特撮ヲタクの認定作業療法士
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まずは概論的なところでWRAPは「メンタルヘルスリカバリー講座」というものの中に含まれる一部であることを再確認。大前提としてキーコンセプトがあり、「希望を持つこと」「自分に責任を持つこと」「権利擁護」「学び」「サポート」の5つとしている。 事前にキーコンセプトを集中クラスないし、連続クラスで自分なりの解釈を持っている人たちの発言はどれも説得力があり、研修の中では座学はなく、これらのキーコンセプトの要素が色強い“チャレンジ”を通して自身と向き合う時間となり、大変に思う参加者も多かった。その後もWRAPについては、すでに連続クラスや集中クラスで学んできたでしょう。という前提ですべてがグループワーク形式だった。WRAPのファシリテートの決まり事(指名しない、話は最後まで聞くなど)に準じて、アドバンスファシリテーターの二人が、グループで起きていることをグループに返していく。例えば、クラスでも行われる“合意”では、予定時刻を過ぎても参加者に「合意形成」を求めていった。『どれくらい時間が必要ですか』『皆さんで、話し合って決めてください』何度かこのような発言をしていた。ファシリテーターはあくまでファシリテート役であり、その時間制約や、合意形成はファシリテーターにすべて責任があるわけではないことを暗示していて、参加者も時間を考慮しつつ、合意がとれるまで、発言をすることが求められる感覚を得ることが出来た。このように感じられるようにグループを運営する事こそ、WRAPのみならず精神科医療における集団を用いた治療で必要になるスキルになると感じたところも多い。『スタッフが決めてください』『スタッフから言ってください』こんなことが精神科医療で患者から言われることが多いが、WRAPでは参加者が責任をもって発言することが認められ、求められているように感じることが出来る。本来はファシリテーターを含む参加者それぞれが、平等にその場を運営することに責任を持っているはずである。成熟集団という言葉がある様に、このグループがどんな目標をもって進んでいくのか、それを参加者全員が認識し、それぞれが責任を持ち、サポートし合うことで推進力を増していく。結局のところ、キーコンセプトをベースとした研修なのだと考える事ができた。 キーコンセプトを通してよく思い出していたのは、依存症の回復過程をサポートする「自助グループ」の事。特に「サポート」なんかはスポンサーシップを採用している自助グループでは、親和性が高いのではないだろうか。先に自助グループに繋がったメンバーがスポンサーとして、新しいメンバーの日常をサポートするのだ。また、「権利擁護」と「責任」がしっかりと両立している点も大きい。自分の権利を訴えるのならば、それなりの責任を負うという至極当前のことだが、病気を患うと、このバランスは崩れやすい。まるで病院のスタッフをサービス業と間違える患者も少なくない。実際には自分が回復するために、自身が治療を選択し、自身の権利が侵害されるリスクを理解して、回復へ進むのである。この概念こそがリハビリテーション=全人権の回復なのだと考えた。 そんなキーコンセプトの要素が根底にあるファシリテーター研修でどっぷりと触れていくため、しっかりとWRAPについても理解が深まっていく。例えば、どうしてWRAPの研修会が「WRAPに関心のある方」という表記をしているのか、なんともあいまいな表現だなと感じていた。「WRAPは当事者のもの」なのに、どうして医療従事者ばかりの研修なのだろうという考えも当事者から話された。少なからず私も、そのように線引きしてしまう傾向が受講前にはあったが、実際には人が人生を歩んでいく中で、不調になり、クライシスに陥ることは普通に起こりえる。それをWRAPに当てはめてくと、「いつも通りに生活する事で取り戻していく事」が「日常生活プラン」だったり、「これは自分じゃ背負いきれないから、助けてもらおうとする事」は「クライシスプラン」になりえる。ここまでやって理解して、ようやくファシリテーターなのだと考えることが出来た。 私は日々の臨床が上手ではないため、今回の研修を通して、いろんな事象が橋渡しされ、点と点がつながったような感覚となった。集団精神療法をより学びたいと考えることもできた。このブログを書きだした頃はぬるま湯で臨床をしていたが、いまは熱湯風呂状態で今にも逃げ出したいと思いながら臨床をしている。この状態で5日間の学びの時間に参加し、リフレッシュもできたし、なんだか上手くできなくても、元気に臨床に復帰できるのではないかと感じた所も大きい。
2024.08.25
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