようならも言ってもらえなかったこと苦しかったけど悔しかったけど今は違うよ 今はこの世でたったひとつの思い残しをありがとうさようならも言わせてくれなかったからさようならも言ってもらえなかったから急に咳が止まらなくなる夜ふいにあなたを思い出すのです変なあだ名で呼んでくれた真昼こわいくらい雲のない青空
2024.11.01
あ、金木犀の匂いうなだれたら目に触れたやけに真っ赤なペディキュア薬指だけ掠れてもう誰のためにも頑張らなくていい気の抜けたつま先でこれからどこへ行こうねやっと瞳を閉じても思い出さなくなったよ西陽も眩しかったからそっと耳を澄ましても音のない言葉だけが高い空に抜けてゆくあ、誕生日も過ぎたよ「大人はズルい」だなんて責められないくらいには大人になってしまったいつだか言っていた「普通にしあわせ」になろうと思うけれどなんかちょっと難しいや補助輪なしの心自由でうれしくてさみしいいつのまに手を放していたの?やっとあの店の前で思い出せなくなったよ夕暮れ前のカフェラテさっと走る冷えた風忘れたよ 忘れたよわたしを包む温もりあ、金木犀の匂いこれからどこへ行こうね
2024.10.17
そろそろ時間です。神さまが浮かべた雲のカウントダウン月に近づいてゆく「連れていって」と頼んでも「どうして?」と笑うのでしょうそのやさしさの温度 知ってる自分がいちばん無理しているときに「無理をしないで」と抱きしめるひとだから頑張るふりできたのに生きているふりできたのに何でも完璧なくせにさようならだけ下手くそで頷くしかないじゃん ずるいよ自分事みたく傷ついて痛んで「ひとは無力」だと涙するひとだから愛するふりできたのに愛されるふりできたのにもしも今、大きな声で「しにたい」って叫べたならあなたをどうにかできるの?あなたとどうにかなれるの?なんてね、嘘だよ。少し袖が触れたもう喋らないでそろそろ時間です。神さまが浮かべた雲のカウントダウン月に近づいてきたあなたがわたしといた意味を(そろそろ時間です。)あなたとわたしが離れる意味を(そろそろ時間です。)考えながら余りを生きるよありがと、さよなら。
2024.09.24
「どこでもいいよ」あなたと行けるのなら「なんでもいいよ」ふたりでいられるなら優柔不断いつか誰かに貼られたラベルは剥がしきれないけれどそんなに柔くなれるわたしが今わたしは好き振り返るまい、振り返るまい失っていくものばかりだ振り返るまい、振り返るまい大嫌いな右目がかすむ「ここらでいいか」あなたがそう言うから「ここらがいいね」永遠と名づけるのいち抜けたんだいつも誰かに張られたゴールテープはもう目指さないそんなにバカになれるわたしが今わたしは好き振り返るまい、振り返るまい2点留めの人生なんて振り返るまい、振り返るまいぜんぶまとめてくれてしまえイカれてんねって笑ってくれないか振り返るまい、振り返るまい失っていくものばかりだ振り返るまい、振り返るまい大嫌いだった右目がかすむ
2024.06.14
誰かが何かを歌っているぼくらには関係ない世界静かだ ここはとても 静かだぼくにとってきみは<あなた>ではないしきみにとってぼくも<あなた>じゃないけどこころを取り返してくれてうれしかった ありがとうすくわれない街の底ですくわれないまま息を並べることはできるかなそれぐらい許してよ許してよぼくときみにとって<あした>はないし笑顔で口ずさむ<ぼくら>じゃないけどからだを守り抜いてくれてまだ生きようと思えたすくいのない音の端ですくわれないまま息を並べることはできるからそれぐらい許そうよ許そうよ足りないときはこっちを見て最期の酸素はあげるよ誰かが何かを歌っているぼくらには関係ない世界静かだ ここはとても 静かだ
2024.06.14
あんまり手をかけなくても長持ちするやつにしようふたりで選んだサボテン「案外、枯れないものだな」甘くみて油断するあなたが好きだよ今日も知らないところで水をあげておくからねチクリ わざと あてる 小指痛いから まだ 愛してみるわ地獄まであいのりしてねなんて怖いこと言わない最期まで見ていてあげる「最近、元気ないかもな」軽くみて堕ちてゆくあなたも好きだよねぇサボテンの花言葉知ってる?今日も少し多めに水をあげておくからねチクリ わざと あてる 薬指痛いから まだ 愛してみるわ愛しているわ
2024.05.31
……たいな。「ん? 何か言った?」ううん、どうぞ続けてラジオ聴き続けているそんな一生だ、長いな。シャットダウンタイムスリップ放課後の教室そうだよあなたに歌っているあなただけに歌っている何年も何十年も何百年も前からずっとあのさそれ誰の話?ううん、いいの続けて宇宙ひとり浮かんでいるそんな助手席だ、遠いな。シャットアウトフラッシュバック夕暮れの図書室「あなたは大丈夫だね」本棚から次の痛み止め探しながら微笑んで頷いたわたしの声は届いたことあったの?たった一度でもそうだよあなたを歌っているあなただけを歌っている何年も何十年も何百年も先までずっとそうだよあなたに歌っているあなただけに歌っている何年も何十年も何百年も前からずっと ずっと 今も ずっとわたしの声は届くことはあるの?たった一度でも……たいな。
2024.05.31
冷えた床、体育座り、時計のない部屋。「休み癖がつくと予後が悪いんです」とあの先生が言っていたそこにいない彼がイヤホンをおまもりに静かに戦っていること知らないから仕方ない知らないから仕方ない知らないから仕方ないね「俺がいちばん嫌いな言葉は“まぁいいか”」だとあの先生は言っていたうつむいた彼女がおまもりの口癖をたった今奪われたこと知らないから仕方ない知らないから仕方ない知らないから仕方ないね休まずに、まっとうに、止まらずにここまで完璧に、妥協せず、まっすぐにここまで生きてきたわたしの予後は良好です、良好です、でしょう?知らないから仕方ない知らないから仕方ない知らないから仕方ないね正しそうな言葉をちょうだい今、今、今、冷えた床、体育座り、時計のない部屋。
