『六月の夜と昼のあわいに』
よび覚まされる記憶、あふれ出る感情、たち上がる論理。
言葉によって喚起される、人間のいとなみ。
ミステリー、SF、私小説、ファンタジー、ルポルタージュ…。
あらゆる小説の形式と、恩田作品のエッセンスが味わえる、
「夢十夜」的小説集。
仏文学者・杉本秀太郎による詩、俳句、短歌に秘められた謎と、
希代の新鋭画家による十のイメージに誘われた、
摩訶不思議な十の作品世界。
うーん、この人の作品は、長編が好きかなぁやっぱり。
この人独特の世界観というか、その筆による世界が、
短編だと端折られすぎて残念、というか。
もうちょっとじっくり味わいたいのに、無理矢理はい、お終い!
と閉じられちゃうような。
短いながらに織り込まれた、この人特有の言葉が、
よかったりもするけれど。
よくもまぁそういう言葉が出てくるもんだ、と感心というか、
軽く嫉妬?(笑)
何をどうしたらそんな言葉を使うことができるんだろう、
そんな言葉を選ぶことができるんだろう、羨ましい、と。
といいつつも、その幻想世界にすっかり取り込まれていたり。
夢のような、童話のような、だから何が言いたいの?などと、
オチを求めてはいけないような。
ほんとに、六月といううっとおしい季節の、寝苦しい夜と、
すっきりしない昼の「あわい(間)」にふと見た、
夢なのか過去の映像なのか分からないような想いを抱かせる、
一冊でした。
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