『夢うつつ』
霧で視界が閉ざされた中、異界を走るようにタクシーで、
帰宅の途に着く。
が、その運転手は死んだはずの幼馴染だった…。
ごく普通の日常生活の一場面から、一転して現実と空想が交錯する、
著者が初めて試みたエッセイと小説による短編集。
平凡な日常の出来事がつむぎだすファンタジックで不思議な、
6つの物語。
エッセイでつづられた現実から、非現実の物語が生まれる。
どこまでが現実で、どこからが虚実なのか。
一つ一つのお話が現実にありそうで、決してなさそうで。
その境目の不安定さ、不確実さを、巧く描き出す。
お話は、現実ほど優しくなくて。
でも、どこか温かく、そして哀しくて。
そのとらえどころのなさがまた、読書欲をくすぐる。
実際の出来事から、ここまでお話を膨らますことができる。
もちろん、そうすることが物書きの仕事なのだけれど、
その発想力の豊かさというか、妄想力のたくましさに脱帽。
読むばかりでなく、自分でも書けたらなぁ、なんて思うけど、
やっぱり難しそう(笑)。
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