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千里山団地のジオラマ製作記、今回は地形のつづき。前回は発泡ポリプロピレンを等高線に切り出して接着する所までを書きましたが、今回はそのつづきです。その前に、等高線の板を接着して重ねる時の注意点を書きます。等高線を貼り重ねる時は、高い方から先に貼っていきましょう。つまり頂上から順にふもとまで進めてゆくということ。今回は一番ふもとから積み重ねていったのですが、上に行くに従って、貼付け位置の誤差がだんだん大きくなってしまいました。特に今回の模型は900mm×900mmのスペースの模型を450mm×900mmに分割して製作しているので、真ん中でつなぎ目ができる予定でしたが、等高線を切り出しては貼付け、積み重ねて行くに従って、真ん中のつなぎ目に隙間が空き、それが上に行くに従ってどんどん大きくなってしまったのです。接着剤は乾いてしまったので今更修正はできません。そこで・・・思い切ってつなげてしまいました。これにより、頂上まで張り合わせた発泡ポリプロピレンは畳半畳分の地形状の物体になりました。この大きさ、けっこう取り回しが悪いのです。地形の裏側は、地形に合わせて全体的に大きなくぼみ状になり、そのままではいずれつぶれてしまいます。そこで、地形の裏側には余った発泡ポリプロピレンで柱となる補強を付けました。このままでは強度的によろしくないので、地形全体のベースとして、900mm×900mmの大きさの段プラ製の板を裏打ちします。これで、壁に立てかけられるくらい強度が出ます。そして、次に行うのが、階段状になった地形の表面を滑らかにする作業です。この発泡ポリプロピレン製の地形の上に、紙粘土を盛りつけてゆきますが、その前に、表面の処理を行います。紙粘土の食いつきが良くなるように、発泡ポリプロピレンの表面全体に自動車用のプラサフを吹き付けます。このプラサフは意外と強力で、ポリプロピレンの表面を若干溶かして荒らし、表面に凹凸を作ります。この凹凸に紙粘土を付けてゆきます。階段状の地形のうち、まずは凹んだ部分から紙粘土を付けます。紙粘土は最近見かけるようになってきた比重の軽いものを使用します。商品名も「かるーい紙ねんど」。100円ショップでも入手できます。これを少量の水を付けて良く練ったら、地形の表面に付けるというよりは「なすり付ける」ようにすり込みます。そうすると、最初のうちは密着していなかった紙粘土が、次第に薄く延びて表面に馴染むようになります。この紙粘土、けっこう安価なのと、意外と軽く、乾燥するとスポンジのような弾力が残り、ヒビ割れもほとんど出ませんので、おすすめです。鉄道模型のレイアウト等の地面の製作にも重宝するかもしれません。つづく。
2010.01.15
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千里山団地のジオラマ製作記、今回は地形の材料について。千里山団地は公団初期に建てられた味のある住棟が魅力的ですが、一番の特徴はその起伏に富んだ地形にあります。特に中央部のスターハウスが建ち並ぶ星が丘地区は、まるで棚田を思わせるような複雑な地形で、模型ではどのように表現したら良いか、悩みどころです。そして、建築模型の地形模型(コンタ模型とも呼ぶ)は、ネットで検索するとけっこう参考になるHPがあったりしますが、定石はやはり等高線に沿って切り出した板を重ねて表現する技法でしょう。今回の千里山団地の模型も例に漏れずこの方法を採りました。ただし、素材や板の重ね方にはちょっと工夫をしています。まずは素材から。今回使用したのは、これ。壁に立てかけた白い板、素材は何でしょう?スチレンボード?発泡スチロール?いえ、違います。答えは、「発泡ポリプロピレン(EPP)」一見発泡スチロールと見紛うのですが、発泡スチロールとは違い、柔軟性や弾力性に富み、薄板でも折り曲げに強いのが特長。最近では自動車のかさ上げ材等に使用され、トランクルームのスペアタイヤの上に工具を載せるためのパーツにも使用されています。また、その軽量で柔軟な性質を生かし、ラジコン飛行機の分野で近年注目を集めています。今回のジオラマに使用する材料も元々はラジコン飛行機用の素材を使っています。下記リンク先の通販で入手しました。SKY TOWNサイズは450mm×900mm、厚みは2.5mm1枚の厚みが1/450のサイズで1.125mに相当しますので、これ1枚を高さ約1mとして等高線状に積み上げました。スケールより若干高低差がありますが、模型ではこの程度のデフォルメはむしろ特徴を強調するため好都合です。等高線に沿って切り出した板を貼付けてゆきます。一般には、素材を2枚用意し、等高線を片方は1m、3m、5m・・・、もう片方は2m、4m、6m・・・と、ひとつ飛ばしで切り抜いたものを互い違いに重ねてコンタ模型を作るのが効率の良い製作方法なのですが、今回は発泡ポリプロピレンだけで形を作るので、強度も考えて4枚一組で作りました。そして、発泡ポリプロピレンの長所でもあり欠点でもあるのが、「溶剤に強い」ということでしょう。発泡スチロール等は溶剤に弱いため一般のスプレー塗料で塗装すると溶けてしまいますが、発泡ポリプロピレンは溶剤に強いので、直接塗装をしても安心です。しかし、溶剤に強いということは「接着しにくい」ということでもあるため、使用できる接着剤が限られてきます。そこで、今回使用したのが、これ。最近ではポリプロピレンを接着できる接着剤が増えてきました。今回の地形だけで、この接着剤を6個くらい使用しました。接着剤を大量に使う時は換気に注意しましょう。今回も目が痛くなって大変でした。つづく・・・
2009.12.14