2024.05.10
もう飛べないならころしてあげようか?空からやさしい針が降る理性の傘が鼓動を守るぜんぶあなたの言うとおりだった答え合わせみたいな日々だ見て、見て、見ないで、見てだから口もあげることにした耳だけあれば進むふたり見て、見て、見ないで、見てあの日あなたが地図に記した「幸せ」に赤い×をした見て、見て、見ないで、見て昨日わたしが地図に加えた「幸せ」に今たどり着いた見て、見て、見ないで、見てぜんぶあなたの言うとおりだった?答え合わせみたいな日々か見て、見て、見ないで、見てもう飛べないならころしてあげようか?空からやさしい針が降るやまない針が降り続ける
2024.04.25
「そうかもね。」ひと粒、降られた春の夜からずっと溺れ続けているそういえば天気予報を当てにしないわたしをいつもからかったねそうだった近づいてくる暗い雲はたしかに見えていたはずなのにねぇあんなに大きな地震があってそれでもまだ会えないのはあんなに苦しい病を越えてそれでもまだ会わないのはそうだよね、そうだよね。それよりもさっきから流れている曲「主役はわたしだ」と歌うのそうかしら同じ章を撫で続けるだけのこの今も物語と呼べるの?ねぇあんなに悲しい事件があってそれでももう会えないのはこんなに寂しい明日が見えてそれでももう会わないのはそうなんだ、そうなんだ。ねぇご飯は食べていますか?あのひとは元気ですか?旅には行けていますか?夜は眠れていますか?咳は出ていませんか?「少し太りすぎた」と笑ったあなたの頬が今も変わらないままでありますようにずっと好きでした恋も愛もわからない頃からずっと好きでした男も女も分かれない頃からこんなに伝えたい言葉があってそれでも、もう。「そうかもね。」ひと粒、降られた春の夜からずっと溺れ続けている
2024.04.03
「大きな声で話せ」と言われなくなったし「ぜんぜん笑えてない」と笑われなくなったしわたしだけの水槽を見つけて同じ色の命と生きているだからもう息もうまくできるよそうなのね、とあなたが瞬く「もっと積極的に」と押されなくなったし「感情がわからない」と怒られなくなったし想いは濁流にさらわれない声の泡がはじけても届くのだからほら愛もうまくできるよ安心ね、とあなたが温もるめでたし、めでたしってあなたに伝えるために紡いできた物語めでたし、めでたしってわたしが飲み込むためのあなた不在の物語さようなら、とあなたに手を振るもう息もうまくできるよほら愛もうまくできるよめでたし、めでたしさよなら、さよなら、さようなら。
2024.03.20
深夜3時の宇宙人せっかく擬態してたのにひとの間から滑り落ちてああ声が出ない声が出ないからちいさな鈴を転がすねお願い音が転がってゆくほうを見ていてそこがふたりの待ち合わせ場所ねえなんて呼び合おうもう触れられない触れられないから緋色の蝶を手放すねお願い羽が導いてゆくほうを見ていてそこがふたりのおしまいの場所ねえ家族の話やめよう何者でもないわたしであなたを抱きしめるから何者でもないあなたでわたしを抱きしめて未来の話いらない何者でもないあなたをわたしは何度も呼ぶから何者でもないわたしをあなたが何度も呼んでもう目があかない目があかないから涙は星に捧げるねお願い光が落ちてゆくほうを見ていてそこがふたりのお揃いの場所深夜3時の宇宙人せっかく擬態してたのにひとの間から滑り落ちた
2024.02.01
もう正しくない日本語でもいい?あの日、わたしは一度死んだから毎日見渡してんの4月の真夜中を秘密を教えてあげる黒い箸の片っぽ持ち帰っちゃってたの起きたらバッグに入ってたしょうもないけれどほんとのこというといっそ恋なら楽でした。口にしたらジリリリって耳鳴りもうきたないコトバ使ってもいい?あの日、わたしは一度死んだから毎日見直してんの3月の夕暮れを駅までのゆるい坂道西日に溶けたまつ毛それから、それから、ねぇあと何を歌にしていない?みっともないけれどほんとのこというときっとあれは恋でした。止む耳鳴り、喉に詰まる静寂いつでも会えること最期まで愛されることそんなのはすべてじゃないよあの時間たちだけを抱きしめてわたしは続きを生きていくきっとあれは恋でした。恋でした。
2023.11.06
先生、どうしようあの惑星に行けなかった。足りない足りないと息を前借りした日々は遥か彼方もう命が長いの片っぽの肺を震わせせっかく教えてくれたしあわせになる魔法はダメにした ダメにしたこれからどこに行けばいい?先生、ごめんなさいその惑星へ行かなかった。会いたい会いたいと子どもみたいな歌口ずさんでいるのおまじないみたいに赤縁の眼鏡を外しまっすぐ教えてくれたまっとうになる魔法もダメにした ダメにしたダメなわたしがダメにしたどこにも行けなくたってこの星で出会い合ったくだらない本や映画笑い合えるだけでよかった防災リュックのポケット詰め込んだ手紙の束ハリネズミの物語あとは何もいらなかった先生、連れてって。
2023.08.08
