わたしの本棚、本のむし。

2011年09月01日
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カテゴリ: 小説・自叙伝

江國香織さんの「落下する夕方」を読みました。

八年も一緒に暮らしていた健吾に別れを告げられ

突然のことで戸惑う梨香。

好きな女が出来たという。

健吾の方が部屋を出て行った。

それでも定期的に電話連絡を取り合うふたり。

何気ない会話の中で梨香はちょいちょい健吾を

茶化す。「新しい女は?」

「苦戦している」洟もひっかけてもらえない。と笑った。

ハナモヒッカケテモラエナイ。その言葉に梨香は

息苦しくなる。健吾に対してなのかその女に対してなのかわからない。

この時々文字をカタカナに換えて表現する所が

梨香の心の寂しさ、虚しさが伝わって来ます。

「笑う」を、「わらう」と表現したり、(健吾との別れ際での会話)

私は亡霊だった。と、

健吾の居ない部屋で過ごす梨香の様子の表現。

いきなりフラれた女を簡単に想像することが出来る

言葉を操れるのが江國香織さんの魅力だと思います。

それと、奇妙な関係。

三角関係だとか、同性愛だったり、顔馴染でどこかで繋がってたり。

「落下する夕方」では、三角関係なんだけど、健吾の新しい女

華子の行動・言動・容姿・仕草が、梨香を

登場人物皆を振り回してしまう。

たいてい、主人公の前に現れたライバルって

良い印象なんて無いものだったりするのだけど、 

華子はなんか違う。なんかとっても魅力的。。。

華子は働かない。外出をしない。料理をしない。

なのに色んな人達にモテモテ。妻子持ちにも子供にも。

とくに何かを頑張ってる様子もない。

荷物は、ごくすこしの洋服と下着、靴が二足、歯ブラシ、歯みがき、

チューインガム。ラジオ一台、本が一冊、毛布一枚、

ヘチマコロン1壜。口紅が1本。それで全部。

これを持って梨香の部屋で暮らすことになった。

華子との暮らし、時々垣間見える健吾の存在にだけに

生きがいを覚えているような梨香の感情。

日々淡々と送っているようなんだけど、情景が

いちいち、お洒落なのだ。

読んでいてとても心地よい。

自由奔放な華子に読んでいる私も振り回された。

P250で私も梨香と同じ感情でした。(T_T)

映画化もされているらしいですけど、

私は観ない方向でいようと思います。






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最終更新日  2012年05月27日 01時51分07秒
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