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2007.01.26
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テーマ: お勧めの本(8110)
カテゴリ:
今年のGWに、「ゲゲゲの鬼太郎」が実写映画化だそうです。

公式HP
原作は、妖怪語らせたらこの人の右に出る者はいない

水木しげる

でも私的にはこの人は 「戦記マンガ家」 と捉えています。
割と知られていないんですが、彼の実体験に基いた作品は凄まじいです。

実際に戦時中最前線のラバウルにいて、米軍の爆撃により
左腕を切断するほどの負傷をした方です。
(つまり戦後書かれた「ゲゲゲの鬼太郎」はじめ無数の作品群は
文字通り腕1本で書いていた)

彼の作品の中でも最高傑作だと思うのは、いや、戦記マンガ全体でも


「総員玉砕せよ!」 です。

ラバウルがあるニューブリテン島。ここの最前線での話。
主人公丸山二等兵(水木氏を思わせる)を中心に、
軍隊でのつらい日々が描かれます。

私はくるわに散る花よ ひるはしおれて夜にさく

いやなお客もきらはれず 鬼の主人のきげんとり

私はなんでこのような つらいつとめをせにゃならぬ

これもぜひない親のため

女郎の歌で物語がはじまるのですか、この歌が最前線で
生きた兵士たちの気持ちを上手く代弁しています。
丸山たち下級兵士は、来る日も来る日も重労働や上官からの


ビビビビビン

と鉄拳が飛びます。

上官 「初年兵とたたみは たたけばたたくほどよくなる」

この ビビビビビン は全編通じて何度も描かれ、
体験者水木しげるが最も理不尽で憤りを感じたところでしょう。

「死」 が到るところにゴロゴロしている状況。
マラリヤなど疫病で死ぬ者、ワニに食べられてしまう者、
はたまた魚とりに行って魚をノドにつまらせて死ぬ者・・・
そんな中でも末端の兵士たちは食うことと女のことを
考えるのは忘れない。実にナマの人間として描かれる。
遥か南方のジャングルで、名前も知らないような場所で彼らは確かに生きていた。

そして、ついに米軍上陸。
壮絶な玉砕戦がはじまるのですが、一部の兵が生き残ってしまう。
後方のラバウルでは10万に及ぶ将兵がいるのに、
生き残った最前線の僅かな兵たちにだけは再度玉砕命令が出ます。
一度 「玉砕」 した兵には生きるチャンスはないのか?

そして上陸した米軍に対して再突入が行われます。

上官 「これから全員玉砕する 最後にお前たちの好きな歌をうたって死のう」

私は~な~あんで このよう~な つら~いつとめ~を せ~にゃなあらぬ

敵弾にやられた丸山の最後の言葉が胸に沁みます・・・

「誰にみられることもなく 誰に語ることもできず

・・・ただわすれ去られるだけ・・・」


あとがきで水木氏本人が語るところによると、この話の90%は事実らしい。
かつて高校生の時に水木氏の 「昭和史」 に出会ってから、この人は
妖怪だけじゃないんだ、と認識を改めさせられました。
「昭和史」 の方は自身の体験を余すところ無く伝える 「自伝」 のような感じでも
あり、 「のんのんばあ」 「ニューギニアの土人(氏は尊敬の気持ちを込めてこう呼ぶ)」
との交流なんか凄く面白いです。
この人の絵は万人向けではないかも知れませんが、実体験者として
これだけは後世に伝えなくては、という気概を感じます。
「ゲゲゲ」 が好きな人にもぜひ読んでもらいたい作品です。
(っていうか全国の書店でちゃんと置いて欲しい。講談社文庫に入ってます。)


・・・実は密かに 「水木しげる傑作戦記大全」 持ってまして、
これ25000円くらいした限定本なんですね。京極夏彦も寄稿
しててちょっと自慢なんです。
(これが言いたかっただけちゃうんかと怒らんで下され(笑))







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Last updated  2007.01.26 03:58:56 コメント(10) | コメントを書く


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