図書室の鍵をください大きく穴があいたこころで考えられることなんてそう多くはないみたいですだけどあの日はずいぶん咳が多かったことだけが今も気にかかっています新しい本を読まないとわたしの光になってしまったあなたの言葉たちを今少しずつ剥がしているところ剥がしているところだから図書室の鍵をくださいたしか誰かが書いていましたみんなから好かれるなんてありえないから大丈夫とだけど愛するひとから愛されなくなったときにはどうしたらいいのでしょうか新しい本を読まないと生きていく意味になってしまったあなたの言葉たちを今少しずつ捨てているところ捨てているところだから理由もないのに二度と会えないんですか?理由がないから二度と会わないんですか?もう答えをもらえないから新しい本を読まないとわたしのすべてになってしまったあなたの言葉たちを今少しずつ焼いているところ焼いているところだから図書室の鍵をください
2023.05.24
あなたが静かに泣いている誰にも漏らさず泣いているわたしは星だからちいさな星だから瞬きだけを繰り返す孤独で吐きそうな夜はやさしいお話をひとつ飲み込んで正しい眠りが正義じゃないよ神様に頼んで明けない空をあげるあなたが朝を望むその日まであなたが小さく咳をする痛みを堪えて咳をするわたしは星だから名もなき星だから暗闇に切り傷つける悲しみが癒えていくのを待ってくれる優しさは苦しいよね増えていく「大丈夫」の絆創膏ねぇいつか声も顔もわからなくなった闇の果てまたあなたと触れ合えたなら「おつかれさま、よく生きたね」ってやっとわたし役目を終えるよ神様に頼んで止まない空をあげるあなたが明日を望むその日までその日まで
2023.04.05
「もうこの町にはいないらしいよ」そんな知り方もわたしらしいな会えば昔話ばかりしたねふたり飴玉にできる思い出食べきってしまったからさよならすることにしたの?「なんでも写真に撮るんだから」とあきれて笑ってたその声までとっておけばよかったなまたね、なんて信じちゃったなんだよいまだに心が喋る本当に悲しいんだな恋でも愛でもなかった気がして恋とか愛では忘れられないよ悲しい 本当に悲しい 今も誰かに涙を見せられたのも誰かと涙を見せあえたのもあれが最初で最後でずっと、なんて祈っちゃったあなたの潮時を読めなかった想いから降り損ねて恋でも愛でもなかった気がして恋とか愛では忘れられないよ寂しい 本当に寂しい 今も「もうこの町にはいないらしいよ」そんな知り方もわたしらしいな夕方、交差点を通るたび車のナンバー確認してたとっくに意味なかったのに
2023.02.14
「何かあった?」って気にかけてくれてありがとううん、大丈夫何もなくなっただけだよ。だけどしまったな暗証番号ぜんぶあなたの車のナンバーだ今さら変えられないなたったひとりの花丸だけがほしくて生きてきたわたしだから今は何をしたって0点だよ何もなくなっただけだよ。本当は誰にもあなたのこと話してないだから、大丈夫最初からないのと一緒。だけどまいったな悲しい苦しいぜんぶわたしだけが背負っていくものだ。今さら捨てられないなもう言葉は綴らないもう夢もかなえない働いて働いてクレジット切るたびに指が記憶を押して心が擦り切れるのたったひとりの花丸だけがほしくて生きてきたわたしだから今は何をしたって0点だよ何もなくなっただけだよ。だけど、大丈夫最初からないのと一緒。
2022.09.08
日曜日の午後1時あなたのテレビの右上にニュース速報を流したい「どうして?」と呟いてできればほんの少し後悔してほしいないつかわたしが消えた日はいつかわたしが消えた日はねぇ、いつから嫌いだったの?もうどうでもいいけれど小さく重い命を左腕で抱いてあやして右手でパンケーキを焼いて「さよなら」と囁いて「またね」と嘘を吐いたあの日の呪いを解いていつかわたしが消えた日はいつかわたしが消えた日はねぇ、どこから許せなかったの?もうなんでもいいけれど大切なものは失くしてから気づくそんなこともとっくに知っていたから失くさないように大切にしたのにいつしかあなたは消えた大切なものは失くしてから気づくそんなこともあなたが知らなかったなら消えてみようか、なんて思うけどでもとっくにわたしはきっと…ねぇ、いつから失くしてもよかった?日曜日の午後1時あなたのテレビの右上にニュース速報を流したい
2022.05.19
もうすべてが過去形になってゆく日々のなか流し尽くした涙と数合わせするように笑って笑って笑って逃げるみたく眠って「あいたかった」「いきたかった」「さみしかった」「かなしかった」味のなくなったガムを夢でも噛み続けているのなんにも喋りたくないなんにも喋りたくない「思い出作りで終わるつもりはないから」って思い出を作ることにいつも必死だったのはきっとずっとそっと終わりが見えていたから「あいしていた」「いとしかった」「むなしかった」「くるしかった」味がなくたっていいのまだここにあるのが大事なのなんにも変わりたくないなんにも変わりたくないいっそ顔も声も言葉も思想も心も身体も全部、全部、神様に返せれば楽なのにわたしのなかのどこかに何かにあなたの欠片が在る気がしてなにひとつ手放せないんだよもうすべてが過去形になってゆく日々のなか流し尽くした涙と数合わせが終わるまで笑って笑って笑って逃げるみたく眠って眠って眠って眠って逃げるみたく笑って笑って、眠って、笑って、
2022.02.23
上を向いてはいけないよ春と目があってしまうからひとには出会いがあることを新たな巡りがあることをどうかまだ諭さないでいて風を嗅いではいけないよ春が胸まで来てしまうからあなたがいなくなってからむしろもっとずっといるんだどうもまだ会えそうな気がして寂しいという言葉を使わずに寂しさを描くのが歌だってさ寂しい寂しいすごく寂しいあなたに会えなくなってわたしは今すごく寂しい寂しい寂しいすごく寂しいあなたがそばにいなくて消えたくなるぐらい寂しいすみに放っておいた思い出までどうして今さら煌めいてんだよ寂しい寂しいすごく寂しいあなたが明日にいなくて生きたくなくなるぐらい寂しい寂しい寂しいすごく寂しいあなたと生きられなくてわたしは今すごく寂しい上を向いてはいけないよ春と目があってしまうからわたしは今すごく寂しい
