むらきぃの司法試験受験勉強記

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2019.02.15
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カテゴリ: 過去問の教材

平成21年短答式試験問題[刑事系科目]〔第11問〕

3.甲は,乙が住居に使用する同人所有の家屋に放火した後,さらに,同家屋に隣接する丙所有の物置を燃やそうと思い付き,同物置に放火し,同家屋及び同物置を同時に焼損した。この場合,甲は複数の放火行為を行い,所有者の異なる複数の建造物を焼損しているのであるから,現住建造物等放火罪及び非現住建造物等放火罪の各既遂罪が成立し,両者は併合罪となる。

【解説】

誤っている

単一の放火行為ではなく、所有者の異なる家屋、物置に順次放火した場合、単一の公共的法益を侵害するだけであっても、犯罪の個数は数個で、連続犯とするのが判例である(大判大正7年3月15日刑録24巻 [原文ママ] 219頁)。併合罪とする点において誤りである。


放火罪は公共危険罪なので,その罪数は発生した公共の危険の個数によって決定されます。

したがって,発生した公共の危険が1個と認められる限り,放火行為が複数回行われた場合であっても,複数の建造物等が焼損したことによって複数の個人的法益が侵害された場合であっても,行為者がその焼損を予見していた客体に関する最も重い放火罪が一罪のみ成立することになります(大判明治42・11・19刑録15輯1645頁,大判大正2・3・7刑録19輯306頁,大判昭和8・4・25刑集12巻482頁)(山口厚『刑法各論』[補訂版](有斐閣,2005)370頁参照)。

本肢では,甲は,乙所有の家屋に放火した後に丙所有の物置に放火しており,複数の建造物を焼損していますが,隣接する客体を同時に焼損しているので,発生した公共の危険は1個であると認めることができます。

よって,本肢では,現住建造物等放火罪(刑法108条)と非現住建造物等放火罪(同法109条1項)の各既遂罪が別個に成立して両者が併合罪となるわけではなく,両者のうち重い方の現住建造物等放火罪の既遂罪が一罪のみ成立し,非現住建造物等放火罪はこれに吸収されることになります。

そうすると,本肢について「犯罪の個数は数個で、連続犯とするのが判例である」として罪数処理をしている上記解説は明らかに誤っています。


確かに,上記解説が指摘するように,いったん放火行為を終了したものの他人に妨げられて未遂に終わった後,継続的犯意をもって同一目的物に放火した事案において,別個の放火行為があったとみてそれぞれ別罪を構成するしたうえで連続犯として処理した判例はあります(大判昭和7・4・30刑集11巻558頁)。

しかし,当該判例は本肢とは事案を異にするため,本肢の正誤を判断する根拠の判例にはなり得ません。

そもそも,司法試験の短答式試験問題は,試験実施の時点において施行されている法令を前提として解答するものです。



なお,連続犯とは連続した数個の行為であって同一の罪名に触れるもののことをいい,従来,刑法55条がこれを科刑上一罪と定めていましたが,昭和22年の刑法改正によって削除されています。


それでは。





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Last updated  2019.02.15 08:00:12
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