『おまえさん(上)(下)』 著:宮部みゆき
痒み止めの新薬「王疹膏」を売り出していた瓶屋の主人、
新兵衛が斬り殺された。
本所深川の同心・平四郎は、将来を嘱望される同心の信之輔と、
調べに乗り出す。
検分にやってきた八丁堀の変わり者“ご隠居”源右衛門は、
その斬り口が少し前に見つかった身元不明の亡骸と同じだと断言する。
両者に通じる因縁とは。
父親が殺され、瓶屋を仕切ることになった一人娘の史乃。
気丈に振る舞う彼女を信之輔は気にかけていた。
一方、新兵衛の奉公先だった生薬問屋の当主から明かされた、
二十年前の因縁と隠された罪。
正は負に通じ、負はころりと正に変わる。
平四郎の甥っ子・弓之助は絡まった人間関係を解きほぐすことができるのか。
登場人物の一人一人のキャラの際立つこと。
その誰もが主人公になり得る個性を持ってるって、すごい。
そしてそれを一人一人描き分けるって、すごい。
平和な江戸時代。
なれど、辻切りの類は日常茶飯事で。
ぼんくら暮らしを決め込んでる平四郎ではあるが、尻を落ち着ける間もない。
おつむりの切れる弓之助と、正義感溢れる若き同心・信之輔の活躍で、
別々の事件は無事繋がったかのように見えたがしかし、その因縁はまた、
別のところにあり。
テンポよく描かれるこの時代の生き生きとした人たちに引き込まれていると、
事件は二転三転する。
その根っこにあるものは、いつの時代も変わらぬものか。
弓之助をぜひ映像化して欲しい(笑)。
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