2022.01.19
どうせ戻ってくるからと ないがしろにした夏は いつのまにか彼方で どうせ戻ってくるからと 待ちわびていた秋には 金木犀だけが香る 出逢ってから初めて 「おめでとう」と言えない あなたの誕生日 これで本当にさようならだね でも 今日だけでいいから もう二度と届かない言葉に どうかホッとしてください 今日だけでいいから 重ねてきた9月の言葉に そっと手を振ってください あなたが季節だったこと 上向くのを忘れた春 やっと気がついたんだ あなたがすべてだったこと 悲しい歌が要らない冬 静かに思い知ったんだ 不幸せを失くした 不幸せな世界で あなたの誕生日 久しぶりに少しだけ泣けたよ ねえ 今日だけでいいから もう二度と届かない言葉を 寂しく思っていいかな 今日だけでいいから 重ねてきた9月の言葉に 愛おしく手を振っていいかな わたしはここからまた 幸せなんてない 幸せな明日へ行くよ だから 今日だけでいいから もう二度と届かない言葉に その心が動きますように 今日だけでいいから 重ねてきた9月の言葉に その心が揺らぎますように 泣いて、痛んで、笑ってよ 今日だけでいいから 「おめでとう」は言えない あなたの誕生日
2021.09.29
終点も知らないバスに乗って もうずいぶん遠くまで来たね ぼぅっと前を見つめる目の端 俯くきみに気付いていたよ 「ここで降りようと思うんだ」 かなしい勇気の音がした 息を引き取る夢の背中 真っ赤に染める降車ボタン ありがとう ごめんね さようなら 行かないで 大丈夫 またいつか 正しい返事はわからないけれど 祈っているよ ただ生きてほしいから 祈っているよ また笑ってほしいから 振り向かないで行って どうかきみがもっと楽に安らかに 進んでゆけますように 「ここで降りようと思うんだ」 言い損ねてきただけのわたしだ 息を吹き返すきみの未来 真っ赤に照らす降車ボタン ありがとう ごめんね さようなら 行かないで 大丈夫 またいつか 本当の心もわからないけれど 祈っているよ ただ生きてほしいんだ 祈っているよ ただ笑ってほしいんだ 胸を張って行って どうかきみがもっと楽に安らかに 進んでゆけますように 終点も知らないバスに乗って もうずいぶん遠くまで来たよ ぼぅっと前を見つめる目の端 遠ざかってゆくきみが映る ありがとう ごめんね さようなら 行かないで 大丈夫 またいつか
2021.07.30
海の底にも歌はあるのよ “ありふれた日々こそが幸せ” 今日もどこかで誰かの声が 遠くの青を震わせている だけどこの胸を揺さぶるのは 伝わり続けるおとぎ話 あの青に近い世界のこと きっと幸せだけが 命の意味じゃないんだよ 恋のためじゃなくていいから 愛のためじゃなくていいから 海を捨てて昇ってみたい こんなつまらない声あげる 泣くことさえない日々あげる ねえ、わたしも傷つきたいの 彼女のように生きて死にたい 痛いよりも会いたいが脚を 進ませ続けたおとぎ話 あの青に近い力のこと きっと幸せよりも 生きてるって思えるんだよ 恋のために声を売って 愛のために泡になって それはもう昔の話 こんなつまらない恋じゃない 泣くことさえない愛じゃない ねえ、わたしは生きてみたいの わたしのために生きて死にたい 「海の底にも歌はあるのよ “ありふれた日々こそが幸せ” 今日もどこかで誰かの声が 遠くの青を震わせている」 ねえ、わたしは生きてみたいの あの青に近い世界のなかで 生きてみたい。
2021.07.04
一瞬だけかかった虹が 一生モノの傷になって やさしい雨が降るたびに 痛むよ 日常を浅い息で やり過ごしてゆくための 眩しい記憶がほしかった それだけでいいはずだった 手に入れて思い知った 過ぎた日はお守りじゃない 思い出だけで生きていける そんなの全然うそだった 一瞬だけかかった虹が 一生モノの傷になって やさしい雨が降るたびに 祈るよ もう一度、もう一度だけ あと一度、あと一度だけ あの虹を更新して たとえそれが最後でも… 眩しくて思い知った これまでの日々がどれほど 孤独に覆われていたのか そんな場所にまた帰ったよ 日常を浅い息で やり過ごしてゆくための 眩しい記憶がほしかった 今はもっとずっと苦しい 一瞬だけかかった虹が 一生モノの傷になって やさしい雨が降るたびに 痛いよ もう一度、もう一度だけ あと一度、あと一度だけ あの虹を更新して たとえそれが最後でもいいなんて もう思えない あの虹を更新して 今も明日ももっとずっと やさしい雨が降るたびに 痛むよ 祈るよ 痛いよ
2021.06.11
もう朝はいらないの ふたりで哀しみを流した 思い出のあの夜を 今はひとりで漕いでゆくよ 「いつでも帰っておいで」 あなたの優しい嘘は 夕焼け色のリボンで この船を繋いでいた どこにも帰れなくても 記憶で身体を包み 今日を越え続けてきた だから責めたりしないよ だけど もう朝は待たないの 夢でさえ笑わなくなった あなたがわたしの夢を見る そんな日が来るはずないから ちぎった夕焼け色が 遠くで手を振っている さよなら、さようなら 「いつでも帰っておいで」 あなたがくれた故郷 魔法が解けて溶けてゆく 戻れないよ 戻らないよ だから もう朝はいらないの ふたりで哀しみを流した 思い出のあの夜を 遠回りして漕いでゆくよ あなたのいない明日へ向かって ちぎった夕焼け色が 船の先で揺れている さよなら、さようなら
2021.05.23
