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2008.08.23
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カテゴリ: 日常の事



三日前に母から聞いた話です。



戦前あまりにも貧しかった母は、幼心に「毎日毎日こんなにひもじい思いをするのなら、いっそ死にたい」と考えていました。

家族は母と兄、そして四人の妹達に母親の七人家族でした。

兄はどこかへ仕事の手伝いに行き、わずかばかりのお給金をもらいます。
母は、お母さんが引く手押し車を後ろから押して、農家から仕入れた野菜を町へ行商に行くのですが道々、裕福な家の台所付近の排水溝に網を仕掛けていくのです。

これはお米を研ぐときに流すお米の研ぎ汁と一緒に、数粒のお米が流れてくるのをキャッチするためでした。
正確な数は分かりませんが恐らく数十件でしょう。

町からの行商の帰りにそれらを回収して廻り、家で薄いおかゆにして皆で食べていたのです。




以前から僕は不思議に思っていることがあり「雪深い北国じゃあるまいし、山にはいくらでも食べられるものがあったのじゃないか?」と聞きました。

母は「ホントだねぇ。でも、無かったんだよね。あったかも知れないけど、何も知らなかったんだよね。皆、ジンブン(知識・頭)が無かったのさ。ガジュマルのあんなどうしようもなく不味い小さな実を食べていたんだからね。」

「だってね、一度あるお婆さんに『お腹が空いたら山にある、あの実を食べなさいよぉ』と教えてくれたことがあって、すぐにそのお婆さんが指差した実を食べに山の中に入ったことがあるよ。皮をむいたら変な臭いがするでしょ、肉の腐った臭いみたいに感じたよ。口に入れたらグジュゥって、噛み応えもなくつぶれて気持ちの悪い甘い感じが拡がってね、もうすぐにペッと吐き出したよ」と言うのです。

それが「バナナ」でした。


バナナ


僕は、考え込んでしまいました。
何故、食べる事が出来なかったのだろう?
前述したような超貧困でありながら、なぜ?
戦争中に山奥に篭もった兵士たちは木の皮やトカゲやありとあらゆるものを食べていたのに。
知識の無い少女、だからなのでしょうか?

沖縄の山に猿がいたら食べていたのかも知れませんが。


たまたま琉球新報にこのような記事がありました。



 抜粋です。

「見た目やにおいは食品を受け入れるに当たって重要な情報となる。人間は食べ物を口に入れる前に、見た目とにおいで安全性やおいしさを判断する。それが最もリスクの小さい方法だからである。
『げてもの』はほとんどがこの段階で拒否される。
子供の頃に食べた経験のある食材は許せる。私はハチの子が平気で食べられる。しかし、経験の無いイナゴやカイコのさなぎは食べられない。

いったん虫を食べる食文化が途絶えたら一世代で復活させることは難しい。





母は、バナナをなぜ食べられなかったのでしょう?

教えてくれたそのお婆さんも「お腹が空いたら」と、言っているように平時の食材ではなかったのでしょうけれど。
そのお婆さんが目の前で食べていたら、むさぼるように食べたのでしょうか。

野生のバナナは数少なく、一般的に知られていなかったとしても。

沖縄の人々はバナナをいつ、食べ物であると教えられたのでしょう?

栄養価の高いバナナを食材として認識していれば、助かる命も多くあったはずなのに。


ただし、これは母が暮らしていた狭い集落だけだったのかも知れませんが…










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最終更新日  2008.08.23 15:26:45 コメントを書く


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