『ぬるい毒』
ある夜とつぜん電話をかけてきた、同級生と称する男。
嘘つきで誠意のかけらもない男だと知りながら、
私はその嘘に魅了され、彼に認められることだけを夢見る。
私のすべては、23歳で決まる。
そう信じる主人公が、やがて24歳を迎えるまでの、5年間の物語。
なんという無防備な。
寂しい女の心の隙に入り込んでくる、言葉巧みな男。
この男の舌先三寸ときたら、胸が悪くなるよう。
こんな男に騙される女の方がバカなんだ、と読みながら思いつつも、
この男の甘言は、確かに女の耳には心地良いものかもしれない。
しかし騙される方の女も、ただの寂しい馬鹿女ではなく。
男の欺瞞を知っていながらも、その絵空事に目をつぶり、
その虚言に騙される。
あるはずもない、ひとかけらの淡い期待を胸に秘めながら、
男の嘘に乗っかっていく。
自分には容姿しかない、空っぽの女。
その空っぽさを承知している女。
どんな嘘をつかれ、それにどんな風に乗っかればいいのか。
どんな自分を演じれば、男は再び戻ってくるのか。
男からの連絡のない1年間の間、それだけを考えて生きている女。
ぬるい湯につかっているような、危ういバランスの上に成り立っている、
口先男と馬鹿女の騙しあい。
きっと女の方が、したたかだ。
メイキング・オブ・マッドマックス 怒り… 2015.07.24
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