「桜が綺麗ですね」 「きっと今日がピークだね」 上向く横顔 見つめながら 舞い落ちる言葉を訳します 心を大きく くり抜かれたあの日から 眩しい時間が 胸を満たしているけれど わたし あなたの家も知らない 家族の顔も知らない 愛するひとの名前も 生まれた街の景色も 想像できない未来は かなわないことだけ知っているの 今夜、明日を閉じようと思う 春の羽根の絨毯が美しいうちに 心を大きく くり抜かれたままだから このさきずいぶん うまく息ができないな あなた わたしの朝も知らない 働く姿も知らない 二日目のカレーの味も 「おはよう」「おやすみ」の声も 想像してきた未来に かなわないことだけ知っているの 今夜、ふたりを閉じようと思う 春の羽根の絨毯が汚れゆく前に 桜が綺麗ですね 本当に綺麗ですね あなたを想って見上げる空も これで捨てるよ わたし あなたの温度は知っている 声も香りも眼差しも 誰も知らない本音も 声にしなかった言葉も 今夜、すべてを閉じようと思う 春の羽根の絨毯が美しいうちに 桜は綺麗でした 本当に綺麗でした。
2021.03.28
大きく笑い尽くした一日でも 世界に怒り狂った一日でも ふんわりと温もりに包まれながら あなたのいない今を見つめているよ あのね 最近いちばん 哀しかったのは ついに夢のなかでも 背を向けられてしまったこと 目を閉じて 思い出のあら探しをしている 何度も 何度も 何度も 何度も だってもう新しく傷つくことさえできないから マスク外して春を吸い込んでみても 猫の瞳に本音を話してみても 喉の奥の奥こころが倒れていて わたしが変われないよう見つめているの あのね 最近いちばん 淋しかったのは 神様にしていた 言葉も光らなくなったこと 目を閉じて 思い出をすすいで洗っている 何度も 何度も 何度も 何度も どうせもう新しく汚れることさえできないのに わたしの世界から あなたがいなくなったんじゃないね あなたの世界から わたしがいらなくなったんだね 目を閉じて 思い出のあら探しをしている 何度も 何度も 何度も 何度も それでもまだ新しく傷つきたくて汚れたくて ふんわりと温もりに包まれながら あなたのいない今を見つめているよ 夜はいつも いつもいつも
2021.03.03
言葉に頼りすぎたから バチが当たったみたいだ どんな便利な時代でも 想いだけ思い通りに届かない 意味があったんだよ あの朝のひらがなにも あの夜の句読点にも ぜんぶ意味があったんだよ 一粒も無駄なんてなかった 選ぶ時間が愛だった 言葉に頼りすぎたから バカになってたみたいだ ため息も舌打ちもきっと 気づけるはずだと思い込んでいた 意味なんてなかった 文字の肌だけなぞって 情だけの相槌をくれた あなたには意味がなかった 一粒も意味なんてなかった 愛なんて愛じゃなかった 謝る言葉も 別れる言葉も 見つからないなんて なんて 意味があったんだね そっけない挨拶にも 遅くて短い返事にも ぜんぶ意味があったんだね ただそのままの意味だったんだ 一粒も愛なんてなかった 言葉に頼りすぎたから バチが当たったみたいだ バカになってたみたいだ 言葉に頼りすぎたから わからなかったよ、なにも、なんにも。
2021.01.14
まちがえたまま進みすぎてしまった迷路 ふたり一緒に戻る愛も進む情も もうないね。 ねぇ どこかへたどりつくことを あなたが諦めたのはいつ? とうに 互いに あしかせだと 思い知りながら 書き換えて ないまぜで 涙目で カラの心で笑っていた わたしが話す鈍色の歪な未来図 流すあなたの苦笑いが好きだったよ 愛してたよ。 ねぇ あなたとたどりつくことを 諦めた日のこと知ってる? とうに ふたりの 最果てだと 思い知るほどに 書き換えて 掃き溜めで 涙目で カラの心で笑っている あの未来図にだって さよならだけは 載せなかったはずなのに 載せなかったはずだから 書き換えて ないまぜで 掃き溜めで 涙目で カラの心で笑っている わたしたち笑っている 最後までおそろいなのは こんなところだけ こんなところだけだ
2020.11.15
海にしたあなたの言葉に 肩まで浸かっていたはずが いつのまに 空洞に ひとり いつまでも底を爪で掻く 痛くなるってわかっていて 会いたくなるとわかっていて もう一度、読み直す返事 愛の見落としに期待して 文字の隙間を覗いて 覗いて 信じすぎることが ひとを苦しめるだなんて 知らなかったんだ ごめんね ありがとう ごめんね ありがとう どんなに繰り返しても 想いが言葉に収まらないよ 醜くなるとわかっていて 惨めになるとわかっていて もう一度、会えれば話せれば また笑い合えると期待した 昨日の続きみたいに 未来に 慕いすぎることで ひとに背負わせるだなんて 知らなかったんだ ありがとう ごめんね ありがとう ごめんね 繰り返すふりをして 逃げてきた言葉があるけれど 夢のなか 久しぶりに 穏やかな顔のあなた 「これが最後」と笑ったから これを最後にしようと決めたの 信じすぎてしまった 慕いすぎてしまった わたしだけが愛と呼ぶ愛だった ごめんね ありがとう ありがとう ごめんね 昨日の続きをちゃんと綴るね さようなら。
2020.10.29
夜を傷つける鋭い三日月 あれはこれから膨れてゆくのか それとも明日には消える光か わからないや わからないよ だって空を見上げることさえ ずっと忘れていたから とりあえずのビール とりあえずの最後 うるさいBGM 「知らない曲ばっか」 沈黙を埋めたい その小さな笑みと声 ぬるい黄金が いつまでも揺れていた 夜を傷つける鋭い三日月 消えも膨れもせずにあなたの 心に引っかかって痛んでよ 忘れないや 忘れないで たとえ互いに見つめ合っても 何もわからなくなっても 愛しい曲ばっか あなたを重ねた 愛しい曲ばっかだった ぬるい黄金が いつまでも揺れていた 夜を傷つける鋭い三日月 消えも膨れもせずにわたしの 心に引っかかって痛むよ あの日と似た色で いつまでも