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千里山団地全部模型化計画、今回は南入り住棟のもうひとつのタイプを紹介します。千里山団地には2棟しかない、バルコニー独立型の南入り住棟です。バルコニーパーツの切り出しに少し苦労がありますが、立体感のある南面は魅力的です。バルコニーパーツの裏面には、1mm角のプラ棒を裏打ちしています。今回はここまで、つづきはまた今度。
2009.12.07
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千里山団地の1/450スケールのジオラマ模型、今回は住棟の細部について。前回塗装した住棟は、箱状の建物に窓が開いているだけののっぺりとした住棟になっています。今回は、これらの住棟の細部の表現方法について紹介します。まずはこのタイプの住棟。板状の柵を持つバルコニーが連続したタイプ。この千里山団地でも一番多く見られる住棟でしょう。同一デザインで階段室が北側のものと南側のものがあります。バルコニーの材料は100円ショップで入手したアイボリー色の画用紙にバルコニーの形を黒色で印刷したものです。この画用紙をラミネーターでコーティングした後で切出し、1mm角のプラ棒で裏打ちして住棟に接着しています。接着は塩ビ用接着剤を使用しています。(参考資料)実物の住棟。ニジ1です。このタイプの住棟だけでなく、他のタイプのバルコニーや階段室の柵も基本的に画用紙に印刷後、ラミネートした素材を使用しています。つづく。
2009.11.24
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千里山団地の1/450スケールのジオラマ模型、今回は住棟の塗装について。2回目で、もう住棟の塗装に入ってしまいます。前回は透明PET板を使用し窓や開口部分のみマスキングを残して組み立てまで行いました。このままでも透明な団地模型ができるのですが、今回はやはりリアルな模型を目指します。塗装はエアブラシを使用し、プラモデル用ラッカー塗料を使用しました。その前に、PETやアクリル等の素材は一般のプラモデルに使用されているスチロール樹脂に比べ、塗装が剥がれやすいので、プライマーとしてミッチャクロンを吹いておきます。大きなDIY店で入手できます。そして、プラモデル用のラッカーを吹きます。はい、いきなりダークグレー。しかもかなり暗め。スターハウスなんかはチェスの駒みたいで、このままでも良いかも。グレーは作例ではクレオスの137 タイヤブラックや、40 ジャーマングレーを使用しています。下地にダークグレーを吹くのは、この色が団地住棟の内部の色になるから。窓から内部が見えるときに、内部が暗いと窓にメリハリが付き、実感的になります。一部に明るいグレーを塗装した住棟もあるのですが、ちょっと軽薄な印象になってしまいました。そして、下地のダークグレーを塗りつぶすために、白を吹きます。白亜の住棟。窓まで白いです。ダークグレーを塗りつぶすために隠蔽力の強い白を選んでいます。作例ではクレオスの156 スーパーホワイトや、グリーンマックスの37 白3号を使用しました。そして、最後に少しアイボリーが混ざったグレーを吹きます。作例ではクレオスの311 グレーFS36622(ベトナム迷彩色)を使用しています。以上の塗装が終わったらいよいよ窓のマスキングを剥がします。いよいよ団地の住棟らしくなってきました。つづく。
2009.11.19
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先日、千里山団地において開催されたダンパクFに展示した千里山団地の縮尺1/450の全景模型。今回は、この全景模型ジオラマの製作について紹介します。千里山団地は公団初期に開発された団地で、阪急千里山線の終点(当時)、千里山駅の東側に広がる丘陵地を開発した関係で、高低差に富むことが特徴的です。この団地にはスターハウスを始め、テラスハウスや板状住棟等の住棟の他に、給水塔や集会所の建物が配置され、板状住棟も南入り2種、サンルーム付きを含む北入り4種、さらに一部はくの字型に変形した住棟や、珍しい3階建ての住棟までバラエティーに富んでいます。また、その丘陵地帯を切り開いた高低差に富んだ地形は独特で、造成には苦労があった事でしょう。そんな団地を全部模型化することはかなりハードルが高く、特に地形模型などは作った事がなかったため、ダンパクまで間に合わせる事ができるのか・・・そんな不安を残したまま、3カ月前の7月に製作を開始しました。まずは、住棟の製作。これがないと団地模型はお話しになりません。今回の住棟模型は、透明プラ板を主材料に窓をマスキングして塗装する事で表現しました。まずは図面を描きます。今回の住棟は図面が入手できなかったため、板状住棟は一般的な公団2Kの間取りを持つ標準設計、57-4N-2Kや57-4S-2Kを参考にアレンジしました。スターハウスは以前紹介した写真集「団地さん」の中から金岡団地のスターハウスを参考に図面を描きました。図面を描いたら、ラベルシートに印刷します。そして、あらかじめマスキングテープを貼付けた透明プラ板の上に図面を貼付けます。透明プラ板はアクリサンデーの「サンデーPET 0.5mm」を使用しています。そして、この窓や開口部、サッシ等の細かい所をナイフで切り、窓を残してマスキングを剥がします。ナイフはオルファのデザインナイフを使用しました。細かい作業になるため、普通のカッターナイフではちょっときついかもしれません。マスキングを剥がしたら組み立てます。組み立てはアクリサンデー接着剤を使い、面増筆で接着部分に流し込みます。手前のテラスハウスはレーザー加工を外注してカットしてもらったアクリル板を組み立てたもの。これは透明アクリル板に貼ってある保護シートごと加工を依頼し、マスキング部分を残し保護シートを剥がして組み立てます。どちらも塗装によって壁の部分を表現します。今回はここまで、つづく。
2009.11.16
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