2007.01.16
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カテゴリ: 本馬鹿

虚無への供物 新装版(上) (下)

先日読んだ「奇偶」 の帯タタキの

「『黒死館殺人事件』『ドグラ・マグラ』『虚無への供物』『匣の中の失楽』
日本推理小説界の四大奇書に連なる第五の奇書」

という文章。
『ドグラ・マグラ』以外は読んだ事がなかったので、
この『虚無への供物』手に取ってみた。

『洞爺丸』の事故で父と叔父を亡くした氷沼家。
この一族には以前から不可解な死が付きまとっている。
主人公の光田亜利夫と友人・奈々村久生がそんな話をしている矢先に


それをきっかけとするように、密室での死が続く。

誕生石
不動尊
薔薇

・・・彼らの死には「色」の暗号が見え隠れする


普通の推理小説のあらすじ風に書いてみたが、もちろん普通じゃない(笑)
最初の事件後、事件解決に挑むのは4人の素人探偵。
4人とも推理小説マニアで、
過去の作品で用いられたトリックに照らし合わせて事件解明を試みる。
その推理合戦の中ではやたら乱歩先生の『幻影城』やノックスの『探偵小説十戒』が
テキストとして引用される。


そして第5の素人探偵が登場。
「次に起こる密室殺人を予測し、事件が起きる前に事件を解明する」
という掟破りな展開になる。

ここからが「奇書」の「奇書」たる所以。
『ドグラ・マグラ』や『奇偶』も実際に起こっている「地の文」と「そうでない部分」を
錯綜させ、読者を混乱させる手法が見られるが、

もちろんネタバレになるので細かくは書けないが、
途中で読者が感じるその混乱すら伏線で、
最後まで読み終わっても「どれが本当に起こっている事件なのか」、
そして素人探偵たちと読者は「どの事件を解明しようとしていたのか」すらわからない
という状況に突き落とされる。

この作品は1955年を舞台としており1964年に発表されたものだが、
当時殺人事件が続いていたことに憂い、インスパイアされたように思えるが
作者の中井英夫が、殺伐とした事件が続く現在に生きていたら
何を思い、どんな作品を書いていたのだろうか・・・





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Last updated  2007.01.16 12:37:46 コメント(18) | コメントを書く
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