2020.09.12
月なんて見えないじゃない 今日もまた 幸せなひとだけが幸せです 知らない言葉が増えて 知らない笑顔が増えて 知らないお酒が増えて 知らない香りが増えて もう何ひとつ同じではないあなたを どうしてわたしだけまだ 液晶の光が痛い 今日もまた 不幸せにすらなり尽くせません しがない大人になって いらない笑顔が増えて いまだに夜明けに待って きたない心を知って もう何ひとつ同じではないわたしを 愛するわけないじゃない 月なんて見えないくせに わたしに わたしだけに 光って見せる記憶があるの それが綺麗で とても綺麗で綺麗で もう何ひとつ同じではないふたりの 同じ夜を願ってしまう 月なんて見えないじゃない 今日もまた 幸せなひとだけが幸せです 知らない夜だけが幸せです あなたの夜だけが幸せです
2020.08.13
こっちのほうが夢みたいだな だらしなく緩んだカーテンの隙間から 味もしない青空 あれからわたしは 澄み切って どこまでも澄み切って 何も浮かばない くだらない つまらない ここにいる 誰も傷つけず あなたと消えられたらよかった こっちのほうが夢でいいのに 恨んで憎んで苦しんでも何度でも 涙を選ぶのに あれからみんなは 変わったね 変われたね 笑うけど ホントはあなたに 変わらない 変わらないなと 泣かれたい 誰かを傷つけても あなたと共にいけばよかった どうして今、ひとりなんだろう どうしてたら今、ふたりなんだろう あれからあなたは 澄み切って どこまでも澄み切って どこかで誰かと 変わったよ 変われたよって 笑うのかな そっちのほうが夢みたいだな 力なく閉めたカーテンの向こうには 味もしない青空 何も浮かばない くだらない つまらない 青い空
2020.07.26
言葉をひと粒 景色に溶かせば たちまちたゆたう 思い出のあなた 褪せないの 流れてゆく雲が早すぎて ふたりがどんどん過去になっても 教えてくれた本のページが 少しずつ色を変えていっても あの夜のワインからすっかり アルコールが抜けてしまっても 一瞬で声に香りに眼差しに 彩られて巻き込まれて 喉の奥が熱い 写真を一枚 夢に溶かせば たちまちひろがる ないはずの未来 会えないの? 部屋に残されたあれこれから 真実の欠片を探し出しても ハッピーエンドの小説から あなたに似たひと見つけ出しても あの夜のワインとおんなじ ボトルを何本買ってきても 一瞬で影に涙にまやかしに 囚われて巻き込まれて 奥の奥が痛い いつまでも成長しないわたしを どこかでそっと笑っていてよ 褪せないの? 会えないの? 会えないの 褪せないの 言葉をひと粒 景色に溶かせば たちまちたゆたう いないはずのあなた
2020.06.11
あなたと過ごしたあの日々が こころの内で揺れている 褪せて乾いて形かえても 綺麗なままで、まだ 舞い散ることに耐えられなくて 新たな芽吹きも信じられずに 咲き尽くす前に閉じ込めた だから どうしようもなく 愛おしかった“今”が 今でも“今”なの ゆるして さよならも言わないわたしを ゆるして さよならも言わせぬわたしを ゆるして ゆるして 忘れたくない あなたと過ごしたあの日々を ときどき涙に浸すけど 濡れそぼってうなだれるだけ 綺麗なまま、そんなわけない だけど どうしようもなく 愛おしい思い出を 思い出と呼べないの ゆるさないで さよならも言えないわたしを ゆるさないで さよならも聞けないわたしを ゆるさないで ゆるさないで 忘れないで 舞い散ることに耐えられなくて 新たな芽吹きも信じられずに 咲き尽くす前に閉じ込めた ドライフラワー 今でも“今”なの ゆるして さよならも言わないわたしを ゆるして さよならも言わせぬわたしを ゆるさないで さよならも言えないわたしを ゆるさないで さよならも聞けないわたしを ゆるして 忘れたくない ゆるさないで 忘れないで 今でも“今”なの
2020.05.26
甘い気持ちで目覚めたまま 文字を送ってしまったこと すこしだけ後悔してます 歯磨き粉のミントが ぼんやりわたしを わたしに戻してゆく しまった、しまったなぁ しばらく会えなくなったって 一生会えなくなったって あなたはあなたで幸せに 暮らしていくもんね 暮らしていくのにね 苦い気持ちで過ごす夜 ただ一言も返さぬほど どうでもよくなったのでしょう 歯磨き粉のミントが じんわりあなたを あなたに返してゆく そうだった、そうだったなぁ しばらく会えなくなったって 一生会えなくなったって あなたはあなたの幸せを 暮らしているもんね 暮らしているのにね 夢のせい 夢のせい あれはぜんぶ 夢のせい みじめな文字の名残を 静かに消去する そうだった、そうだったなぁ しばらく会えなくなったって 一生会えなくなったって わたしはあなたの幸せを 祈ってしまうんだね 祈ってしまうのにね しまった、しまったなぁ 歯磨き粉のミントを ぼんやり感じながら また夢のなかへ 帰ってゆく 帰ってゆく 帰ってゆく
2020.04.28
