もえうぉっち

もえうぉっち

2006.03.26
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テーマ: 短編を作る(405)
カテゴリ: 自作の劇物(!)
「被告人、沢田依子を懲役3年執行猶予5年に処す」

わぁぁぁぁっ!支援者が歓声を上げる。
弁護士も満足げだ。
「やりましたね、沢田さん。事実上、無罪です」
「無罪・・・です・・か・・・」

こうして、最近ではさほど珍しくもないDV夫を殺害した妻の裁判は終わった。

結婚して2年間、酒乱気味で浮気癖がある夫にほとんど毎日暴行を受け精神錯乱の状態にあった妻が、
諍いの最中に包丁を持ち出した夫ともみあいになり、
夫を刺し殺してしまったのである。


「この結果は当然ですよ」
支援者グループの中心だった三上義之が言う。
「これまでの夫の暴行、精神錯乱の状態、正当防衛。あなたは悪くない」
どんな罰も甘んじて受けようとしていた依子を闘いに引きずり出したのはこのオトコだった。
「それで・・・依子さん。こんなときにいうのもナンなのですが」
三上は少しはにかんでつぶやいた。
「結婚を前提に、おつきあいしていただけませんか?」

    *    *    *    *

わたしは教会の前に立っていた。
もうすぐ結婚式。
二度目の。

今度はどうなるのだろうか。正直、怖い。

教会に足を踏み入れる。
小さいけれど、荘厳な雰囲気で好ましい。
ドアを開けると高く真っ白な天井。
丸窓から差し込む光は、天からの歌声のよう。


映画でみたことある・・・これは確か・・・。

「告解をご希望ですか?」
突然声をかけられて驚く。
ふり向くとまだ50歳前であろう司祭であった。
「いえ、今度この教会で式をあげるものですから」
『コクカイ』というのがわからない依子はあわてて事情を告げる。
「おぉ。それはおめでとうございます」
「ありがとうございます」
ニコニコした穏やかな司祭に安心して依子はたずねてみた。
「あの・・・コクカイって何ですか?」
「心の不安や、後悔を告白し、神に赦しを願うコトですよ」

赦しを・・・乞う・・・・。

「わたしでも・・・できますでしょうか」

司祭は少し困った顔をした。
「今は告解を受ける時刻ではないのです。それと信者の方のみができる行為なのですが」
しかし、わたしの思いつめた顔をみて、にっこりと微笑んだ。
「しかし、ここで嫁すあなたに憂いを残すのは忍びない。わかりました。受けましょう」

    *    *    *    *

わたしは前の夫を殺しました。

わたしたちの結婚生活は2年でした。
親のすすめた見合い結婚でしたが、懸命に愛しました。彼はわたしの全てでした。
でも、彼にとっては違いました。
尽くせば尽くすほど、夫は離れてゆきます。
彼に冷たくされ戸惑うわたしの顔が気に入らないらしく、よく罵られました。
そのうち酒を飲んで暴れるようになりました。
わたしの身体には青痣がたえず、ひどい時には顔にまで及びました。

そのうち、彼の暴力がやみました。
ただただ冷たいだけで、口を開けば「離婚」。
その原因がわかりました。「女」です。

わたしは混乱しました。
暴行されている方がまだマシです。
その頃からわたしは自分を傷つけるようになりました。
かきむしったり、ぶつけたり。
おかしくなっていたのでしょう。
そんなになってもやはり夫はわたしの全てであり、離婚はできません。

そしてあの日がきたのです。
わたしがいつものように自分を傷つけていると主人が帰宅し
悲しそうな顔をしてキズだらけのわたしを見つけました。
「すまない・・・もう・・もう・・・ダメだ・・・」
主人はわたしの手に握られていた包丁をとりあげ言いました。
「別れてくれ・・限界だ。何でもするから・・・別れてくれ」

裁判では、包丁を持ち出したのは夫で、わたしは錯乱状態の上、正当防衛となっていますが違います。

アタマはスッキリしていました。
答えは明快。ひとつだけ。
『オトコを手放すな。それには・・・殺せ』
『殺さねば、このオトコは去ってゆく』

腹部を狙いました。
即死しないように。
血がどくどくと流れ出る間、夫ははじめてわたしを長々とみつめました。
幸せな時間が流れました。

    *    *    *    *

司祭は小さな扉の向こうで小さく「神のご加護を」とつぶやいた。
依子は清々しい顔で、告解の部屋を後にした。


いかがでした?
ワケワカメでしたか~。そうですか~。あははっ






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最終更新日  2006.03.26 23:24:58
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