お元気ですか? 春が来たなら久々に お食事にでも行きましょう ーそちらはいかが? 冬は続けどそれぞれに 気をつけながら生きましょうー いつも少し寂しくなるの あなたの言葉はいつだって 微笑みながら目をそらす 会いたい 会いたい わたしに会いたいあなたに 会いたい 元気じゃないよ 春が来たならもう一度 弱さを晒し崩れたい あの日「またね」と叫んだけれど あなたは優しく手を振った 優しく手を振るだけだった 声にしない言葉を 文字にしない想いを わたしがわかること あなたはわかってた あなたはわかってる 会えない 会えない あなたに合わないわたしは 会えない 会えない 会えない わたしに会いたいあなたになんて 会えない たとえ 春が来たって、春が来たって、春が来たって、
2020.03.28
今日が最後だとふたり わかっていた二軒目は 少しだけ早く出たね ちょっと長く居すぎたよ あっけなくてちょうどいいさ 停まるたび問いかけてきた 清く正しい各駅停車 いつだって降りられたのに いつまでもバカでいたかったの あのさ、楽しかったね 明日には消える 細い細い三日月 わたしたちを看取って バイバイ、バイバイ、バイバイ 人生の終着点で わたしのすべてを広げて 間違い探ししてみても あなたと過ごした時間を 指差すことはないでしょう 停まるたび問いかけたかった 清く正しい各駅停車 いつどこで降りたのならば いつまでもそばにいられるの あのさ、寂しくなるね あれじゃない道に 行かないいけないわたしたち あれしかない道に 帰ろう、清く悲しく 明日には消える 細い細い三日月 わたしたちが看取るよ バイバイ、バイバイ、バイバイ あのさ、楽しかったよ バイバイ
2020.02.22
溜息ひとつ吐くくらいの ちからだけ残された暗い部屋 取り込み損ねた洗濯物に 気づいて裸足で夜を踏む あぁ 淡い風 今年はじめての春の香り どうしても どうしても 思い出してしまうよ 世界は 今日も悲しいことばかりで ずっと悔しいことばかりで あなたの言葉に頼りたくなる あなたが 悲しい明日にいてくれたら 悔しい日々にいてくれたら 未来を過去に託したくなる こんなわたしをどうか笑って 溜息ひとつ吐くくらいの ちからだけで歩いてく人々を 取り込み損ねた思い出抱いて 見つめる 身体は夜の色 あぁ 甘い影 楽になりたくてあの春の方 どうしても どうしても 流れそうになるよ こんなわたしにどうか泣いて 会いたいひとが生きている世界の 幸せを今さら思い知るの 世界は 今日も空しいことばかりで ずっと淋しいことばかりで それは何よりあなたがいないからで 空しい今日にいてくれたら 淋しい今にいてくれたら すべてをあなたに託したくなる こんなわたしをどうか笑って こんなわたしとどうか笑って 淡い甘い春のなかで、また
2020.02.16
目を閉じたら たったひとつだけ 思い出したい景色があるの もう戻れない午後4時の夕焼け 夢をみたら たったひとりだけ 幾度も会いたいひとがいるの もう話せないお気に入りの映画 あれからわたしも変わったよ 明るい服を着るようになったし お酒はあんまり飲まなくなったし あの本たちは棚から消えました それでもずっと変わらぬことは… 手を開けば たったひとつだけ お守りになる温度があるの 「もう大丈夫」と握ってくれた手 目が覚めれば ふたりでも独り 思い出しているひとがいるの もうぼやけてく遠くのしあわせ あれからわたしは変わったよ 憧れた未来を咲かせ尽くして 今は生活のなかをたゆたって あの日に教えた夢は止みました それでもずっと変わらぬことは… ねぇ、どうか あなたのなかのわたしは あの頃のままで生かし続けて あなたも あれからわたしは変わったよ 思い出したい景色があることは 夢を記憶に愛してゆくことは そんなに悲しい生き方じゃない それでもずっと変わらぬことは そんなに悲しい生き方じゃない
2020.01.25
あなたの心はいつだって 厚手の服をまとっていて 風になろうと日になろうと わたしでは脱がせられないの わかるよ 瞳の奥の悲しみの海 だってずっと見てきたから 痛い、痛い、痛い、あなたの 痛みをもらえなくて 痛い、痛い、痛いだけのわたしが痛い なんにも言ってくれないね なんにも言ってくれないね なんにも言いたくないんだね 「ひとりじゃない」と伝えたくて いつでもふたりでいるけれど だから裸になれぬのなら 静かに去るのが愛なのかな ねぇあの日 わたしを「これからのひと」だと 言ってそっと笑ったけれど あなたは? あなたはどうなの? 一緒に「これから」には行けないの? 行かないの? 痛い、痛い、痛い、あなたの 痛みを知ったふりで 痛い、痛い、痛いだけのわたしが痛い 痛い、痛い、痛い、あなたが 痛みを隠すたびに 痛い、痛い、痛いだけのわたしが痛い なんにも言ってくれないんだね なんにも言ってくれないんだね なんにも言いたくないんだね それがあなたの答え こんなにも一緒にいたあなたの 優しくて優しくて優しくて残酷な たったひとつの 答え なんにも言ってくれないんだね。
2020.01.12
便りがないのは良い便り そうやってまた都合よく 忘れることを許さないで 頼らないよ頼れないって 今日だってまだポスト前 唇噛んで赤く傷む あなたとなら 変われる気がしてしまった 誰の幸せも不幸も聞きたくない 幸せにも不幸にもなりたくない わたしは変わってしまった ひとを愛して弱くなること もっと早く知りたかったな 巻き戻したいわけじゃないの だけど進んだ先で二度と もうふたりは交わらないの? 増えていかない記憶たちが 夢に更新されてゆくの 歪なシアワセに変わるの あなたとしか 変われない気がしてしまった 誰の幸せも不幸も聞きたくない 幸せにも不幸にもなりたくない わたしは変わりたくない 変われない ひとに愛され弱くなること ずっと知りたくなかったな 熟れてゆく熟れてゆくあなた 倦んでゆく倦んでゆくわたし 唇噛んで赤く傷む あなたを愛して弱くなった あなたに愛され弱くなった そんなわたしを忘れないで 幸せになっても
2019.11.26
猫の背を撫でて 洗濯物が揺れる 胸の奥底を 満たしてゆくキンモクセイ どうやらこれを 幸せと呼ぶみたいです それでもいまだ 気がかりなのはあなたのこと わたしなしでも 幸せになれるあなたのこと あの頃、守ってくれた あの歌がこの歌が 「もういいよ」って言うんだよ あの頃、愛してくれた あの歌もこの歌も 「だいじょうぶ」って笑うのよ それなのに、ね。 たとえばあなたが この世から消えたなら どれくらい経てば この耳まで届くのかな そんな日が来ても 幸せのなか生きるのでしょう どんなに尚も あなたのこと思っていても あなたなしでも 幸せになれるわたしだから あの頃、憎らしかった あの歌がこの歌が 他人事に変わったんだよ あの頃、涙こぼれた あの歌もこの歌も もう悲しくなれないのよ それなのに、ね。 こんな気持ちを なんと呼べばいいのかな 愛するひとと笑えてますか? 愛されながら笑えてますか? ラブソングではないけれど あなたのことを思っています あの頃、お守りだった あの歌にこの歌に もういいよって言えそうで あの頃、愛し尽くした あの歌にこの歌に だいじょうぶと笑えそうで 変わってゆくことは 正しくて、さみしいね。 猫の背を撫でて 洗濯物が揺れる 胸の奥底を 満たしてゆくキンモクセイ どうやらこれを 幸せと呼ぶみたいです あなたはどう?
2019.10.29
水たまりに映った さっきまでの「いいこ」を 傘の先で掻き壊す 雪崩れたこころの底 未だ光り続ける あなたをどうすればいい? 遠く 遠く 遠く 幸せを祈るのは 疲れた もう疲れた 会いたいわけじゃない 愛してるわけじゃない 曖昧だっていい 会いたいときでいい 愛されなくてもいい 曖昧だからいい そんな大嫌いなわたしを 作り上げたのは、あなた。 自分の可能性の 限界を決めつけちゃ いけないといつか言ったね じゃあその瞳の奥 透けて見えるふたりの 限界はどうすればいい? 長く 長く 長く 先に期待するのも 疲れた もう疲れた 会いたいなんて唄 愛してるなんて唄 合鍵の音より軽い 会いたいなんていい 愛してるなんていい 相変わらずがいい そんな大嫌いなわたしを 生かし続けているのは、あなた。 笑顔と泣き顔を まだ見間違え続けていて こんな大嫌いなわたしが 生きている理由は、あなた。 どうすればいい?
2019.09.18
夢の後味に いつまでも浸っていたい 午前10時 ぬかるんだこころのまま あの景色に逃げ帰りたいのに 喉をとおる水 嗚呼、遠ざかってゆく あなたがいた あなたがいた あなたがいた あなたがいない世界に 夢の後味を 引き寄せて眠ろうとする 深夜3時 つまんない女になれたよ だからもうあの景色に閉じ込めて 頬をつたう水 嗚呼、近づいてくる あなたがいる あなたがいる あなたがいる あなたがいない世界に 生きてゆくための 思い出が足りないの 思い出を継ぎ足して 夢のなかでいいから いいから あなたがいない あなたがいない あなたがいない あなたがいた世界に 夢の後味に いつまでも浸っていたい 今から、最期まで。
2019.08.10
青い青い青い青い 水面が輝いては刺さる なんでなんでなんでなんで こんな眩しい日にわざわざ 波に飲み込まれ 聞こえないような なにかをつぶやき 逸らした瞳が 深く染まってゆく そんな横顔 見つめても もうわたしには 届かない わからない たどりつけない ねぇ、いつも体温は わたしより少し高かったよね あの日?あの日?あの日?あの日? 沈黙のなか間違い探し あのね、あのね、あのね、あのね、 先の言葉も見つからなくて 揺れる海の皮 このまま落ちたら そっと抱きとめて 包んでそのまま 底へ連れてって どうか代わりに 教えてよ 永遠ってもの 届かない わからない たどりつけない ねぇ、いつも心温は わたしより少し低かったよね いつか憎まれるくらいなら 笑顔で手ぐらい振るけれど だけど 青い青い青い青い なんでなんでなんでなんで あの日?あの日?あの日?あの日? あのね、あのね、あのね、あのね、 こんな眩しい日にわざわざ。
2019.07.05
最近はどこも肩身が狭いなって 煙っていたあなたの苦笑い 思い出しながら見つめる天井の火 あの指先のオレンジに似てる 嬉しそうにこぼれた灰は わたしたちの時間の証 もっと深く吸って吐いて 何度だって許したげる あなたの身体はあのひとのせい あなたの心はわたしが守る 永遠なんてくれてやる くれてやる 革靴の先で吸い殻をもみ消す さようならの合図が嫌いです 自由に手を振り不自由な幸せに 戻る背が嫌いです 悲しそうにつぶれた灰は わたしたちの未来の証 ずっと深く吸って吐いて 最期まで許したくない あなたの身体はあのひとのせい あなたの心はわたしが守る 永遠はとっくに奪われた 奪われた また匂いでバレたなんて笑わないで ここだけが自由だなんて笑わないで あのひとの不在で あのひとを思わないで あのひとを思わせないで 嬉しそうにこぼれた灰は あなたたちの契りの証 もっとずっと吸って吐いて この今を許し続けて あなたの身体はわたしのもので あなたの心はあのひとのもの 永遠なんていらないよ いらないよ
2019.06.18
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